表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

道案内 うさぎさんと仲間たち

「すみません、厚生年金会館前という所まで行きたいのですがご存知でしょうか?」


見た感じは30代、スーツを着たいかにも真面目そうなサラリーマンの男性が困った顔をしてたずねてきた。


ハリネズミはよっこらしょと男のほうに向きなおった。

「こうせいねんきん・・・ん~。」

「おばちゃ~ん、どうしたの~?」

道の向こうからリスの子供たちがかけてきた。

「こうせいねんきんなんとかってのを知ってるかい?」

りすは手にしたクルミをコリっとすり合わせて器用に殻を割った。

「きつねのねえさんとかどう?前に旅行に来た人の案内とかやってた。」


きつねは野菜屋の店先できのこを片手に、首をかしげた。

「神社とかお店ならわかるんだけど~。」

「ブナシメジ、はいってる~?」

「あら、いたちの奥さん。いらっしゃい~。」

たちまちこりすが群がった。

「あ~、聞いたことはあるんだけどー。こだぬきさんとか知らないかな。」

かくしてこりす軍団につれられてこだぬきの店へ。


こだぬきは売り物の地図を見てくれたが、書かれていなかった。

「わたくしたちにはあまり馴染みのない場所なのでしょうねえ。」

たしかにそのようだ。

「うさぎさんやおばあさんにお尋ねしてみては。」

こりすに手をひかれるようにして、うさぎ&おばあさんを尋ねる。


うさぎは赤い目をくるりとさせた。

「おばあさん、知ってます?」

「わたしはあまり外出しないので。おじいさんはどう?」

「レンガ色の建物だったんだが・・・。」

おじいさんが首をひねっているところに元気な声がした。

「ぼく、わかります!」

「あら、太郎は知ってるの。」

「うん、ぼくもそこへいくご用があるからいっしょにいきましょう。」


うれしそうなうさぎたちに礼を言って、元来た道をたどり、みんなの安堵に送られて目的地へ。

「あなたはどんなご用ですか?」

「おばあさんに元気になってほしくて、体によい食べ物の話を聞いてくるんです。」

やがて目的地へついた。

「では失礼します。」


ほどなくして待ち合わせの相手がやってきた。

「迷いませんでしたか?」

「いえ、とてもよい案内人の方がいましたので。」


回り道も無駄なことばかりではない、と男は笑みをうかべた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ