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紫夜の眺望  作者: 伊倉 夕
17/20

16 招待

 

 日差しが優しい時刻に優里は玄関を出て自分の家に鍵を掛けた。

 服装は制服ではなく、少し動きやすい出かけるときの格好だ。


 ワイドパンツと大きめのストライプシャツ、色合いが良くなる靴、評判はどうか分からないが、外出する際の私服は大体いつもこんな格好ばかりしている。

 普段は制服を着ているので、こういった外出用のラフな格好をしてしまうと、逆に体に違和感を感じてしまう。


 父親は1時間程前に出勤してしまった。

 昨日は仕事が已むを得ずに中断してしまったので自宅に帰ってきたが、結局忙しいのには変わり無いようで、今優里が外出してしまうと家がもぬけの殻となってしまうのだ。



 玄関の鍵を掛けた後、優里はアパートの廊下から朝の町の景色を傍観した。


 起きた時にはまだ霧が出ていた。

 いつも思っていることだが、その時の新鮮な空気はおいしい。

 街の空気は日が出てから時間が経てば淀むが、人が活動をしていない時の街の空気は自然とは異なる香りを放つ。

 しかし出かける準備をしていると、あっという間にその白い世界はまた次の朝へ流されてしまった。

 その後、少しずつ車の音が多くなり、灰色の建物に力が宿り、青空の元で町全体が起床し始めるのだ。

 

 その頃には優里も支度が整った頃であり、町が起きたと同時に優里も自分の家を出ることができた。


 「・・・・・・・・・・・。」


 しかしながら、肝心の河合がいくら待っても自分の家から姿を現さなかった。

 待てど待てど、玄関の扉が開く気配がない。


 インターフォンを押すべきか携帯で連絡をすべきか悩みつつ、河合の家の玄関の前でモジモジしていると、玄関がガチャと音を鳴らして開いた。


「おはよう、優里ちゃん。」

 いつもの陽気でマイペースな河合とは違い、言葉に力が入っておらず、少し疲弊をしているようだった。

 おまけに、まだパジャマのようなスウェットを上下に着ており、眠気を誘うような香りが河合から放たれていた。


「どうしたんですか河合さん、何か、目の下にクマっぽいのできてますよ。」

「あぁ、実は昨日、優里ちゃんに電話した後のことなんだけね、後輩女子がその日に失恋してね、その子を慰めるために深酒に付き合ったんだ。」

「大丈夫ですか?」

「ちょっと待って貰っていい、頭が痛くて、すぐには出れそうにないや。」


 いつも河合は陽気で元気な姿を優里に見せていた。

 それが河合鈴と言う女性そのものなのだが、その元気がいざ無くなってみると心配するほど大人しい性格になってしまう。

 これほど影響が残るまで後輩の深酒に付き合っていたと考えると、それだけで河合の人の良さが滲み出ていた。


「大丈夫ですよ。・・・あの、何か欲しいものがあれば買ってきましょうか?河合さん。」

「ご、ごめん。すごい助かる、えっと、とりあえず、水かスポーツドリンク、二日酔いに効く栄養ドリンク、後バナナ、ごめん、お願いできる?」

「はい、分かりました。買ってきます。」

「ありが、ウプッ。」


 河合はお礼を言おうとしたが、喉の奥からこみ上げてくる何かを手で塞ぎ、急いで振り返ると家の中に消えていった。


 河合が放り投げた玄関の扉がゆっくりと閉じ始める。

 その間に河合の激しく嘔吐をする音が聞こえたが、扉が閉まるとその声は完全に外部と遮断されるのだった。


「・・・。」


 優里は何も言わず、河合の家を後にした。




 優里がアパートの玄関から出る。

 アパートは道路に面しているが、昼間でも人通りが少なく閑静な住宅街なので二日酔いの河合には優しい環境だった。

 おまけに、平野から少し膨らんだ丘の頂上にあるアパートなので、何といっても風通しがよい。

 温かい日差しと涼しく優しい風は朝の身体を起こすための要素として完璧な立地だった。



 アパートを出た直後、優里がバックの中から財布を取り出し残高を確認する。

「・・・、1000円か。」

 自分の持ちようの少なさに思わず驚く。

 

 昨日、家の食料を確保するために少し使ってしまった。

 これで家での食事は3日から4日ほど問題ないが、優里の持ち金は風前の灯火である。

 しかしながら、河合の要求したものを揃えることは容易いものだった。



 優里がアパートの出口からある場所に向かって歩き始める。


 その方向に向かって300m程歩くと、ここら一帯で唯一のコンビニエンスストアがあるのだ。

 突発的に欲しくなったこの地域の限定の品物でさえ用意してくれているので、地域住民になじみの深いお店だったりする。

 また、距離が近いので徒歩で行ける、その点でもポイントが高い。


 優里はものの数分もしない内にコンビニに到着した。

「いらっしゃいませー。」


 優里がコンビニに入ると床をモップで拭いているアンドロイドが挨拶をしてくる。

 声が少し眠そうなトーンであったが、しっかりと仕事をこなしていた。


 優里はぺこりと軽く頭を下げ、入口付近にあるカゴを持ち店内を歩き始める。


 朝の通勤ラッシュが過ぎ、店員さんやその補助をするアンドロイドが一息つける時間帯で、尚且つ人通りが少ない場所でもあるので、店内には店員と補助のアンドロイド、優里を含めた数人のお客しかいないようだった。


 優里が店内をスイスイと歩き回る。


「・・・。」


 河合から頼まれた物を見つけるのは難しいことではなかった。

 金額を計算しつつ商品を手に取り、あっという間にカゴの中が商品で埋まっていく。


 そして、コンビニに入ってから5分も経過しない内に、その時点で目的を達成してしまった。


「帰ろうか。」

  

 優里が会計の為にレジに向かうと、優里の一つ前で小さい女の子がモジモジしながら店員と話していた。


「あの、お金足らないですか?」

「ごめんね、今あるのが680円で、後200円足らないの。」

 

 200円と言う言葉を聞き、少女は首に掛けてある小銭ポーチの中を必死に探すが、その中からお金と言うものが出てくることは無かった。


「わ、分かりました、ごめんなさい。帰ります。」

「ごめんね。」

「い、いえ。すみません。」


 少女は気を落として、トレーに出したお金を店員から受け取り、首掛けポーチに入れた。

 店員はカウンターの上に置かれているレジ袋に入った商品を後ろの棚に置いて、次のお客に対応する準備を整える。


 その間に少女は後ろを振り向き帰ろうとした。

 その時だった。

「ねぇ、お嬢ちゃん。」


 優里は気づいたら、しゃがみこんで少女に声を掛けていた。


「え?な、何ですか?」

「何円足らなかったの?」

「え、・・・に、200円です。」

「私の後に並んでて貰ってもいい?」

「は、はい。」

 少女は優里の後ろに並び、それを確認した優里は自分の商品の会計を始めた。

  

 優里の後ろに並んだ少女は優里の後ろ姿を不思議そうな目で見つめる。

 自分が何をしているか分からない状況に困惑しつつ、優里の言うことをしっかりと聞いていた。


 そして、優里は何事もなく自分の持っていた商品の会計を済ませ、店員からレシートを受け取ると商品が入ったレジ袋を持って少女に順番を譲った。

 

 少女は困惑しつつ、優里に促され、レジカウンターの前に付く。

 すると先程購入できなかった商品がレジ袋に入れられて、少女の前に置かれた。

 

 店員が言う。

「では、後、680円お願いします。」

「え?」

 少女が店員の声を聞いて驚き、店員から出されたトレイの中を覗く。

 すると、そこにはピッタリ200円が既に置いてあったのだ。


「あ、あのこれ私のお金じゃありません。」

 少女が店員に訴える。


 正直なことを言う純粋さが優里の心を震わせる。

 身長も仕草も服装も、その姿はまるで小さな天使のようだった。

 

「お客様、これは、私たちのお金でもありません。あちらのお客様からです。」

 店員がそのお客様に手を向けながら少女に言った。

「え?」


 困惑した少女の助けを求めるような視線が優里を見つめ、どうしようか迷った挙句、その少女に向かって優里は笑顔を返す。


 すると、何とか優里の意図を察した少女は「あ、ありがとうございます。」と満面の笑みを見せて、頭を下げるのだった。

 言葉使いも丁寧で、歳にも関わらず礼儀と作法を持っていた。


「お願いします。」

 そう言って少女は、首に掛けたポーチから全てのお金を取り出し、トレーの上に乗せる。

「はい、わかりました。・・・では、880円お預かりします。・・・」


 その光景を見届けた優里は、笑みを溢しながらコンビニエンスストアを出た。




 扉を開けて出ると、少し少女のことを思いながら、自分がしたことの恥ずかしさに心が痒くなってしまった。

 

 優里は確かに少女を助けたかった。

 それは分かるのだが、助けに必要なものが小銭で、優里はその時に紙幣しか持っていなかった。

 優里が会計を終えたら金額がピッタリ用意できるのだが、それまで少女を待たせる必要があったのだ。

 しかし、あのままではすぐに少女が帰っていただろう。


 そこで思いついたのがさっきの行動である。

 

 正直なところ、お釣りをそのまま少女に渡せばよいことなのだが、恰好をつけようとして、あのままトレイに残して去ろうとしたことが逆に恥ずかしくなった。

 それに店員さんのフォローが無ければ、少女がトレーに乗ったお金を使うことが無かったかもしれない。

 

「・・・こういうところ、やっぱり不器用だよね、私。」


 そんなことを呟きながらコンビニを出て歩いていると、ふと気付けば会計を済ませた少女がレジ袋を持って優里の後を付いてきていた。

 まさかついてくるとは思っていなかったので、優里は振り返り、しゃがみ込んで少女に話しかける。


「どうしたの?お嬢ちゃん。」

「あ、あの、お礼がしたくて。」

「君の可愛いい姿を見れたから、それで大丈夫だよ。」


 必死に恩返しをしようとする懸命な少女の姿に和みながら、優里がそう言った直後だった。

 突然、優里と少女のすぐ隣に、白い輝きを放つ車長の長い高級車が停車した。


 艶かしく輝く銀色のエンブレムと、人類が足を踏む入れたことのない白銀の雪原を想像させる色の車は、閑静な住宅街とは余りにもミスマッチな色合いである。


 優里が驚き、その高級車を凝視する。


 車のエンジンが停止すると、運転席から身なりの整ったジェントルマンと呼ぶことに相応しい老人の姿をしたアンドロイドが出てきた。


 アンドロイドは車を降りて後ろの後部座席の扉へ向かい、ドアのレバーを引っ張って扉を開ける。

 すると、後部座席から一人の女子中学生が降りてくるのだった。


 身なりは如何にもお金持ちの令嬢という姿だった。

 高価な服である。見るだけできめ細やかな滑らかさを持っていることが分かってしまう程、純粋で透き通るほど美しい白色だった。

 ワンピース?だと思われるが、柄もそんなに簡単に作れるものでも無さそうなので、だからこそその服の価値を強調させていた。


 そして、容姿の方も優れている。

 高嶺の花子さんとでも言うべきだろうか。

 優しさを持つような表情であるのに、目には力が篭っていた。

 意思の強い人の特徴であるが、彼女の場合は頑固などの負の面は一切見えなくて、人の話をしっかりと聞いてそれから良し悪しを判断する、柔軟な考えを重ねて持ち合わせているようだった。

 

もみじ必要なものを買えましたか?」

「あ、椿つばきお姉様。」

「勝手に出歩いては駄目でしょう。駐車場で待っていたのに、どうしたんですか?」

「こちらのお姉さんが助けてくれました。」


 満面の笑みで椛という少女は優里を見る。

「ん?」

 

 椿と言われた女性が優里を向く。

「初めまして、私、華月椿かづき つばきと申します。」

「あ、水野優里です。」

「水野様、妹を助けていただき、誠にありがとうございました。」

「いえ、私は特に何も。」


「お金が足らなかったのを出してもらいました。」

 謙遜をする優里を傍らに、椛が自分がして貰った厚意を椿に明確に説明した。


「まぁ。それは、大変なご迷惑をお掛けしました。水野様、幾らお金を払っていただいたのでしょうか?お返し致します。」

「大した金額ではないので気にしないで下さい。」

「しかし、」

「椛ちゃんでいいのかな?この子の可愛らしい姿を見れたのでそれで満足です。」


 優里はそう言うと椛の頭を優しく撫でる。

 少女も満更でも無いようで優里の行為を素直に受け入れているようだった。


 椛の嬉しそうな表情を見て、椿も表情を緩める。

「そうですか。・・・あ、では、明日の夜6時からお時間が空いていますか?」

「明日の夜6時ですか?」

「はい。私の誕生日パーティーがあるんです。」

「誕生日パーティー?」

「はい、妹を助けて下さったお礼です。沢山の食事を用意しており、多くの方が来られる予定なので、ぜひ水野様も来てください。・・・爺や」

「はい、椿お嬢様。」


 爺やと呼ばれたアンドロイドが名刺とメモ用紙を椿に渡す。

 椿はメモ用紙に何か書き込み、用紙を千切ると、名刺と共にメモ用紙を優里に渡した。


「メモ用紙に会場と電話番号、そして招待状のコードを書いています。もし良ければ、明日の6時頃にここに来てください。受付にそのメモ用紙と名刺を渡して、名前を言っていただければ、会場に入れるように言っておきます。」

「あ、は、はい。」


「椛も喜びますので、ぜひ、来てくださいね。」

 そう言って椿はにっこりと笑う。

 その笑顔は椿の周りにクチナシの花が咲いたような錯覚を優里に味わせるのだった。


 そして、当の椛は優里が頭から手を離した後、椿が降車した扉から車の中に入り、窓を開けて二人の話を聞いていた。


 椛が車窓から乗り出して優里に言う。

「お姉さん、絶対来てね。約束だよ~。」


 無邪気に手を振る椛にNOなんて言えるはずもなかった。

「う、うん。分かった。」


「あらあら。」

 椛の優里を慕う姿を見て椿も静かに微笑んだ。


 

 優里との約束を済ませた椛が車の奥に入っていく。すると、老人姿のアンドロイドが椿に向けて何かを言いかけた。

「椿お嬢様、そろそろ、」

「はい、爺や分かっています。華道の時間ですよね。今から車に乗ります。」

 椿はそう言うと自ら高級車の扉を開けて乗車した。

 

 アンドロイドが車の運転席に乗り込み、白い高級車のエンジンが稼働する。


 車が発車する直前に窓が開いた。

「水野様、それではまた。」

 更に、椛が椿の横から覗き込むような形で優里に向けて手を振る。

「お姉さん。またね~。」

「うん、またね。」


 高級車は静かな音を奏でて閑静な住宅街を走り去っていった。

 気づけばレジ袋の中に入っている水のペットボトルに水滴が結露している。


 日差しの強さがコンビニに入る前よりも増していた。

 肌に少しチクチクとした痛みを感じてしまう。


「・・・熱いなぁ、今日も。」


 そう呟いた優里は、名刺とメモ用紙を自分の財布の中に入れて河合の元へ向かうのだった。




 優里が河合の家に着き、玄関のベルを鳴らす。

「はぁ~い。」

 出てきた河合はまだ本調子では無いようで、言葉にはまだ力が宿っておらず、しかしながら先程よりも顔色は良くなっていた。


 恰好は相変わらず寝間着のスウェットを着用し、布団の香りが残っていた。


「河合さん、買ってきました。」

「ありがとうね、優里ちゃん。」

「大分良くなりました?」

「さっきよりはね、もう後一時間位待ってもらってもいい?」

「大丈夫ですよ。」

「ごめんね。私の家の中に入って待ってて。」

「分かりました。」


 優里は河合に後ろに付いて家の中に入る。

 玄関で靴を脱ぎ、河合と共に家の奥に入ると二人は居間に到着した。


「適当にくつろいでくれたらいいから。」


 河合はそう言うと、台所に入った。


 台所と居間が同じ空間にある間取りなので、河合の様子がよく分かる。

 どうやら、優里の為にコーヒーを用意してくれているようだ。


 河合がコーヒーを淹れている間に河合の部屋を優里は観察した。

 自分の家と同じ間取りであるが、優里たちの家とは違って、まるで男が住んでいるような雰囲気があった。

 

 置いてある雑貨や家具はモノクロや暗めの色のものが多くて、おしゃれとか可愛いとかそういった要素を含むものは皆無で、化粧台は置いておらず、片付ているように見えて所々散らかっているところなどは特に河合の大雑把さが表現されていた。


 例えばだが、机の上に置いてあるペンケースの中にあるもので、爪切りはまだ分かった。袋に入った割り箸もまだ分かった。しかし、なぜ、ここに歯ブラシが入っているのかは優里には理解できなかった。


 他にも、ネックレスやブリーチなどが部屋の片隅にある洗濯物を干すスタンドにかかっていたり。

 机の上にカートン買いした煙草と、カップ麺の空が置いてあったり。

 下着なんかは座椅子の背もたれに掛けてあった。

 

「ごめんね、散らかってて。」

 部屋を観察する優里に気づいた河合が言う。


「河合さんって彼氏いるんですか?」

「ん?いないよ。どうして?」

「いや、なんか、the男の部屋みたいな感じが漂ってて。」

「あはは、私って昔からこういう部屋の方が好きなんだ、必要なものにすぐ手が届くみたいな感じがね。ひらひらしたものとかは鬱陶しくて余り部屋にはつけないなぁ。」

「河合さんらしいですね。」

「え、そう?。」


 河合がコーヒーを二つ持ってきて優里の前に一つ置き、河合は下着が掛けてある座椅子にドスンと音を立てて座った。


「ありがとうございます。」

「いや、こちらこそね、お金幾ら使ったの?返すよ。」


 そう言って河合は優里が買ってきたバナナの皮をむいて、食べ始める。


「いえ、大丈夫ですよ。この前ご馳走していただきましたし。」

「いいよ、私は働いてるから。それに、優里ちゃんはまだ学生だ。この前も言ったでしょ、貰えるものは貰っときなって。」

「そうですか、・・・ありがとうございます。」


 優里は財布を取り出し、財布の中からレシートを出そうとした。

 コンビニのレシートを優里が探している最中に、財布の中からある紙が一枚落ちて、机の中央にお腹を出して滑り込んだ。


 優里と河合が囲んでいる机はこぢんまりとしており、一方が足を伸ばせばもう一方の座る位置まで足が届く大きさの物だった。

 その為、優里が落とした紙の文字を見ることなど、さほど難しいことではない。


「!。優里ちゃん。この名刺。」

 財布から落ちた紙の文字を読んだ河合が驚く。


「え?」

「どうしたの?これ。」

 名刺を拾い上げて優里に見せながら言う。


「えっと、さっき貰ったんです。妹さんを助けたら、誕生日パーティーに呼んでくれて。ぜひ、来てくれって。」

「え、本当?」

「会場はここに書かれている場所みたいです。」


 そう言って優里は椿から貰った一枚のメモ用紙を河合に見せた。

 そのメモ用紙に書かれた住所と招待コードがあることを確認した河合は優里にあることを告げる。


「間違いないかも。」

「ん?何がですか?」

「私も呼ばれてるんだ・・・明日の、このパーティーに。」


 河合は驚きを表情に出したまま、その事実を優里に伝えるのだった。

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