鏡の少年[#5]
トントン、と部室の扉が叩かれた。
海斗の事件が解決した翌日の朝。
「はいー?」
瑠唯が返事をする。
部員なら扉を叩いたりはしないはずだ。
「おはようございます。千夏です」
扉を開けたのは千夏だった。
「失礼します」
頭を下げて部屋に入ってくる。
「よく居るってわかったね。しかもこんな時間に」
現在7時半。
部室に居るのは瑠唯と沽榴のみだ。
「教諭から聞きました」
誰がそんなこと、知っているのだろか。今日は誰にもまだ会ってないはずなんだがよ、瑠唯は1度首を傾げた。が、すぐに戻す。
「はぁ…そう。でご要件は?」
椅子を進め、座るのを確認して瑠唯が言う。
千夏はふたたび頭を下げた。
「海斗の件、解決してくださりありがとうございました」
「顔上げて。それを言うためだけに来たの?」
沽榴がアイスティーを千夏に差し出した。
ありがとうございます、と呟いてから、一口飲む。
そしてまた口を開いた。
「海斗の部屋から、暗いじめっとした何かは消え去りました。鏡の方は手鏡サイズで、常に持ち歩くことにしたそうです。それで……」
1度言葉を止める。
瑠唯と沽榴の様子を確認してから続けた。
「私の、後ろにいるの、どうにかしていただけないでしょうか?」
相談者守屋海斗編終了です。
やっとです……。
遂行作業はおいおい……
次の相談者はもう既に部室に来てるあの子です。
彼女の後ろに、常にいる霊。
何を思って、そこにいるのか。
では次もよろしくお願いします。