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土地域 尋問

屋敷に戻った煌の元に霧と白雪が走り寄って来た。


「ただいま」

「煌様、ご無事で」

「よかった」


千歳と雀は少し離れたところで寄り添いながら三人の様子を優しげに見ている。


「早速、始めよう」

「はい、捕らえた者たちは客間におります」


煌はコートだけ脱ぐと霧に渡した。

霧が客間の扉を開け煌が中に入ると客間の中が、ざわめく。

千歳が椅子を雀が紅茶を入れ煌に差し出し、それに腰掛けながら紅茶を受け取り喉を潤した。


「はぁ、ありがとう」


空になったカップを雀に渡すと煌は捕らえられた者達を見据える。


「待たせてすまなかった、知っていると思うけど志郎の屋敷に行っ」

「煌様、これはどういうことなのですか!?……私達、夫婦は息子の件でお詫びに伺っただけですよ!!」

「そうですわ!!、(わたくし)たちが、このようなことされる筋合いはありません!!」


椅子に縛られた身なりの良い夫婦が興奮した様子で騒ぎたて煌は眉を細めた。


「お二人とも、お静かになさって煌様の声を遮るなんて……失礼な方々」

「雀の言うとおりだな、だから息子も、あぁなのか」


「なっ!?」

「なんですって!?」


縛られたままの女が雀を睨む、それに動じることなく雀は上品に微笑んでいる。


「雀に怒鳴るな」


雀の前に白雪が庇うように立ち女を睨む。


「ひっ、近寄らないでちょうだい!!……鬼なんて気持ちの悪いッ!!」


「っ」

「!!」


「なんて、ひどいこと」

「ッ、よくも」


侮蔑の叫びに霧と白雪が目を伏せる。

睨まれても動じなかった雀が睨み返し、千歳は激昂し近寄ると女に銃を向けた。


「ひっ」

「待て」


煌が椅子から立ち上がり千歳が向けた銃を下げさせ手から抜き取る。


「っ煌様……申し訳ありません、勝手な真似を」

「いい、下がれ」


千歳は頷くと下がり、悲しげな雀を気づかい肩を抱いた。


「ぁ、煌様……ぅぐっ」

「黙れ……耳障りだ」


安心した様子で自分の名を呟いた女の前に立ち、見上げると煌は喉元に銃口を強く押し付ける。


「ぐっ、ぅぅぐあ」

「嘘偽りなく答えろ、いいな?」


女の隣に座り縛られた男に冷たい声と眼差しで煌は命じた。

男は妻が悶え苦しむ姿から目が離せず、煌が自分に命じていることに気づいていないようだ。


「僕は、お前に言っている、こちらを見ろ……返事はどうした?」

「かはっ、ごほ!!」


女の喉元から銃を外し男に近寄った。


「ひっ、ぁ、ひぃ」

「返事をしろ、それとも答えないということか?」


不機嫌そうな表情で見上げ銃を男の足の間へと差し込んだ。


「はひ」

「ここに来たのは志郎に命じられてきたんだろう?」


不機嫌そうな表情を優しげな笑みへとかえる。


「……そ、それは違」

「僕は優しいから、もう一度、聞いてやる」


優しげに笑んだまま銃の安全装置を外す。


「!?」

「お前が来たのは志郎に命じられたからか?、答えろ」


「は、ぃ」


微かに頷いた男から煌は銃を離した。


「き、煌様は(わたくし)は知りませんでした!!、夫についてきただけ、関係ありませんわ!!」

「なっ!?」


「そうか、関係ないか」


慌てて自分は関係ないと甲高い声をあげた妻に夫は呆然としている。


「はい、(わたくし)は」

「じゃあ、お前は必要ないな……よかった、僕は僕の宝物を傷つけるヤツがこの世で一番、嫌いなんだ」


「ッヴぅ」


煌は女の脣に銃口を押し付け笑みを消した。

銃が口内へ入ってくるのを歯を食いしばり止めるが押し込む銃の角度を変えて強弱を加えられ、女の唇や歯茎が切れ口許が赤くなっていく。


「ヴッ、んヴんん!!」

「その耳障りな声を二度とあげられないようにしてやろう」


銃を掴む手に力を込め、やがて歯を食いしばる気力もなくなった女の口内へと銃が入り込む。


「ヴぅぇぐ」


深く押し込まれ、えづき口の回りは唾液と血液が混じりあった物で濡れている。


「ぅんーヴぅんぐっぅぁ」


女のせめてもの抗いは首を振る、舌で銃を押す、それぐらいだった。

しかし、それも煌が引き金を引いてしまえば終わる。女が視線を下に落とす。


煌の指先は引き金にかかっているのか見ようとしたが見ることが出来ない。

視線を下にし瞳を動かすが、それでも確認することが出来ず恐怖から目を強く閉じた。


「!!」


口内から銃が抜かれていく感覚に安堵から目を開く。


「ぐヴッ」


口内の銃が強く上がり銃口の向きが上顎へ、その衝撃から思わず視線が下に落ちる。

冷ややかな表情の美しい煌と女の視線が合う。


「気持ち悪い」


そう、女に向かって言うと引き金を引いた。

銃声が響くと事切れた女の頭が、だらりと傾く。

捕らえられた者たちは、次が自分の番になるのではと恐怖し怯えの声すら呑み込んだ。


「煌様、手の傷が!!」

「手!!」


銃を持っていた黒革の手袋の下は、さらに出血した感覚がある。

霧と白雪の心配そうな声が重なり、煌の表情を和らげ微笑んだ。


「僕は痛みに強い方だから、この痛みぐらい平気、心配しなくても大丈夫」


心配そうな霧と白雪を煌は安心させようと手を振って見せたが二人の表情は固いままだった。


「霧、また手当てしてくれる?」

「っはい!!、もちろんです……煌様」


煌が首を傾げ見上げると霧は嬉しそうに頷く。


「白雪も心配してくれて、ありがとう」

「それは白雪の悪いから……」


目を伏せ俯いた白雪の綺麗な髪を一房、掴むと煌は口づけた。


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