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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編集

見浦亜奈の事件簿 〜〜イケメン人気俳優首吊り事件〜〜

作者: 黒崎吏虎

初めてミステリーを書きます。

正直完成度は高い自信はないです笑笑

短編では珍しい、三人称ということもありますが、これ大丈夫かな………という心配の方が勝ってますね。

 ある夏の朝のことだった。


北海道札幌市のホテルにて、イケメン俳優として人気を博していた「戸崎春馬(とさきしゅんま)」の首吊り死体が発見された。


ドアノブに布で括られている状態で発見された、とのことだ。


戸崎は主演を務める連続ドラマの撮影で北海道までロケーションに来ており、昨日の夜まではSNSでもライブ配信を行うなど元気な姿を見せていた、とのことであったそうだ。


ネットニュースやSNSの書き込みには、悲しみの声で溢れた。


原因を知りたい、「春馬くんが自殺などするわけがない」、などといった声が続々と寄せられている。


現に()()()()()()()()()()のだが、遺書もないことから()()()()()()()()という見方をする者もいた。


単なる自殺なら、普通であれば大事にはならないはずなのだが、検死を担当した病院と警察の見解が食い違い、言い争っていた。


「これは自殺ではありません、他殺です!!」


「何が他殺だ、死因は首吊りによる窒息死じゃないのか!!」


病院の看護師と、警察は譲らない。


他殺だという見解を出した病院側と、自殺と言わせたいのか、その見解の警察が高圧的な声で圧する。


「お身体を見てください、多数の打撲痕があるでしょう!? 何者かによって暴行を受けた形跡があるんです!!」


「戸崎以外にあの部屋にいなかった、以前から受けた痕じゃないのか!?」


「違います!! 検証の結果、まだ新しいという結論が出ました!! 何故自殺だと言えるのですか!?」


「我々は状況を検証した上でそう言っているのだ、そちらの思い違いではないのか!?」


意見をお互いに曲げない看護師と警察官、とそこに、遺体安置所の部屋のドアのノックが鳴った。


「失礼します。」


そう、静かな声質で響いた声で室内へと入っていったのは、端正な顔立ちをした、亜麻色の髪をした少女だった。


「………なんだぁ? お前は………ガキが入っていい場所じゃないぞ?」


「ええ。未成年ですよ、私は。ですが()()()()あります。」


「ハァ??」


警察官が訝しげに少女を睨む中、少女はスッと名刺を差し出す。


「フリーで探偵をやらせてもらっています、『見浦亜奈(みうらあな)』………と申します。以後お見知り置きを。病院側からのご依頼を受けて、来たまでです。」


「何を勝手なことを!!」


「状況はお聞きしました。死体状況を見て『他殺だ』と言えるのに………警察(あなたがた)が『自殺だ』と言い張っている、というややこしい依頼を受けまして。これでも資格は取得していますので、死体の扱いは問題ございません。」


これに警察は黙りこくってしまった。


亜奈は気にすることなく、冷たくなった戸崎の死体検証を開始した。


じっくりと、目視をしながら死因を見極めていく。


全員が息を呑む中、亜奈は戸崎の爪にある“何か”を発見した。


(…………?? なにやらゴミのようなものが………)


亜奈は他殺だ、と確信した上でこう告げる。


「………結果的には警察側の意見である、『首吊りによる窒息死』でしょう。ですが多数の打撲痕であったり、肋の骨折であったり………これは他殺ですね、100%と見ていいでしょう。」


激昂した警察が捲し立てて反論しようとしたが、亜奈は気にすることなく続けた。


「…………とにかくです、警察の方は捜査第1課ではないでしょう?」


「あ、ああ………」


「とりあえず鑑識の方以外、()()()()()()()()()()()。無能な人がいると事件解決に支障をきたしますので。」


言い方は悪いが、冷徹な目で見られては流石に退かざるを警察は得なかった。


すごすごと退散し、亜奈と鑑識官と、病院側の人間だけが残った。


亜奈は綿棒を取り出し、爪の何かを採取し、鑑識官が用意した検査用試験管に投入する。


(さて………一課の人の合流を待つとして、私個人で調査を進めていきましょうか………)


そう思い、亜奈は戸崎が宿泊していたホテルへと向かって行った。





 亜奈はホテルに到着したと同時に現場検証を開始した。


(………やっぱり荒らされてる形跡がある………それに出血痕まである、とりあえずこれも回収、っと………)


騒然としているホテル内では、やっぱり他殺なんだ………という空気が流れる。


ただ亜奈本人は泰然自若として捜査を独りでで進めていく。


亜奈が調査を開始してから1時間、警察の花形である捜査第1課が到着した。


「ああ、すまないね、見浦くん。また君の手を煩わせることになるとは……」


山代(やましろ)警部、私は構いませんよ。ただ………厄介そうな事件でしたので。」


「君は難解な事件を数多く解いてきたじゃないか。それで、今回はどうだ? 何か掴めたか?」


と、山代に言われた亜奈は、集めた証拠凡そ30点を提出する。


「これ、全て鑑識に回してください。他殺の証拠が色々と揃っていますし、戸崎さんの遺品も全て鑑識に。」


「ありがとう。助かるよ。ところで何回も言っているんだが………警察官に君はならないのか?」


「自由な立場の方が私としては行動しやすいのでお断りします。」


山代の勧誘にも、冷静に、無表情で対応した亜奈なのであった。




 そして宿泊していた客にも事情を訊く。


すると出てくるわ出てくるわ、状況証拠の数々が。


物音が夜中にしたと思えば、韓国語のような謎の言語が聴こえてきたり、とにかく慌ただしかったとのことで、薄暗くてよく見えなかったそうだが、マスク越しにエラの張った顔が見えた、とのことだった。


しかも1人ではなく、10人くらいで。


亜奈はこのことを山代に電話で報告した。


『はぁ?? どういうことだ、見浦くん。』


「事件の概要が分かった、ということです。私も戸崎さんのSNSを調べさせていただきましたが、彼はどうも()()()()()()()()()()()()()()()ようです。そしてドラマのスタッフの国籍も気になって調べてみたところ………ほぼ全員が日本に帰化した、元在日コリアンみたいですね。」


電話越しで呻き声を挙げる山代、そして亜奈にこう告げた。


『………わかった。相当な深い闇だろうということは分かった。君は鑑識の報告が来るまで札幌の町を歩いていなさい。未成年の君が首を突っ込んでいい案件ではないみたいだからね。』


「………では公安の方に捜査を委託してください。一課の方も2人ほど派遣もお願いします。」


『任せたまえ。あまり無理しても意味はないからな、君は君の安全を優先してくれ。』


「はい、では失礼します。」


亜奈は電話を切り、鑑識からの連絡を待つことにし、独り札幌の町をブラブラと歩いていった亜奈なのであった。





 3時間後。


亜奈の元に鑑識からの連絡が入った。


爪に付いていた“何か”の正体は、在日コリアンである通名「新井正昭(あらいまさあき)」の皮膚片であることが判明した。


「やっぱりそうですか………」


『そのようだね。』


「とにかくこのことは北海道警察から大体的に発表してください。早急に犯人を逮捕した上で、ですが………おそらくもう航空チケットを取って札幌から抜け出しているはずです。そして依頼主の東京へと向かうはず………即座に東京の公安に連絡し、彼の逮捕をお願いします。私の考察が正しければ、一度自宅に帰ってからそこに向かうはず、つまりは夜8時………彼の逮捕と同時に動かぬ証拠も抑えられますので。」


『なるほど………よしわかった。伝えておく。』


鑑識官は電話をきったと同時に、公安に連絡を入れた。


そして会話を終えた亜奈は、ラーメンを注文し、啜りながら考えていた。


(………やっぱり芸能界は闇だらけ、ですね………事件自体はチャチなトリックでしたし………()()()()()()()()()()………まさにその通りですね、()()()()()()()()()()()()………戸崎さんは特にファンが多かったし、アンチも多かった………動機は()()()()()()()()、でしょう。ま、全てが当たるとは思いませんしね。私はただ、死体が描く情報だけを精査しているだけにすぎませんからね………)


その後、亜奈の考察がバッチリと当たり、午後8時に新井は殺人容疑で逮捕された。


無論容疑は、戸崎の殺害で、というシンプルな理由である。


新井が吐いた情報を元に、依頼主である戸崎主演ドラマの脚本家や共犯者も、芋蔓式に逮捕されていき、「イケメン人気俳優首吊り事件」は無事収束した。


表向きではあるが。


大体的に報道されたことで戸崎関連での報道が炎上したのであった。


「戸崎自殺論者」のSNSは大いに荒れ、テレビも、特に彼をドラマの主演として起用していたテレビ局は今回の事態を受け、ワイドショー番組が次々に打ち切りに追い込まれていった。


戸崎春馬の遺した「死体の声」は、余波がひどく広がり、収束の兆しがまったくもってつかなかったのである。





 亜奈は翌日、道警本部へと呼び出された。


今回の捜査の礼をしたい、とのことである。


感謝状を授与しようとした警視監ではあったが、亜奈は必要ない、としてこれを拒否した。


「君は本当に無欲な子だな………君に欲しいものはないのか?」


「………ないですね。強いて言うのであれば………インパクトのある殺人事件が欲しいですね。」


「君はまだ高校生じゃないか。欲しいものは今のうちに得ておいた方が人生得するぞ?」


まるで孫娘を見るかのような目でそう語る警視監だが、亜奈は意にも介さなかった。


「………欲しいものは買えば得られますが、現実はそうもいかない………特に親や環境に恵まれなかった子ほど、恨み、妬むものです。」


亜奈はそう呟き、立ち上がった。


「私はただの流離(さすらい)の探偵です。誰が犯人だろうと、私は事件解決に向けて動く、それだけのことです………では、失礼します。」


亜奈は頭を下げて、道警本部を後にしたのであった。




 まだ17歳の「現役女子高生探偵」として、警察内ではすっかり有名人となっている見浦亜奈、彼女はこの2年後、旭川で起こった連続殺人事件を相手することになるのである。

この小説は、「僕のミステリーを読んでみたい」という読者様からのお声に沿いまして、全年齢対象で、且つ短編として投稿させていただきました。

久しぶりに短編を書きましたが、僕は物語構築は長い方がやりやすいな、ということをやってみて改めて思いましたねwww


もっと亜奈の話を見たい、という方は、また違う事件も検討していますので、よろしければ高評価、ブックマーク、いいねをお願いします。

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