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流れ星物語

お盆

作者: 流れ星 レイン

「ん、じゃあなー」

「おう、また今度な。次、食いに行くときはサイゼ以外だかんな~笑」

夏休み後半、俺は久々に中学の頃の友達と食べに行っていた。久々に会ったというのもあってテンションが上がり、時間はかなり遅くなり家に着いたのは12時の少し前。

(やばいな…遅くなりすぎた。時間もあれだし、電話で鍵開けて貰うしかないか。)

俺の家は一戸建てで一階を祖父母、二階を父母子供で生活していた。そのためこんな遅い時間に帰ると祖父母は寝ているためドアチャイムを押すと起こしてしまう可能性があり電話で親に開けてもらう必要があった。

『プルルル…プルルル…。ガチャ…』

しばらくの無言

「父さん?、今、帰ったから開けて」

「あー。ん。わかった。」

ぎこちない声で、でも確かに父さんの声だった。

(夜中だし、お酒のんで寝てたのかな)

少しして、扉の奥で玄関の灯りがつけられて扉を開ける音が聞こえた。

「遅くなってごめんなs…」

「おかえり」

遅くなるなよ、と言われていたため父の性格上、確実に怒号が飛ぶと思っていたのだが、父から返ってきたのはおかえりの一言で父は笑っていた。

(え、どうゆうこと?怒ってない…?)

玄関の扉を閉めて中に入り靴紐をほどき立ち上がると父が仏間の方をじっと見ていた。

「どうかしたの?」

「ん?いや、特になにも?。今日さ、お盆だし線香あげとこっか」

今日は8月16日、お盆最終日。

(あ、そっか。今日、お盆か。だから、仏壇見ていたのか。)

「いいよ。あ、ちゃんとなすの牛?みたいなやつも作ってあるからさ。それ取ってくるよ。」

「いや、先に線香だけあげちゃお。その後でとってきてよ。」

「ん。わかった」

俺の家の仏壇はひぃじいちゃん、ひぃばぁちゃんだけが入ってる。場所は祖父母の部屋のすぐ隣で結構、暗い。

「マッチってどこにあったっけ?ってか、そもそもロウソクどこ?」

「あ、ロウソクはあった。マッチはどこだ?」

「んー、ちょっとまって。」

マッチが見つからず、まず部屋の電気をつけるべきだと考え、父がロウソクとマッチを探してる間、俺は部屋の電気をつけるスイッチを探していた。

「あ、あったよ。…。あれ、つかない壊れてる。父さん?」

壊れてると報告をするも父からは返答がなかった。

(聞こえないくらい本気で探してんのかよ。笑)

「はい。これでどう?」

「お、さすが今の若者。」

俺はふいに思いついたスマホのライトで仏壇を照らした。仏壇を照らすと、いつもはあるひぃおじいちゃんの写真がなくなってた。おかしいとは思いつつも、俺は何も言わなかった。

『チーン。…。』

仏壇の(リン)をならしたあと父も俺も数秒間、仏壇に手を合わせた。これがいつもより少し長かったのを俺は今も覚えている。

「最近、学校の方はどうだ?楽しいか?」

父がこんなことを聞いてくるのは珍しいが、近所のおじさんや親戚に会うと必ずと言うほど聞かれるため正直、俺はこの質問が嫌いで適当に返事をしてしまった。

「うん。楽しいよ。特になにかあるわけでもないしね」

「そうか。よかった」

適当な返答にも関わらず、父は仏壇に手を合わせたまま笑っていた。

「父さん。そろそろ、ナスのやつ持ってくるよ。」

「父さん?。あー、うん。頼むよ。持ってきてくれ」

父の一瞬、びっくりしたような顔に少し違和感を感じつつも俺はナスを取りに真後ろを向いて隣の部屋に向かったでも、父が「父さん」と言われて戸惑ったような気がして。

「父さん?父さんってまさか…」

父の方を見ると、そこに父はもういなかった。幽霊かとも思ったけど二階に父はいるだろうし、あとはナスのあれを置くだけなので特に変にも思わなかった。

(父さん、また上で飲んでんのかな。酔って二日酔いにならなきゃいいけど。)

階段を上がり、扉を開けると母がソファで朝ドラの録画を見ていた。

「あんた、なんで今さら線香なんてあげてんの?」

「今さらって。別にいいだろ。最後にもう一度。みたいなそんなかんじだよ」

「ふーん。まぁ、いいんじゃない。父さん、もう寝ちゃったから早めにあんたも寝なさいよ」

「あ、うん。」


後から聞いた話で、父とひぃおじいちゃんはかなり顔が似ているらしい。写真を見たが古い写真のせいか似てるようには思わなかったけど、あの優しい笑顔はいつもの大きく笑う父とは違う印象があった。

『父さん』という単語に戸惑ったのは自分がひぃおじいちゃんだと俺がわかっていると思ったからだろう。


お盆終わりに最後に俺に会ったのは俺のことを心配してのことだと思う。友達と食べに行ったってのは合ってる。でもそれは、高校になじめず中学の友達に逃げてるからだ。そんな俺を、ひぃおじいちゃんは心配してあんな質問をしたんだろう。もっとまじめに答えるべきだった。なんなら辛いと言うべきだったかもしれない。

今、俺は高校を卒業し中の上あたりの大学にいる。それなりに充実してるし、高校も最後は笑って卒業できた。

それがひぃおじいちゃんのおかげなら死んだときはお礼を言わないとだななんて思ってる。

まず。はてはてこれは面白いのか…笑。

つまらなかった方申し訳ないです!。

ノンフィクションのためあまり飾らず、怖く作ってみました。しかし、体験した本人はさほど恐怖を感じておらず、お盆になるとソワソワする人間です笑。


次作品からは通常通り。日常系コメディのお話となるので、そちらも見て頂けたら嬉しいです。

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