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第六章 6

「そうだからお前を手に入れられたわけで・・・俺としては有難かったりする。そうでなきゃ、お前はとっくの昔に誰かの女になっていただろうな。・・・・あ、悪い・・・決してお前が一人でいたことを喜んでいるわけじゃないんだ・・・。・・本当にすまない」

 受け入れられず、独りでいたことをよかったなどと受け取られる言い方に、すぐに男が謝る。

「うふふっ、別にいいのよ? だって、本当のことだもの。でもね? そのおかげでわたしは貴方を好きになれたわ。だから貴方を・・・愛せたの」

 二人だけの部屋で、男だけに見せる笑顔が、今は周囲にも見られてしまう。その笑顔はとても幸せそうで、満ち足りていて、喜びに溢れていた。見る側にもそんな感情を与えるような、かけがえのない輝きだった。

 満月のような瞳が細められ、射し込まれる光を一身に受ける男は、少女という月の恩寵を得る。それは、天から賜る星の祝福だった。

「愛してるわ・・・ずっと、永遠に・・・・・」

 曇ることも絶えることもない煌めきが、男の心へと注がれる。それは、深い深い空の下にまで注がれる。

「・・・ああ、ありがとうな」

 自分には不相応なまでの少女からの贈り物に、男はただ頭を撫でることしかできなかった。けれど、少女はそれで十分だった。受け入れてもらえて、男を受け入れられて・・・・もうそれだけで満足だった。これまで否定しかなかった時の中で、唯一男だけがそれを壊してくれた。それから救ってくれた。だから、今がかけがえのない時となった。

 少女だけが男の世界であるように、少女もまた男だけが自分の世界であった。

 結局のところ、二人は似ていた。同一と言っていいくらいに似ていた。だからこそ、男は少女を受け入れられたのかもしれなかった。

「で、昼飯までどうしたい?」

「そうね・・・適当に回ればいいんじゃないかしら?」

「じゃあ、ウインドウショッピングでもするか。欲しいのがあったら買ってやるぞ?」

「・・・その時はお願いするわ」

 幼女のような、少女みたいな、女性の様な・・・・色々な顔が混じり合った、そんな天使が微笑みを浮かべながら返事をした。




 適当に少女が合いそうな服を見ていくだけで大変だった。その容姿はもう嫌になるほどに人の視線を集め、その都度ざわつかれてしまう。店の店員もそんな少女を見る度に、似合う服を選んで見せると言っても、その全てが横一線のレベルで似合うので、全てを買って下さいとはとても言えなかった。転々と回っていっても全てがそれだった。

「そう考えると、その服を選んだ店員は凄かったのか?」

 少女が着ている服を見る。今日は上着を着ていても、首の所だけを止めて、前を閉じていないので服が良く見えた。少女が言うには、熱さ寒さで病気にならないから必要のないもので、羽織る必要もないらしい。この格好も、あくまでも人に合わせてそうしているだけとのことだった。

 けれど、今は別の意味もあった。男から買ってもらった服が、少しでも汚れないようにしたかった。

「どうなのかしら? むしろ、若かったからこそ、何も考えず目についた物を選んだだけかもしれないわ」

「そうなのか?」

「少なくとも迷うことなく『なかなか似合う方がいませんが、お客様でしたらきっとお似合いです』といって進めてきたわ」

「似合う人がいないって・・・それ店員が言っていいのか?」

 そう言いながら、ある意味それが正しいのかもしれないと男は思った。少女は人間とは次元が違っているのだから、普通の人間には似合わないものでも着こなせるのだと。そうなると、一般的な服などでは、この少女の魅力を真に引き出すことはできないと思う。

「恐らくダメでしょうね。でも、若いのだからそれでいいと思うわ」

 一見否定しているようでありながら、あるがままでいいと、少女は微笑みながら言う。

 否定するのではなく、それを受け入れる。少女のその考えが好きだ。だから自分は、この娘を好きになったのだと思えた。

「・・・そろそろ昼になるが、飯でも行くか?」

「その前にもう一ついい?」

「んっ? 珍しいな、お前が行きたいところがあるなんて。因みにどこだ?」

「前にも行った所よ? ほら、寝間着を買った・・・・」




「それで? バカップルに磨きをかけて? うちにそれを見せつけに来たわけ? んっ???」

「なんで、ふきげ・・・・あっ」

「? どうしたの?」

「はい、そこっ! 察しないの! ブッ飛ばすわよ?!」

「・・・すまん」

「???」

 入ってそうそう、コントのようなことを繰り広げてしまう。従業員は前の店員だけだった。そして今日はクリスマス。後は言わずもがな・・・・

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