17/25
異性
「よし、じゃあ俺ん家行くか」
優は上ずった声でそう言った。若干顔も赤くして照れた様子も見て取れる。
「なんでそんなに緊張して……」
「ねぇ、なんで言葉と切ったの?ねぇ、なんで?」
「い、いやー。何でだろうねー」
や、やべー。毎回やらかす。どうしても女の子と脳みそが認識しない。
声は高いし、骨格だって丸いのに。
冷や汗がダラダラ流れて視線をあらぬ方向へ。
「フンっだ。絶対に返してあげないからな」
ふくれっ面でそう言ってじっと見てくる。
イケメンがやるとそれはそれで様になるなと思いながらも1つ心配事がある。
「でも、家の人に悪いだろ」
「ん?親いないよ」
「あ、ごめん」
「いや、違う!勝手に殺さないで!仕事でいないって事!」
「ああ、そういう事ね。早とちりだった……ってええっ!?君女の子だよ!?」
「チッ、こういう時だけ……」
「え、なに?」
「なんでもなーい。野薔薇姫は俺になにかするつもりなのー?」
「馬鹿!友達になにするってんだ。はあ、調子狂う」
「………」
「なに突っ立てんの?行くんでしょ?道案内はしてくれよ?」