第4話 エラクスカ姉妹
「何が言いたいんだ?俺は今も十分かっこいいだろ。むしろ以前に比べてヴィジュアルの良さは倍増したぞ」
そう。俺はこの世界に転生してから変化したことがある。
魔王討伐の合間に色々あって俺はある性を背負うことになったんだ。
その印として、俺の左の前髪には赤いメッシュがかかっている。
そして俺の双眸は右眼が漆黒、左眼が深紅のオッドアイだ。
「あんた、それ本気で言ってんの?」
ライカから軽蔑するような冷淡な眼差しを向けられる。
生憎俺は臆病な者で、そんな表情で見つめられたら萎縮しちゃうんだな。
だから俺の容姿の自画自賛はもうこれ以上しないことにした。
でも俺の発言のおかげか否か、さっきまで不穏な空気を放っていたこの空間が、ほんの少しだけ和んだ気がした。
「お姉ちゃん、少しチカゲくんに厳しすぎない?」
そんな言葉をライカに向けながら俺たちの前に姿を現したのは、ライカと非常に顔つきが似た美少女だった。
ただライカとの相違点は、髪色だけだ。
彼女の名前はエリカ・エラクスカ。
青藍色のショートヘアで前髪は純白のリボンで左右に結わえられている。
澄んだ色白の艶のある肌はもはやアートと言っても過言ではないだろう。
顔の容姿が姉のライカと瓜二つなのは、流石血の繋がった姉妹と言ったところか。
エリカの性格はライカと対照的で、温和で優しい。
その上、上品で謙虚、さらに包容力もあり面倒見がいい。まさに淑女だ。
後、手先が器用で女子力が高い。
それに比べてライカときたら、短期でガサツで大雑把。
後、デリカシーがなく無神経で野蛮で破天荒な性格だ。
少し俺が脚色して表現した部分もあったが、大概はライカに該当してる。
ただエリカのは誇張してない。全て真実だ。
ライカとエリカは血縁者だというのに、どうしてこうも性格が真逆なのだろう。
これは世界の………否、宇宙の神秘だ。
しかしそれを言葉に出すことはない。
言ってしまえば、後々面倒なことになるからな。
トラブルはできるだけ招かないようにして生活するのが俺のモットーだ。
「エリカ………逆にあんたはチカゲに甘すぎるのよ」
ライカが嘆息しながら、呆れた表情でエリカに反論する。
「チカゲくんだって日々努力してるのよ?」
俺を板挟みにし、対峙する二人。
おいおい。俺をこの修羅場に巻き込むなよ。
……ってこの修羅場を作った元凶は俺か。
ってことは、俺が責任持ってこの二人の口論に終止符を打たなければならないのか。
憂鬱な気分に苛まれながら静かにため息をつく俺。
俺は二人の口論を止めるためにソファから立ち上がった。




