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3歩後ろが私の居場所。  作者: 鶴橋
1/1

~元奴隷のメイドはイケメン貴族に誘われ、失われた学園生活を堪能する~

「早くしろ、シエラ」

「待ってよブライ」


 春風が吹き込む中、普通の民家よりも遥かに大きいけれど、豪邸と呼ぶには少し小さなレンガ作りの家の前で少年が玄関に向かってぶっきらぼうに話しかけていた。

 ブライと呼ばれた少年は白髪の癖毛の強いショートヘアーをしていて、青に近い緑を基調としたスーツを着ていた。背格好からして年齢は15歳ぐらいだろうか。

 少し間を置いて赤いポニーテールをして黄色いブラウスを着たドレス姿な少女が玄関から飛び出してきた。

 その後ろをついてくように黒い髪のショートヘアーをしたメイド服の少女が歩いてきた。2人とも身長より少し身長が低かった。

 

「準備できたよ、いこー!」


 そう言う少女の手にはパンが握られていた。


「どうしたシエラ、まだ食べてる途中だったか?」


 シエラと呼ばれた少女は得意気に言った。


「本で読んだんだけどね。パン食べながら学園に向かって走ると運命の人に出会えるんだよ。

 ブライもどう?」

「行儀悪いぞアホ」


 そう言ってブライはシエラの頭を軽くチョップを喰らわせる。メイド服の少女はその光景を見てクスリと笑ってから言った。


「シエラ様、ブライ様、行ってらっしゃいませ」


 それを聞いてブライは訝しげな表情を浮かべて言った。


「何言ってるんだよミル。お前も来るんだよ」


 ミルと言われた少女は「あっ」と小さな声を出すと、


「そうでしたね」


 そう言って主人の元へと駆け出した。


 ブライ達が生きているのはオーパーツと魔法で溢れた国、メディオクリス。ここでは一部の貴族の手により民主化が進んでいる。

 その一環として執事に学業を受けさせる事が推進されている。

 ブライの家もその流れに沿ってか、学業を一切受けていない執事のミルと、今まで家庭教師

に任せきりだった令嬢であるシエラと令息であるブライを学園に入学させたのだった。

 

「なぁミル」

「ブライ様、何でしょうか?」

「何か距離遠くないか?」


 人通りはそこまで多くないものの、朝っぱらから活気づいている街道をミルはブライとシエラから1.5m程後ろを歩いていた。


「従者たる者、主人の三歩後ろを歩くのが作法ですから」

「......そうか」

「ムムム、せっかく一緒に登校してるのに」


 頬を膨らませながらシエラが横から口を挟んだ。


「無理強いするものじゃないぞ。近づきたくないなら無理しなくていい」


 ブライがそんな事を2人に言った。


「ムゥ......これから華々しい学園生活が始まるっていうのに。」

「楽しみなのですね。学園に行くのが」

「そりゃそうだよ。入学式で恋に発展したり、魔術大会で皆と協力しながら恋に発展したり、テストで赤点に頭を悩ませながら恋に発展したり。

 いや~楽しみ!ミルと一緒に運命の人を取り合うことになるかもしれないね」

「そうですね」

(運命の人っか)


 ミルはシエラと会話しながらふと考える。


(私に運命の人が居るとすれば、それは間違いなくブライ様だろう。貧民街で腐っていた私を拾い上げて、生きる意味と居場所をくれた。他の人と結ばれるなんて到底考えられない。

 けど、私はブライ様に相応しくない。例え結ばれたとしてもきっと彼を幸せに出来ない。

 だから学園内では邪魔をしないように静かにしていよう。ブライ様の学園生活をひっそりと後ろから見守っていこう)


 2人に気付かれないようにミルはひっそりと決意する。だが、その決意も空しくミルの願望は打ち砕かれることになる。


「月が綺麗ですねぇぇぇえええ!」


 ブライ達の進行方向から黄色の髪を8分けしていて、左目に髪が掛かっている長身の少年がミルを目掛けて迫ってきた。

 服装はシンプルな白色のチェニック。何処にでもある庶民の服だ。

 男はミルの前まで滑り込むと跪き、薔薇を胸元から出すと言った。


「僕のコーンスープを毎日作ってくれませんか?」

「忙しいので無理です」

「ハッハッハ、ならしょうがない。空いてる日程を教えてくれ。空いてない日は僕がーー」

「何やってるのよ、アンタ!」


 声の方からバチバチと音を立てて黄色い球が飛んできたと思うと、橙色の髪をした少年の背中に当たり炸裂した。

 

「あばばばばばば」


 電流を流されたかのように痺れている少年を横目に、球が飛んできた方向から肩に掛かる程長い緑色の髪をした少女が現れた。

 痺れている少年と同じような庶民の服装をしていた。



「ウチの兄がすいません」


 少女はそう言ってペコリと頭を下げると倒れている少年の肩を掴みグワングワンと揺らす。


「急に走り出したと思ったら、何してるのよ」

「ハッハッハ。抑えきれないものさ、恋心という物はね」

「アホッ!」


 少女がそう言うと肩を掴む手がバチバチと音を立てて光り始め、少年を痺れさせた。

 そしてもう一度ブライの方へペコリと頭を下げると「あばばば」とわめく兄の首根っこを掴み、そのまま消えて行った。


「告白されちゃったね」

「アレは告白だったのか?」

「変わった人も居る物ですね」


 三人はそんな事を言い合いながら学園に向かった。街道に沿って数分程歩くと学園に着いた。

 ブライ達が向かっているのは国立ソムニア学園。7歳から入学出来る学修施設で学年は学力によって分けられ、一等生から五等生まである。なお 

なお、五等生が一番学力が低く、一等生が一番頭が良い。

 生徒数は合計は約500人。教師は50人。貴族から平民まで試験さえ受かれば誰でも入学可能。

 三人は芝しか無いものの丁寧に手入れをされた中庭を通りながら、レンガ作りの校舎の中に入っていった。

 


 三等級と書かれたプレートが貼られた教室の中で、黒いアカデミックドレスを着た女教師が気だるそうに言う。


「それじゃあ挨拶して」

「スラッグレイ家出身、ブライ・スラッグレイだ。よろしく頼む」

「スラッグレイ家の使用人、ミルと言います。以後お見知りおきを」

「皆仲良くしてね。それじゃあブライ君はここ、ミルちゃんはあっち座ってね」

 

 生徒の人数は20人程で講義机に行儀良く座っていた。

 日当たりの良い窓際の席に座るとミルはシエラの事を思い出していた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 五等級と書かれた扉の前でシエラはミルとブライの方を見ながら言った。


「じゃあ行ってくるね!あれ、開かない?」


 そう言ってシエラは扉をガチャガチャと動かし出した。ブライは見かねて言った。


「それは引戸だ馬鹿やろう」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ちゃんとやれているだろうか、ミルがそんな心配をしていると横から声を掛けられた。


「ハッハッハ、また合ったね。僕の名前はガーベル。僕の人生半分あげるから君の人生半分貰って良いかい?」


 通学中に会った軟派男だ。


「釣り合ってませんよ」

「ならしょうがない!等価交換でなければ意味がないからな。自己研鑽に励むとしようじゃないか」

「そうい----」

「コラ、そこ、先生が今喋ってるでしょうが」


 教師が2人の方を睨みながらそう言う。


「ハッハッハ。それは失敬」


 そう言ってガーベルが黙ったので会話は終わった。

 教師が一通り連絡事項を言うと教室を出ていく。ミルが授業の開始を待っていると、トランクを持った緑色の髪をした少女が話しかけてきた。


「ウチの兄がまたやらかしてるみたいで本当にごめん。いつもはもう少しおとなしいんだけどねぇ。」

「いえいえ、気にしないでください。ところでガーベルさんは何処に?」

「ベル兄なら甲羅背負って『瓶』って書かれた石を探してくるって言ってたよ。自己研鑽がなんだとか。

 まぁ休み時間終わる前には帰ってくるでしょ」

「そうですか」


 ミルはほんの少し沈んだ声で言う。

 緑髪の少女はトランクを机の上に置いて言った。


「これ、ここで使う教科書ね。ああ、自己紹介がまだだったね。私はリナリア、よろしくね」

「よろしくお願いします」


 そう言って元気良く手を差し出してきたのでミルはそっと手を握った。するとリナリアは嬉しそうに言う。


「フフ、スラッグレイ家のメイドと握手できるなんてね」


 ミルは怪訝そうに聞いた。


「そんなに凄いことですか?」

「そりゃ凄いわよ。ほら、スラッグレイ家って貧民に優しい貴族じゃない。炊き出しとか良くしてるし」

「ああ、そういえばやりましたね。そんなこと」

「それでメイドだって言うのに、わざわざ貧民街に来て炊き出しを手伝ってる姿を見るとね、やっぱり憧れちゃう訳わよ」


 何処か誇らしげに語るリナリアを横目にミルは押し黙った。

 確かに炊き出しの手伝いはしているが、それはただ単にブライ達の側に居たかったからやっただけなのだ。


(何か申し訳ない......)


 ミルがそんな事を考えていると、リナリアは少し興奮気味に言った。


「そういえばさ、ブライ様とはどんな感じなのよ」

「どんな感じと言いますと?」

「そりゃさ、ずっと一緒に居る訳だし胸がときめいたり、恋に発展したりとかさ」

「恋......ですか。良く分かりませんが、ブライ様の事は愛していますよ」

「おー!やっぱり?メイドと主人の結婚も最近じゃ珍しくないからね。

 となると......フフ、強敵出撃だな、こりゃ。」

「いや、あの、何というか......」


 ミルがしどろもどろで居ると鐘の音が響いた。


「あ、予鈴なった。1限目なんだっけ?」

「確か魔術の実技だったかと」

「ああそっか、じゃあ、これを渡しとかないとね」


 そう言うとリナリアは、自分のバックから綺麗に折り畳まれた白いチェニックを取り出して、ミルに渡した。


「あの、これは」

「メイド服で実技をするつもり?」

「ああ、そういうことですか」


 更衣室はどうやら余った部屋をそのまま使っているようで、教室と殆ど同じ外観をしていた。

 部屋にはそこそこの人数の生徒が居た。


「魔実の次、環境学じゃん。絶対寝るわ」

「分かる。あの先生の授業つまんないのよね~」


 そんな会話が聞こえてくる中、ミルはリナリアと話しながら部屋の端っこで着替えていた。


「大丈夫?この実技の時は着替えるって制度、結構不評なのよね。

 まぁ、そりゃせっかくオシャレしてるのにこんな地味な服に着替えさせられるんじゃねぇ」

「そんな、この地味さが良いのに......この服ならブライ様の存在を引き立てられるじゃないですか」

「え......まぁ、あなたがそれで良いなら良いけど」


 そんな会話をしながら着替え終えると、ミルはリナリアに連れられ、学園の外れにある訓練所に連れてこられた。

 訓練所と言っても何もないただのグラウンドだが。

 グランドからは生徒達の他愛の無い会話が聞こえてくる。

 ミルが辺りを見回すとチェニック姿の生徒の中に、チェニックがぱつんぱつんに張り裂けそうなくらい筋肉が張った、ゴリラみたいな図体の巨漢が居た。

 背中を向けていた為、顔は見えなかった。ミルとリナリアが訝しげにその巨体を眺めていると、巨体がミルの方へ振り返った。

 その顔を見てリナリアが顔をしかめる。


「願いましては5695147×6547821=37290803124687也!

フハハハ、御明算!見よ!この頭脳!」


 ガーベルと思われる巨漢が笑いながらそう言った。ミルが呆けているとリナリアが問いただす。


「ちょっとベル兄!?何やってるの?」

「ハッハー!自己研鑽さ!ミルさんに見合う男になりたいからな!見よ、この筋力!」


 そう言って懐からレンガを取り出し、握り潰した。


「まったく、何でこう......いっつも......」


 リナリアはため息交じりにそう呟く。そんなことをしていると教室に居た教師が訓練所に現れる。


「はいはい、皆集合」


 その場の空気が少しだけ静まる。教師は集まってきた生徒を手際よく並ばせて言った。


「取り敢えず昨日の続きするから2人1組になって」


 生徒達は再びガヤガヤと喋りながらグループを作っていく。その中でミルはリナリアに声を掛けた。


「グループを組んでくれませんか?」

「別に良いけどブライ様と組まなくて良いの?」

「私なんかが組むなんて恐れ多いですよ」


 リナリアがブライの方を見るとガーベルがブライに声を掛けていた。


「ブライ殿!僕と組んで致しくれませんか?」

「ペアを探していた所だ。助かる」

「フハハ!良い汗を流そうでは致しありませんか!」


 2人の会話を聞いてリナリアはポツリと呟く。


「向こうは大丈夫そうだね」


 生徒が全員相手を見つけたのを確認してから、教師は地面に手を当てた。すると地面に大きな白い長方形の枠が浮かび上がってきた。

 その様子を見てミルはリナリアに聞いた。


「何をするんですか?」

「魔法使った模擬戦。あの白い線の外に出るか、降参した方が負け。対戦よろしくね」

「え......」


 そんな話しをしていると教師が口を開いた。


「誰か最初にやりたい人居る?」

「早速行っちゃう?」

「えー、やだよ」


 生徒達がガヤガヤと騒ぐ中、ブライは訓練所の端に移動しながらガーベルに言った。


「敬語は使わなくて良い。気を張らないでくれ」

「気遣い感謝する!貧民街出身なもので、そんけいご?に疎くてな、見苦しかったらすまない」

「大丈夫だ。良ければ今度、私が教えよう。貧民街ではちゃんと学ぶ機会もなかっただろう。

......大したものだよ。そんな環境で試験を合格するなんて」

「兄妹が待っているからな!死に物狂いで勉強した結果さ。

 まぁ、環境が恵まれていたというのが大きい。兄さんに感謝だな」


 訓練所の中央から火球と岩石が飛び交った。模擬戦が始まったのだ。

 模擬戦を見ながらブライは続けた。


「すまない」

「何故謝るんだい?」

「君達が貧困に喘いでいるというのに、貴族として産まれたのが申し訳なくてな」

「ハッハッハ、気にすることはないさ。君は財力を持って産まれた。私はこの力を持って産まれた。それだけじゃないか」


 右腕を曲げ、筋肉を見せつけながらガーベルはそう言った。


「そうか」


 ブライがどこか微笑んだ様にそう言うと、教師の大きな声が聞こえてきた。


「次、やりたい人居る?」


 それを聞いたガーベルはブライの方へ振り向いて言った。


「行っても良いか?」

「もちろんだ」


 ガーベルが手を上げながら訓練所の中央に走り出す。ブライは深呼吸をしながらそれに付いていった。

 向かい合い、お互いに構えると「始め!」という教師の言葉が辺りに響く。

 開始早々、ブライは先に仕掛ける。右腕を前にかざし、突風を繰り出す。

 突風は直撃するも髪を靡かせるだけでガーベルは微動だもしなかった。

 ガーベルは何事もなかったように右手を広げ、口を開く。


「人にはそれぞれ魔力の形、属性がある!僕の属性は水!濁流を存分に味わえ!」


 訓練所の隅っこでミルはポツリと呟く。


「何故、突然そんな一般常識を......?」


 隣で見ていたリナリアが答える。


「言いたいだけだと思う」


 右手が青白く光ったと思うと、ガーベルは手を前に翳す。すると龍と見まごう程の大量の水がうねりながらブライを襲った。

 水を放ち続けていると、ガーベルはある違和感に気が付く。人に当たった感触がしないと。

 ただならぬ気配を感じ、後ろを振り向くとブライが直ぐ後ろで腕を構えていた。

 避けるよりも速く、凄まじい暴風がガーベルを襲った。

 数メートル吹き飛び、白線を飛び出しそうになるも、必死にこらえる。

 ガーベルはブライの方へ振り向いてから言った。


「フハハ、やるじゃないか」

「ミルに格好悪い所は見せられないものでな。全力で行かせてもらう」

「ハッハッハ、なら僕もその心意気に全力で答えよう!」


 ガーベルがそう言うと両腕が水に包まれる。そのまま右手を腰の辺りまで引くと、右腕から激流がジェット噴射のように吹き出した。

 そしてブライを目掛けて地面を蹴る。ブライはガーベルから繰り出された目にも止まらぬ速度の右ストレートを飛び退いて回避する。

 右ストレートは地面と衝突し、土煙を上げながら凄まじい衝撃波を辺りに巻き起こした。

 


「恐ろしい威力だな」

 

 土煙を風魔法で晴らしながらブライはそう言う。ガーベルの腕は深々と地面に突き刺さっていた。

 ガーベルが笑みを浮かべて言う。


「フハハ、見てくれたか、僕の全力!さす

がは僕の最高火力。腕が抜けん!」

「大丈夫か!?」


 ブライが先生を呼びに走るのを見てミルがポツリと呟く。


「何て威力......ブライ様に当たってたらと思うと......」

「あー、大丈夫。手に纏ってる水がクッションになるから当たっても怪我しないよ。めちゃくちゃ痛いらしいけど」


 リナリアとそんな会話をしていると教師が少し離れた所にもう1つ白い長方形の枠を浮かび上がらせた。

 そこに2人の生徒が入り、模擬戦が始まった。

2人の生徒が魔法を撃ち合う中、ウォーミングアップをしながらリナリアは言う。


「他の皆はこれで終わるから、次は私達だね。ブライ様にカッコいい所見せるためにも負けないんだから」

「リナリア様もブライ様のことが好きなんですか?」

「わかる?まぁ、そりゃバレるか。実は私、貧民街出身でね。ブライ様には良くお世話になってるのよ。

 炊き出しで会った時にも優しくしてくれて、こんな人と結婚したいなって思ったの」

「分かります。あの人は心の底から民の事を思っていますから。炊き出しの内容も味と栄養をしっかり考えてるんですよ。

 今も先頭に立って貧困問題に取り組んでいるのです!」

「おー、凄い熱量。こりゃ強敵だな」


 そんな会話をしていると、ブライとブカブカなチェニックを着た黄色髪の少年がミル達の隣に座った。


「ハッハッハ、最後はリナリア達か。ミルさん、リナリアは強いですよ!」


 ミルは一瞬、困惑した表情を浮かべてから言った。


「ガーベルさん、どういう身体の構造してるんですか?」

「わからん!」

「多分そういう生物なのよ」


 他人事のようにリナリアは横から口を挟んだ。ブライはガーベルに興味深そうに聞く。


「あの魔力はどう身に付けたんだ?コントロールだって正確だった。

 それに短時間とはいえあのパンプアップ、どうやったのか教えて欲しい。それに......」

「ハッハッハ、質問は1つずつ頼む!」


 2人の会話を聞きながら、ミルは少し寂しそうな表情を浮かべてると言う。


「少しアップしていきますね。1人の方が集中できるので」

「分かった。模擬戦、楽しみにしてるぞ」


 ブライに軽く会釈してからミルは3人から少し離れた場所に行き、おもむろにアップを始めた。

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