<EP_005>
つくばに戻ると哲也はアパートに戻り、玄道へ電話を入れる。
白衣に着替えると、すぐアパートに黒塗りの男たちが尋ねてきた。
そのまま、玄道の元に連れていかれ、新調した杖を使って玄道を治療し、大金を手に入れた。
(くっ、これじゃ、またすぐにでもダンジョンに潜らなきゃ身体が持たねぇ。こんなのに耐えてたなんて、さすがは毒島玄道だ。掛け値無しの妖怪だな)
玄道に溜まっていたマナは量が多すぎて新しい杖をもってしても哲也の限界に近かった。
(ま、これでしばらくは金に困ることは無さそうだし、とっととマナを抜いてのんびりしますかね)
玄道邸からの帰り道、車に揺られながら哲也はそんなことを考えていた。
数日後、マナ抜きも終わり、新調したエアコンをガンガンに効かせた部屋で哲也が昼間からビールを飲んでいるとアパートのドアが乱暴に叩かれ、インターホンがけたたましく鳴らされる。
「はぁ…なんだよ……ボロいんだから叩くなって言ってんだろ」
のそりと立ち上がりドアを開けると、強面の男が立っている。
「先生。急患なんだ。頼むよ」
廊下を見ると鎖に巻かれた血走った目の男が男たちに押さえつけられながら唸り声をあげている。
「はぁ……しゃーねぇなぁ……入りな」
哲也はため息をつきながら、男たちをアパートに招き入れ、となりの四畳半の部屋で着替え始めるのであった。
<つくば>の空には夏の訪れを感じさせる蝉の声が響き渡っていた。
【魔晶都市<つくば> なんで俺がやらなきゃなんねぇんだよ! 完】




