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男(♀)と女(♂)
ジトーっとした視線にいたたまれない。
しょうがないじゃない、優ってば生涯見た顔の中で1番カッコイイんだもん。
「いえ、なんでもないですよ」
「ふーん」
優は、納得のいかない顔で、俺のほっぺをツンツンつつく。
されるがままである。
「……カップルみたいだな、オマエら」
槍桜は突拍子の無いことを言う。
脈略も何もあったものじゃない。
「なにを適当なことを」
「どんなところが?」
さっさと話題を打ち切ろうとしたが、予想外に優が食いついた。
「あ、前提として彼女が野薔薇姫ね」
「なんでだよ!」
いや、分からんでもないけど、違うだろ。
「童顔でちっちゃいから」
「俺が彼氏役かー」
「なんで、まんざらでもなさそうなんだよ。女の子に見られたいんじゃなかったのかよ」
分からん。男みたいと言えば不満そうにして、彼氏はいいのか。
同じだろ。
「おっと、そうだった。女の子らしさってなんだろうか」
「可愛さとか?」
「ふむ、……可愛いってなんだろう」
「もうダメじゃね?」