齟齬
結局目的地を優の家から、ショッピングモールに変更。
身のない話ばっかりだったけどあんまり途切れることもなかったし、久々に異性との会話で楽しいと思えた。
「さて、どーしよっか」
ショッピングモールでぶらぶら歩きながら楽しそうに言う、優の横顔にこっちまでつられて笑ってしまう。
「ノープランなのね」
兎にも角にもお昼には少し早いしな。
そういえばほぼ初対面で何しろって話では?
優のことなんも知らんのだが。
意外と運動が出来ないって話がインパクトに強く残ってて、他は俺の事ばっか話してたしな。
「優って何が好きなの?」
「可愛いの」
「例えば?」
「え?」
優が可愛いのが好きと言った。なら、具体的に何が好きなのか聞いたのにほうけたような返事をされた。
「え?じゃないよ、だから、例えばなにを可愛いと思うのって」
こっちを見下げてポカーンと突っ立られても困るから、もう一度聞き直す。
「あ、えへへ。うん、そっか。ふーん」
すると、徐々に感情が戻ってきたのか、バグったのか気持ち悪い笑い方をして、独りでに納得した。
「え、なになに怖いんだけど」
「ふっ、野薔薇姫は良い奴だなって」
「あ、どうもって、話噛み合ってないんだけど!」