旧友
こんばんは。
ちょっと、短めです。
ジェイドと手合わせしたその日の放課後。覚悟していた呼び出しが来た。
もちろん、すんなり受け入れたし、お茶をする予定だったリリーとカトリーヌ様には断りを入れた。本当に、申し訳ないねぇ……。
「失礼します。一年のミラ・ゼネルです」
入ってらっしゃっい。扉の向こうからの答えに応じて、一礼して入る。
「待ってたよ。さ、入って」
ナンネールは笑っていたが、親友だからこそ分かる。これは、笑ってないわねぇ……。
手元の魔具を操作した。防音の魔具か?
「久しぶりね、ミラ。いいや、ミネルバ?」
「久しいね、ナンネール」
ツカツカと近づいて来た親友を見て、ミネルバは大人しく正座をする。
「なにか言うことは?」
有無を言わせない圧がひしひしと伝わる。うわ……こんなに怒らせたのはいつぶりかしら?
「連絡を何十年も断っていて、すみませんでした!」
生を受けて早百年以上。その人生の中で一番キレイであろう、土下座をした。
「はぁ……、まあ、座ってよ。今、お茶を淹れるわね」
「ありがとう」
さすが、理事長室のソファー。フッカフカのモッフモフ。柔らかいねぇ。
「それで、今まで何処で何していたのかは陛下から聞いたわ」
あ、聞いたのね……。まあ、ジェイドの鼻を折ることも知っているようだったからねぇ。
「頑張ってたのね。だけどね、」
ーー連絡を断ってたのは許さないから!その理由ぐらい、寄越しなさいってことよ!もちろん、オルガもね!
「すまんねぇ……。巻き込まないためにやっていたのが、かえって、仇になってしまった……」
「心配したんだからね!全くもう!真っ直ぐなのはいいことだけどさ」
ミネルバとナンネールはかつての学生時代みたいにおしゃべりを楽しんだ。
「オルガ、海賊になってるわよ」
「海、好きだったしねぇ。自警団だし、あまり、問題視はされてない海賊団だろ?報告に上がってたわ」
「あら、そうなの?暗部なら当たり前よね〜」
用意されたお茶とちょっとしたお菓子を楽しみ、時間を忘れて話しまくった。
「そろそろ、時間ね」
「おや、もう一時間かい?時が経つのは早いねぇ」
「オルガにも近い内にあってあげてね。彼、ずっと待ってるから」
「迷惑なほどに、だろ?」
正解。ナンネールがそう答えた。
オルガも変わらないわねぇ。まだ再会してない旧友に思いを馳せて、理事長室を後にした。