3,異変は突然、この出会いは必然
チチチチチと、場違いな自転車のチェーン音が、洞窟を支配している。
そして鬼の面が語り始める。
『まず…そうだなここは一旦”災害”の話をする前に
この世界についてだ、ここは”ネクサリア”って世界だ』
「ネクサリア…」
『ここはネクサリアって世界だ
五つの世界が最終的に一つになる場所でな、
今はその途中で、現在四つまで融合してる』
「ゆ、融合ね…四つ?」
『そう、そして“五つ目”となるのがお前のいた世界だ』
「は?地球が?」
頑張って想像しようとはするけど、難しい。
パラレルワールドみたいになるのか?それとも衝突?
地球じゃない別の世界が融合するならまあ、
そんな世界なのかな〜で流せるかもしれないけど…地球、全く飲み込めない。
「具体的にどうなるんだ、地球はどうなちゃうんだよ!」
鬼の面はいきなりの大きな声にびっくりした表情になる。
だが、文句も言わず続ける。
『お前の世界…地球って言うのか?は形を変えて、ネクサリアの一部になる
地球にあったものものすべてだ、大陸も、島も、海も、生き物も
最初からそこにあったみたいに、自然に混ざるんだよ
今お前にとってネクサリアは異世界でも、いずれ“異世界じゃなくなる”ってことだ』
「え?」
じゃあ、オープンワールドゲームに例えるなら、アプデで新エリアが追加される感じか?
追加されたらマップ全域中のエリアの一つになるみたいな…?
世界がぶつかるでも、
地球がこの世界の近くに現れるでも、
パラレルワールドとかでもなく。
ネクサリアに”新エリア地球”が追加されて、
一つの地続きの場所として“行ける場所”になるって事…?
「いや、ちょっと待てそんなの物理的に無理だろ!」
『でも現に四つの世界がそうなってるぜ?あと、そこ右の穴入って』
「え?ああわかったーーでも一体どうゆう原理なんだよ…」
郷に入れば郷に従えってあるけど、
これも頑張って飲み込まなきゃいけないのかな…常識として。
融合、ただ今になって納得したことがある、
だからいるはずがないドラゴンがいたんだと。
『ま、その融合の前触れとして、不完全にバラバラに飛ばされてしまう現象が
”転移災害”ってわけだ』
「なるほど…」
災害…ランダムワープなら、まさか。
「もしかしてなんだけど、飛ばされたのって俺以外にもいる?」
『なに当たり前の事言ってんだ、災害だぜ?
まあ、今回は全部飛ばされた訳じゃないだろうがな、大抵半年後ぐらいには全部くるだろ』
非日常だ〜とか浮かれてたけど、話を聞く限りガチで災害だな。
運が悪ければ、マグマとか危ない場所に飛ばされて即死とかもあるわけだ。
理不尽極まりない。
母さん、父さんそしてアイツら、
もし来てるんだとしたら、危ない所でスポーンしてないといいけど。
『次はそこを左』
「はいよ」
結構疲れるな…自転車押しながらって言うのもあるけど、後これどんぐらいだ?
ただ、地面があまり凸凹しておらず空間も狭くないのが幸いだ。
自転車押しやすい。
この鬼の面の災害についての話は、腑に落ちたような落ちないような。
そういや、普通に喋ってたけど、この鬼の面って一体何者なのだろう?
「お前何者なんだ?名前はないの?」
明らか人ではないし、魔物みたいなものでも…
あ、魔王、思いついた瞬間にピッタリきてしまった。
『ん?俺か、俺は…メルヴァンだ、メルって呼んでくれ
“ヴェイルブレイド”って言うパーティ組んで討伐士をやってる、こう見えてちゃんと人間だぜ』
討伐士、パーティ…冒険者じゃん。
異世界だし魔物とか討伐する奴だろうか?
でもコイツ雰囲気は明らかに、討伐される側なんだよな。
人間?嘘つけよ、
全く生きているようには見えないし、強すぎる気がする。
もし人間だとしても、よくあるメチャクチャな能力を与えられたタイプだろ。
「へえ」
『今は肉体が封印されててな、魂だけでこのお面に憑依してるんだよ
ああ、別に死んでるわけじゃない』
封印?本当に魔王とかなんじゃないのこいつ。
このまま地上に出していいのか?
『もしかすると今、仲間が俺の事を探してくれてるかもな、
逆に名前なんて言うんだ?』
「ああ、 瀬尾瓜 颯真だよ」
名乗った途端メルヴァンは少し固まった。
何か考えこむ様に、なんか思い出した様に。
「おい、どうかしたのかよ?」
突然深刻な顔になってどうしたんだろうか?
少ししてから返答が返ってくる。
『変な名前』
な、なんだこいつ!
ーーーー
しばらく歩くと次第にさっき見えた光が大きくなりーー
そして突然視界が開けた。
「うわ…綺麗」
綺麗な光景に思わず声が漏れる。
天井も壁も、無数のコバルトブルー色に光る鉱物がびっしりと張りついている。
光は揺らめき、淡い霧のように空間を満たしていて、昼間の様に明るい、
幻想的、まるでゲームの中か、ファンタジーの挿絵のような光景だった。
『わかるぜ綺麗だよなここ、この光っている石は魔光石って言って魔力と反応して光ってるんだ』
「そうなんだ」
この光景、そして魔力…ファンタジーだ。
やっとここで現実として飲み込めた気がする。
ー
『おい、今なんか聞こえなかったか?』
「え?何も聞こえなかったけど…」
ーー
確かになんか聞こえたかも?
さっき歩いてきた道の暗闇の中から音がする。
「確かに聞こえたけど、それがどうしたの?」
ーーー
あれなんか音、近づいてきてる?
メルヴァンは深刻そうな声で言う。
『魔物だ、俺たちの後をつけてきやがった』




