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監禁男  作者: 碧
2/12

第二話 目的

 

 車でガタガタと揺らされて20分程経つ。一体何処に向かってんだ?まさか臓器売買されるんじゃ?それとも某国拉致?何にしろ明らかにヤバい状況にあるのは分かっている。本当は話し掛けられた時点ですぐに逃げてれば良かったんだ。まさかこんな目に遭うなんて…くっそー……。

 車が止まった。男が外に出る音がした。


「着いたよ」


 後部座席のドアが開く音と同時に男の声。

 ああ、ついに…!どうしようどうしよう。


「‼︎」


 男に横抱きにして持ち上げられた。お姫様抱っこなんて産まれてから一度もされた事ねーのに!

 その後ドアの開閉音が響き屋内に入ったのが分かった。一旦下に置かれ靴を脱がされた後パチパチと電気のスイッチをつける音が聞こえた。再び抱きかかえ、男は歩き出した。


 カチャッ


 ドアを開ける音。そしてその部屋に入るなりおそらくベッドであろう所に置かれた。

男が遠ざかり電気を付けると、男の足音がこっちに近付いてきた。


「聡君初めまして」


 口のガムテープを勢い良く剥がされる。静電気のような瞬間的な痛みが走り渡る。


「ぷはっ‼︎ 痛っっった!!!!」


 唇が切れたんじゃないかというくらいヒリヒリする。最悪だ、こいつ。

 次に目隠しを取られた。一気に明るくなる視界。眩しい。少しずつ目を開けるとやはり俺はベッドの上に寝かせられていた。部屋はよくある家の一室という感じだが、ベッド以外の物は何も見当たらない。男が目の前に立っていた。


「自己紹介が遅れたね。僕は二宮秀人にのみやしゅうと。強引に連れて来ちゃってごめんね」


 ごめんねと言ってるが、そいつは相変わらず涼しい顔をしていて反省の色が窺えない。


「君は……僕の事は覚えてない?」


 は?いきなり何言ってんだ?さっき初めましてと言われたのだから初対面に違いない。でも名前を知ってるって事は昔から俺を知る人物なのか?こっちが覚えてないだけで。


「すみません、あの…ちょっと思い出せないです。」


 二宮という男の癇に障らないように控え目に応答する。


「そっか。そりゃそうか」


 相変わらず声のトーンを変えずに話す二宮。


「僕はずっと君を待ってたんだ。信じてもらえないかもしれないけど君と僕はね、前世で愛し合った仲なんだよ」

「え…?」


 はあ?何だそりゃ⁉︎しかもなら何でそれをあなたは覚えてる?意味分かんねーよ!何気とんでもない事を淡々と言うしこの人……。


「君は前世では”エマ”という女性だった。とても美しい人だった。僕は前世ではジェームズという男。でも、僕達は理由が有って結ばれなかった。それは最大の悲劇だったんだよ」

「は…はあ」


 あまりに現実味のない話に呆れてしまった。映画じゃないんだからさ…。


「そこで僕らは今度こそ結ばれる時が来た」


 二宮が真っ直ぐな眼差しで見つめてくる。いやいや、俺今は男ですから‼︎


「あの…。それは前世の話であって第一今は俺も男なのであって…全然状況違うじゃないですか」

「僕は前世で固く決心したんだ。生まれ変わった世界でエマと結ばれるようにと。そして僕は、死んだ。だから…今度こそは絶対に逃さない。聡君、僕の事を少しずつでいいから思い出して。そしたらいずれ君も僕を……」


 ない。絶対ない。有り得ない。こんな事する奴…。残念ながら彼女いまーす!……なんて恐くて絶対言えないけど。


「ところでお腹空いてない?」

「あ…ちょっと喉渇いてます」


 事実、緊張と恐怖で喉がカッラカラになっていた。


「じゃあ僕水持ってくるね」


 二宮が部屋から出た。どうやら鍵を持っていたようで外側からカチャリと音がした。

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