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「政宗さん、あの……、」
「政宗でいい」
ふわふわと癖のある黒髪に、刃のように鋭く澄んだ紫の瞳。
すっと通った鼻筋、薄い唇。
どれをとっても美しかった。
刹那、見つめていた政宗の瞳が妖しく光る。
そして、意地の悪い笑みを浮かべて私の顔を覗き込んだ。
「どうした、俺の顔に見惚れたか?」
「うん、政宗は格好いいと思う」
「へえ? 否定しないんだな。 素直な女は嫌いじゃない」
彼はその綺麗な指で私の顎を掴み、上を向かせる。
視線が重なった政宗から衝撃の一言が放たれた。
「お前は平凡な顔立ちだな」
ぴしり、と固まる私。
自分の顔が整っているとは思っていないけど、改めて言われると何だか腹が立つ。
それが、この男だと尚更。
「ひどい!」
「そう怒るな、余計醜くなるぞ」
「今度は醜いって言った!」
「安心しろ、見れない程ではない」
「もうやだ」
政宗は、くつくつと喉を鳴らして笑う。
かなり悔しいけど、その笑顔も絵になるわけで。
「ねぇ……、」
「静かにしろ」
政宗は静止の声を上げ、後ろから抱き締めるように私の口を塞ぐ。
途端、辺りの空気がどんよりと重くなった。