<<第四章 デート~心の中心で爆発しろと叫ぶ男たち~>>15
少女はデートの日まで指折り数えながら日々を過ごす。その間に読もうとしていた作品は半分ほどを読んだことと、男から自分のことであまり熱くならないようにと心配をされた。この間の二人みたいなのが大多数であり、少女は少数派だから、いくら訴えても理解できなくてイライラするだけ損だと。そんなことできるわけがないと思い、男に尋ねてみると・・・
「貴方はわたしのことでそれができるの・・・?」
「何言ってるんだ? お前のことに関してだけはそんなことできるわけないから、帰って抱きついて癒されたに決まってるだろ?」
その返事が嬉しくて、あれからそういった感じがある時には男を抱きしめ、ナデナデしようと思った・・・・が、気づけばそんなこととは関係なく、ことあるごとに少女は男を愛でるようになっていた。珍しいことに男がその行為には恥ずかしがるので、そのたびに少女は伝家の宝刀である。
「わたしじゃ・・・いや・・・・?」
を、男に言う。なんだかんだ少女にぞっこんである男が、そんなことを言われて嫌と言えるわけはなく、最終的には『ハグハグなでなでの刑』を受け入れる。
その仕返しか、男も少女の唇を容赦なく奪う『ちゅっちゅっの刑』をするという、頭の悪いことをし始める。
肉体関係がないとはいえ、それは健全なものと言えるのかどうか怪しかった。むしろ、その一歩手前で止めている辺り、ある意味では不健全ともいえそうだった。
隣人の独身男性が見れば『爆発しろっ!!』と、叫びそうなことを毎日繰り返す。そんな『らぶらぶちゅっちゅっ』な日々を過ごすうちにデートの日を迎えた。
「準備問題ないか?」
「ええっ、だいじょうぶよ」
少女は先日購入した服を着ており、やはり二度見てもその美術品のような姿には惚れ惚れとしてしまう。その姿でいるだけで、そこには少女の世界が色づく。
その存在は雪の精霊のようであり、天使のようでもあり、成熟中の女神のようでもある。愛らしく、可憐で、これからもより美しさを磨くであろう気品のある姿を前にして、心と魂を奪われないわけがなかった。
その姿をずっと眺めていたかったが、いつまでも見ているわけにはいかないので行動を開始する。
「・・・じゃあ、行くか。あ、ちゃんと上着は羽織れよ?」
男が靴を履き、荷物を持ってドアを開けようとしたところで、少女が後ろから声をかける。
「ちょっと待って・・・その前に」
その声に反応して振り向けば、少女が首に腕を絡めて来て唇を重ねてくる。玄関の段差を利用して身長差を埋めているので、男が少し屈めば特に背伸びをすることもなく口づけられた。
「んっ、ふ・・・っ!」
男が深くして来て、思わず声が漏れる。それでも少女は男を求めて、離れようとはしなかった。背中に片腕を回され、抱え上げるようにして求められる。お互い積極的に相手を求めあい、長いようで短い時間を味わう。
「・・・もう、おわりなの・・・・?」
あまり深入りしすぎないようにと男から口を離す。
少女が名残惜しくてそんな言葉を漏らす。物足りないのだろう。
「いつまでもしちまうから、外にいけないだろ? また帰ってきた時にゆっくりとすればいいさ」
「そう・・・ね。ありがとう。これで少しは我慢できそうだわ」
嬉しさを隠さずに、重ねたばかりの唇に指で触れる。そこに残る男の温もりを忘れないようにと。
「しかし、お前も好きだよな・・・キス」
「それは貴方もでしょ? 最近はスキさえあればわたしから奪うのだから・・・・」
「その分お前は俺をなでなでしてるだろ? だったらそれくらいしても罰は当たらないと思うんだ」
「・・・そうね」
他愛のない(?)会話をしながらも少女は靴を履き、男の腕に自分の腕を絡ませる。
「じゃあ、行きましょう?」
「ああ・・・」
ドアを開けてカギを締める。外の寒い空気が肌から熱を奪うが、少女とくっついている所は暖かい。まずは駅を目指して歩いていく。それほど遠くないので、この状態でも15分はかからない。ここの所、出かけるときには手を繋ぐよりも腕を組むのが主流になってきていた。
『寒いから腕を組む方が暖かいわ』
少女のその言葉(本音は腕を組みたい)がきっかけとなり、今や恋人よろしくの腕組み状態が普通になっていた。買い物に行くときでもこれなので、最初は毎度おなじみのおばちゃんズにネタにされたが、少女の惚気具合にさしものおばちゃんズもちょっかいを出すことを控えるようになった。




