第五章 12
やがて熱が思考を溶かしていき、何も考えられなくなる。
「すっ、きぃ・・・っ! だい・・・っ! すきぃっ! んんっ?!」
男に抱きついて感情のままに叫ぶが、それは口を重ねて防がれる。男は周囲に少女のこんな声を聞かせるのが嫌だった。自分だけがこの声を聞いていたい、独占欲からの行為だった。
待ち焦がれていた時間に没頭していき、二人の伽は紡がれていくのであった。
事が終わって布団の中、二人は一糸まとわずの姿で寄り添っていた。
「なんというか、すまん。手加減はしていたつもりなんだが・・・・」
「んっ・・・だい・・じょぶ・・・・よ?」
肩で息をしながら、熱を帯びた、切なげな吐息を漏らす。その頬は真っ赤に上気していた。
「ふふっ・・・これで、ほんとうに・・・貴方の・・女ね・・・・」
「そういう顔されると、本気でしたくなるから勘弁してくれ」
「・・・じゃあ・・・・毎日・・・して・・・はやく・・慣れないと・・・・ね?」
「・・・せめて明日くらいは身体を休めとけって」
「へいき・・・よ? そういう、ふうにも・・・できて・・いるから・・・・・」
「・・・初めてなんだろ?」
「そう・・・よ? 貴方が・・・・わたしを、最初で・・・最後に・・・・・抱いた人よ・・・?」
「それでも・・・順応が早いのか?」
「・・・伽を求める・・・・人間のために・・・・ね・・・・痛がったり・・・・感じなかったりしたら・・・・・そんなの、いやでしょ・・・・? だから・・・・そういうふうに・・・・されているの・・・・・・でも、だれも・・・・・求めて・・・・・こなかったけどね・・・・・・」
「・・・それは、お前が痛くなくて、気持ち良くなるっていう考え方をしていいか?」
「・・・ええっ。だから・・・そんな顔しないで・・・・?」
そっと男の頬を撫でていく。やるせない思いを浮かべている男に、微笑みかける。
触れるとまた男の感情が流れ込んでくる。少女をモノ扱いさせるようなやり方に、憤っている感情だった。こんな自分のことで怒ってくれる男の感情が嬉しかった。
「それに・・・わたしは貴方のモノよ? 貴方になら・・・何をされてもいいし・・・・貴方の・・好きにして・・・・?」
「そうか・・・・じゃあ、これからも側にいてくれ」
そういって少女を抱きしめる。
「残りある限り、お前を幸せにする。決して忘れることがないように、心の奥深くまで幸せに染めてやる」
感情が流れ込まなくても分かる。今、男がどれほど想ってくれているのか・・・・どれほど、愛してくれようとしているのかを。もうそれだけで少女は幸せだった。これ以上の幸せなど存在しないと思った。
「・・・貴方は・・・・どれだけ、わたしを・・・・泣かせるの・・・・・?」
「お前が・・・今まで泣けなかった分を、泣ききるまでだな」
「あ・・・んっ・・・・・」
何か言おうとしたら、いつものように口を塞がれる。これにはもう手も足もでなかった。男が覆いかぶさってくる。口づけの角度や深さを変えながら、飽きさせない交わりに酔わされる。
夢のような時間を甘く揺蕩いながら、やがて眠りに落ちていく。
こうして契りを結んだ二人は、翌朝からはこれまで以上のバカップルっぷりを発揮する。その感情はとてつもなく甘いものであり、胸やけを起こすこと確実と言えた。何かにあてつけるかのように、男は少女とそうしていくのであった。




