『懐古』
ハートフルバトルアクションコメディです!
※ 嘘です
プロローグ
小さい頃から暗い所は好きじゃなかった。
暗闇に目が慣れても、心臓を鷲掴みにされるようなその圧迫感には慣れることはない。
だからだろうか。駅近くの裏路地、地面に座り込む私を照らす月光に被さった影に、恐怖を、抱いたのは。
「そんな所でどうしたんだ」
随分と無機質的な声だった。
思わず顔を隠してしまっていた私は、余計に恐怖心を感じてしまう。だが、何故か顔を上げていた。
こんな人間味のない声を出す人物がどんな姿をしているのか、気になったのかもしれない。
無意識の興味の先、私の瞳に移ったのは、
「ただいま」
「あ、お帰りなさーい」
パタパタと奥から駆けて来た同居人が笑顔で迎えてくれる。
何をそんなに笑う事があるのか、実に嬉しそうな表情を前に、その疑問は余りにも些事というものだろう。
「今日はですねー、カレーなんですよ、カレー」
「カレーか……。しばらくぶりだな」
靴を脱いで二人して居間へ向かう。
ソファーに鞄を放り投げ、自身も身体を投げるようにソファーへ沈む。
ごろりと転がり、何気なく壁のカレンダーに目をやると、でかでかと記された一月の文字が目に入る。
「もう、一ヶ月…………か」
「……貴方は……」
顔を上げた少女の言葉に、生気はなかった。
何かに絶望して、生きることを諦めてしまったような顔をしていた。
普通では、なかった。
「貴方は……何?」
何、ときたか。
少女自身、どうしてそんな事を聞いてしまったのか不思議そうな素振りだった。
それならば自分も不思議なものだ。
何故偶然見かけたこの少女に声なんてかけたのだろうか。普段は路地に誰かが座り込んでいても気にしないだろうに。
「俺はただの通りすがりだ」
当たり前の返答だったと思う。これ以外の返答なんて、自分には望めそうにない。いや、一般人はみんなこんな反応するのが普通だ。
少女は一度何かを言いかけたが、迷う素振りを見せ、やがて決心したように口を開いた。
「私を、拾ってくれませんか?」
俺は、八城四季は、この時この少女を拾った事で自分の人生が変わるだなんて、予想もしていなかった。
「四季さん?」
突如視界に割り込んできた同居人によって、半ば呆けていた頭が覚醒する。
カレンダーを確認してから微睡んでいたようだ。
「どうかした?」
「あのですね……」とこめかみを人差し指で叩き、同居人は怒ったように言う。
「どうかしたんですかとお訊きしたいのはコッチですよ! 声かけてもお返事が無いので寝てるのかと思いきやカレンダー見詰めてぼーっとして」
(本人が)息つく間もない文句を聞き流し、プリプリと可愛らしく怒る同居人に、カレンダーを指差す。
つられて同居人の視線もカレンダーへと動く。
「雪が此処に来て、一ヶ月たった」
あ、と呟き、同居人――雪が顔を伏せた。
そう、彼女が家へ来て一ヶ月がたつ。
雪を拾ったのは冷たい風が肌を突き刺す十二月半ばの一七日。そして今が一月一七日。
「もう、一ヶ月たってたんですね」
本当にわからなかった様子で雪が呟き、ソファーに寝転がる四季の隣へ腰かけた。
スペースを広げる為に寝転がるのを止めて、四季も普通に腰掛ける。
「なんで、あの日私を拾ってくれたんですか?」
今まで聞かれていない質問だった。
本人が聞く理由もないために質問する機会がなかっただけだが、気になるのもしょうがない。
「……なんで、か…………なんで、なんで、ね」
困った事に、拾った理由は見当たらない。
というよりも、何故路地に座り込む彼女に声をかけたのかすら解らない。
単純に正義感から? それとも、気が向いたから?
しかし、それらの理由は何故かしっくりこないのだ。脳味噌が違うと訴えるのがよくわかる。
じゃあてめぇが答え教えろや、と脳味噌に凄んでみても応答はない。右脳左脳ともにだんまりとは舐められたものである。
「正直、わからない」
どうしようもないので、こちらも無難に遣り過ごすしかない。
結局当たり障りない回答に落ち着いてしまった。
「……そう、ですか」
一種の幻覚なのだろうか。そうですかと反応した雪は、どうして自分は拾われたのか答えを知っているような気がした。
が、すぐにその考えを打ち消す。
どうして拾った本人より拾われた彼女の方が理由を知っているというのか。
「じゃあ……」
次は何だろうか、と内心で身構えてみたが、「やっぱり何でもないです」と言って彼女はキッチンへ去ってしまった。
何でもないはないだろう。だって、
「貴方は何? って訊いた時と、一緒の顔してたな……」
初めましてロキノです。
プロローグだけでごめんなさい。
文章が圧倒的に足りないせいでどんな話になるのかわからないと思います。
とりあえずラブったりバトったりします。
おかげでジャンルがその他ですが……
批判でも感想でも、コメントあればやる気出るんでお願いします。




