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最悪な口
なんの楽しみもなかった高校受験も終わっていよいよ高校生。
張り切って登校したはいいけど早すぎた。
電気も付いていない静かな暗い廊下を歩く。
ガラガラと扉を開いたら今日からお世話になる狭い箱庭に机が並ぶだけ。
生活感は何も無い。
「まだ、誰もいねーや。俺のクラスは……1-Bか」
校庭はピンクの絨毯で広がっている。
降る雨は桜色。
いい日になりそう。
席は黒板に書いてあった。
歩く度に少し軋む床をスリッパを引きずりながら見に行くことにした。
俺は1番後ろの端。
漫画とかでよく見る席だ。ラッキー。少しだけ憧れてたんだよな。
とは言っても1時間も前に来るのは早すぎたな。
これからクラスメイト達と仲良くやって行けるか、友達とかちゃんとできるかなぁと不安に思う気持ちを誤魔化すようにテキトーにポチポチスマホをいじって時間を潰していたら夢中になってたみたいで教室に入ってきた人に気づかなかった。
「よう、よろしくな」
「え?わー、カッコよ」
「俺、女はなんだけど……」