廊下
「これから入学式がありますんで、体育館へ行きます。つまんないだろうけど、まあ、儀式みたいなもんだ。それ行くぞ」
担任はフランクなのかいい加減なのかそれだけ言うとスタスタ出てってしまう。
癖のありそうな先生に当たったな。
クラスメイトも戸惑ってるみたいだし。
「自由な先生みたいだね」
「そうだね。……あんまり生徒に協力的じゃないかもね」
「昨今の教師なんてそんなもんでしょ。期待しないの。さ、行こ」
優を、皮切りにゾロゾロと体育館へ向かうクラス一同。
一斉に動くから廊下が人でいっぱいだ。
「野薔薇姫、大丈夫?」
優の身長はかなり高かく、ほぼ真上から声がする。
それよりも問題がある。
「え、野薔薇姫呼び確定?」
姫付の呼び方気にったんだろうか。
「可愛い俺のプリンセスじゃないか」
「どっちかって言うとプリンスなんだけどな」
「俺より背低いし、お姫様抱っこしたいくらいだよ」
「……女の子らしさどこいったんだよ」
「……く、くせでつい」
「中学時代をみてみたいね」
お姫様抱っこが癖ってどんな中坊だよ。
ハーレムでも作っとたんか、コイツ。
「……それは家に来たいってこと?」
優は中々見当違いなことを言う。
なんで家?
「ん?そうじゃないけど」
「あ、そっか」
「ああ、うそうそ!めっちゃ行きたいな!」
否定すれば明らかにしゅんとした声で相槌を打つからそばしのぎの言葉を言ってしまった。
「ホント!?」
お、可愛いな。
今更嘘とか言えない雰囲気になっちゃったよ。
え、マジ?女の子の家行くの?俺が?初めてなんだけど……
え、マジ?