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その名はぐれっちょん !


そう叫んだと同時に私と愛美の身体は淡い光に包まれ、その淡い光は一瞬でなくなったの。


何が起こったのか理解出来なくて、私達は少しの間だけ目をパチパチさせて驚いてたんだけど、ゆっくりとおそるおそる自分の身体を見下ろす。


「まぁ、凄く可愛いですっ」


「な、な、な、何よこれぇー」


私と愛美が着ていたのはなんとチアリーディングの衣装だったの!


たくさんフリルが付いたピンクのかわいらしい衣装なんだけど、すっごくスカートは短いし、おへそだっていっぱい出てるし…なによこれぇー!


「お、お前ら、なんて格好してんだ!は、はやく服を着替えろっ」


と言って耳で目を覆うやさぐれうさぎ…。


「あんたのせいでしょー!どうしてチアの衣装なのよー。

は、恥ずかしいじゃないのっ」


「うふふ、みっちゃん、凄く似合ってます!すっごくかわいですよ」


かわいいチアの衣装を着れて、少し興奮気味の愛美はその場で嬉しさのあまりぴょんぴょん跳ねる。


あぁー、そんなに跳ねたら、ぱ、パンツとか、もっといっぱいおへそが見えちゃうでしょっ!


私はスカートを押さえたり、おなかを隠すのに精一杯で身動きがとれないまま…。


そのあとも何度かコスチュームチェンジをしてみたんだけど、どれもスクール水着や、ナース服、ウェイトレスさんの制服やメイド服とか…妙なのばかりに着替えちゃって大変だとたの……。


何十回とコスチュームチェンジを繰り返して、ようやく元の服に戻ったんだけど……。


「ちょっと、やさぐれうさぎっ!どうしてこんな衣装ばかりなのよっ」


「あ、え、いやー、そのぉ…。オレもこのリボンに力を込めたの初めてだったし、ちょっと力の加減というか…やり方?が分からなくてよ~はははー」


たらたらと冷や汗をかき、必死に誤魔化そうとする、やさぐれの耳をびょーんと引っ張ってやる。


「あいででで、やめろっ、乱暴すんなっ!みみがっ、みみがー!」


「それならちゃんとしっかり力を込めてから渡しなさいよ~~~」


「ふふっ、うふふっ……」


それまで私とやさぐれうさぎのやり取りをぼんやりしながら見ていた愛美が、急にクスクスと口に手を当てて笑いだす。


私とやさぐれうさぎは急に笑いだした愛美が不思議で思わず見つめ返してしまう。


「ごめんなさい。でもみっちゃんと、やさぐれうさぎさんはいいパートナーになるかもって思ったんです。

これからもお願いしますね、ぐれっちょん」


愛美はにこりと微笑むと、やさぐれうさぎに向かって深々とおじぎをした。


こういうちょっとした仕草も凄くきれいで丁寧で、思わず見とれちゃう。


……私とやさぐれうさぎが、いいパートナーっていうのは認めたくないけど……。


そんな愛美の丁寧な仕草に釣られて、やさぐれうさぎも深々と頭を下げる。


「おう、オレからも頼んだぜ…。って、ぐれっちょんっっ!?なんだそれはぁっ」


「クスクス、やさぐれうさぎさんはグレているので、"ぐれっちょん"です」


「ぐ、ぐれっちょんだとぉ…ううぅ~」


みょうちくりんな名前に思わず、すっとんきょうな声を上げるやさぐれうさぎ……。


そういえば愛美のネーミングセンスは凄くおかしくて、飼っている猫の名前を「ぽち」、犬の名前を「たま」って付けるくらいなんだもん。


この時だけはやさぐれうさぎに同情したちゃったわ……。


それにしても、私が"少しの間だけでいいから大人になりたい"っていう願いを叶えてくれるって言ってたけど、その前にまだ見たこともない悪魔を倒すなんて出来るのかなぁ……。


私は期待半分、不安半分という複雑な気持ちで、うなだれているやさぐれうさぎ……ぐれっちょんを見つめた。





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