女装女子
「昔っからかっこよかったんだな」
「へへっ、そうだろ、そうだろ?惚れたか?」 「惚れるほどお前を知らん。しかし、美少年だな。この頃からモテたんじゃないか?」
「……あ、うん。ファンクラブあったよ」
「うげ、じゃあ、高校でも作られそうだな」
「あんまり嬉しくはないんだけどね」
「そういうもんなのか。ん?スカート履いてないか?」
「え」
「ほらココ。服装ひとつで令嬢みたいだな」
「ううぅ、忘れたい記憶だよお」
「なんで?これ修学旅行だろ?まあ、1人だけ大人びてるというか、浮世絵離れしてるけどさ」
「そうだ。色んなやつに囲まれて、クラスの子が先生呼んでさ、その後ボディーガードとしてずっと着いてくんの」
「このグラサンスキンヘッドの人か?堅気じゃないな」
「その後のあだ名聞くか?いや、聞くべきだ!そうして俺を慰めろ!」
「分かった、分かったよ。なに?」
「極道の若頭」
「たしかにな」
「納得するなよ!」
「でも、なんでスカート履いたんだ?」
「親の気まぐれでやたらいいワンピースを着せたがったんだ。周りにマウントを取りたかったんだろ。くだらねぇ」
「ふむ、今度服買いに行くか」
「へ?それはいいけど」
「飛びっきり可愛いワンピース」
「な、なんでだよ!嫌だぞ!」
「今の感じも似合うけどさ、女の子は女の子らしくして欲しいよ」
「野薔薇姫の意見だろ。なら断るよ」
「……こう考えようぜ」
「なに」
「女装男子ってあるだろ?」
「まあ、たまに聞くな」
「なら、優は女装女子だ」
「女装女子ぃ?」