旅人
どこかにぼくの居場所をみつけて
おちついて
安心で
しあわせで
ああ よかったね
ここが ぼくの居場所
いごこちが よいね
だけど
そのちいさな居場所のなかで
そのささやかな世界のなかで
ぼくのかたちが 限定される
そこからはみ出すことは 世界からの追放を意味する
自分の境界は 世界の境界にさだめられる
境界線を超えたいならば
ひとりぼっちでゆくことが 必然
どこにも所属できない
どこにも帰る場所がない
うまれつきの 旅人
皆がおなじほうを向いて
おなじことを叫んでいるとき
とてつもない恐怖を感じてしまう人種
人がいないほうへ いないほうへと
すすんでしまう
そんな人種
いごごちよい場所の
あまりのいごこちの悪さに
たえられないのです
つめたい風と雨のほうが
なんぼか ましなのです
そんなひとたちは 旅にでるのです
境界線を超え
ほとんど無限にひろがる世界へ
居場所なんて 必要ないのです
けれど 旅人は
そんなに怯えてはいません
どこかできっと会えるさと きらくに かんがえているのです
「ひとりぼっち」の「仲間」に
あの空と地とを隔てる境界線に
挑むことを望み
ひとりぼっちでいることをえらんだ 友に
「無所属」こそが居場所
そんな 旅をする友に