<<プロローグ ~孤独な二人~ 男視点>>0
俺は上手く生きられない。
だから一人でいる。
最低限の関わりさえあれば問題ない。
自分を完全に捨ててまで、他者に迎合する気にはなれなかった。
都合のいい時だけにしか受け入れない人間など、どうでもよかった。
所詮奴らは裏切ることしかしない。
本能しかない奴らに命なんてものはなかった。
孤高を目指した・・・・目指すしかなかった。
絶望的なまでにこの世は虚しい。
絶望的なまでに現世には救いがない。
いや、むしろこんな世界が救われていいはずがなかった。
人間は救われる存在などではない、裁かれるべき存在だとすら思っている。
いつからかそれに気づいて以来、もう人生などどうでもいいと思った。
自分も同じ人間である以上、そこに救いなどはないからだ。
夢なんてものはとうに捨てた。
理想などは諦めた・・・・・ただの戯言だった。
いつか訪れる終わりだけが救いだった。
終わりへと近づく日々だけが慰めだった。
だが、生きるだけの人生は長すぎる・・・・あまりにも長い。
絶望ならばそれでいい、そこをうまく生きるのが知恵だ。
希望を捨てて、そこから何ができるかを考えるのが人の知恵だ。
しかし、そんな考えとは裏腹に、絶望だけが繰り返される日々に心は荒れていく。
俺はこんなことのために生きているのか、という疑問に蝕まれる。
そんな救いのない俺の前に、不思議な少女が現れた。
『恋人』にならないか?
少女との話しの終わり、最後口に出した言葉がそれだった。
想定外のことに、感情少ない少女が驚いているのが気配で分かる。
少女は少しだけ考えると、頭を縦に振ってくれた。
否定せず、受け入れてくれた事実がどこか嬉しかった。
正直に言えば、一目見て少女が気になっていた。
誰よりも愛らしい見た目をしていながら、誰よりも感情のない少女の笑顔が見たいと思った。だから俺は―――