天界族の青年
ユニーク81人!
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不思議な音がした。
花畑には合わない、そしてどうしてそんな音がしたのかわからない。しかし、音が響いた。
ミカヤはその音がしたほうに、顔を向けた。そこにはレムが倒れていた。
「嘘っ!ちょっと、レム!どうしたのよ……。」
ミカヤは慌てて、レムのほうへと駆け寄る。しかし、ミカヤがレムにつくより前に、イポスが現れる。
「この猫は……。」
《ごめん、ご主人!》
イポスはミカヤに見られているのにも構わず、変化をとく。これはレムとイポスが決めていたことだった。
(……俺が本当に危険だと思ったら、変化をといていい。……ただし、それ以外の時は、本当の姿、隠せよな?)
《まぁ、姫はこのことを国には伝えないだろうし。大丈夫だよね?》
間違いなく、イポスの正体がライオンの子でなくて悪魔だとバレれば、レムの魔法がバレるだろう。
ソロモン・マジックの使い手がいることが、バレるのはよくない。
《出てこい、天界族!》
レムに攻撃した敵の正体は、検討がついた。なぜならあの魔法は、天界族の使うものだからだ。
案の定、雲の割れ目から白き羽を持った青年が現れる。見た目は20歳前後だ。
「ほう、悪魔か。やはり、ソロモン・マジックの使い手。」
青年はイポスを見て言う。
イポスは後ろにいるレムとミカヤをかばうように立つ。イポスは普段の茶目っ気たっぷりの表情を消し、青年を見つめる。
《天界族がご主人になんのようだ?ご主人たちはここで遊んでいただけなんだぞ?》
「別に意味はない。……だが、新たなる王、レハブアム王を見ることができた。」
《なるほどね、天界族の古代書のおかげか。》
イポスは少し体の力を抜く。
そして目を閉じ、指先に魔力を集中させた。そして親指と人さし指をそれぞれあわせ、1つの窓を作る。
《天界族といえど、僕ら悪魔に勝てるものか。》
イポスの体から魔力が湧き出る。後ろからレムを抱きしめ、眺めているミカヤには、その魔力を見て判断する。
……この人…、上級レベルだわ。だって…、この魔力……。それに人間とは思えないほどのオーラ……。
《その体、チリとかせ。ライジング・サン。》
イポスが唱えると指で作った窓から、燃え盛る青き炎が雷を纏って噴出する。
その炎を見て天界族の青年は、少し驚いた様子をみせると、すぐさま水晶を投げる。
《チッ……。魔法道具か。》
水晶はバリアをはる。……といってもライジング・サンの威力は凄まじく、3秒ほどでわれてしまう。
青年はその3秒で場所を移動し、よけることに成功した。
《ふん。傍観好き、力はあるのに使おうとしない腰抜け一族が…。》
これはイポスが8000年前から思っていたことだ。
その言葉を聞き、青年は少し怒りをあらわにする。
「残念だったな。だが1つ、言っておく。俺はただの天界族ではない。……むしろ、一緒にされたくない。」
《?……何故?》
青年とイポスはにらめつけあう。すると青年はフワッと地に降りた。
「俺の名前はソウテン。またの名を青龍という。四神の1人で、天界族を憎むものだ。」
《ご主人は見てのとおり、人間だ。ご主人に関係ないだろう?それに四神…?》
「……答える義務はない。ただ、悪魔族の力が知りたかっただけだ。」
青年……否、ソウテンはそう告げるとまた、羽を広げ地を蹴る。
「……レハブアム。いや、……。お前はまだ若い。そして、お前はまだ、この世界を知らなさすぎる。」
ソウテンはボソッとつぶやく。その声はイポスにはとどいていなかった。ただ、ボソボソつぶやくソウテンを睨みつけていた。
「悪魔族だけではない。我々だって狙っていたのだ。我々も……。」
ソウテンはニヤリと笑った。イポスはその様子を眺めていた。別に許した訳ではない。今のイポスにとって最優先事項は…。
《ご主人!》