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影無高校オカ研部!  作者: 宮居 莉雨奈
相談者:守屋 海斗
7/18

鏡の少年[#4]

「とりあえず海斗、話を聞かせてくれる?」

「あぁ、はい。えっとー……」

隣の千夏の視線を気にしながら海斗が語ってくれる。

その話は、聞いたのとはちょっと違った。

更に仮説とも大きな隔たりがあった。


「祖父は癌で祖母は自殺でした……2人の子供は押し入れの中にいました。タオルでくるまれていて、血と涙の後が目の周りにあって……1人じゃ、なかったんです。そこには2人……双子、だったんでしょうか……」

「2人……?1人しか視えなかったけど……」

麻里凪が呟く。

瑠唯がそれに答えた。

「1人はあまり好かれてなかったんだ、親たちに」

後ろからの声は、想いは、もう1人を呼んでいたのだけど。

「2人産むつもりはなかったんだろうね。もう1人は早くに押し入れの中に入れられてたんだ」

「あのちょっと待って?」

零雨が手を挙げて言う。

「祖父祖母たちの話してるのよね?その2人の子供は、海斗の親たちになるんじゃないの?なんかちょっとおかしくならない?」

瑠唯が口を開くが海斗が先に

「養子、なんですよ」

と言った。

「俺の母親、祖父祖母の養子なんです」

「はぁ?」

「子供は欲しい。だけど赤ちゃんから育てるのは面倒くさい。なら少し成長している少女を養子に、そういうわけです」

細く息を吐いてから瑠唯は再び口を開いた。

「2人の子供を産んだはいいけど、2人には赤ちゃんを育てられなかった。育児に疲れた2人は子供を押し入れの中に入れ、放置。その後、祖父に癌が発見される。で突然言ったんだ。『やっぱり子供が欲しいって』。で祖母が動いて養子をとった。今の海斗のお母さんがそう。子供が高校生になった頃、父親は死んで、母親はその2年後に自殺。残されたお金で海斗のお母さんは生活して、バイト先で1人の青年と会う。それが今の海斗の父親」

「なんだか複雑ね…って瑠唯、なんでそんなこと知ってるのよ」

麻里凪が問う。

海斗も目を見開いて聞いていた。

他人……部外者が身内話を知っていたんだから当然ともいえる。

「聞いた……というより流れてきた」

「なるほど……」

「映像化して流れてくるってことは相当だね。忘れられたくなかったんだって」

海斗の方を見て伝える。

「鏡に向かって『忘れない』って呟いてみ?」

視線が鏡に、海斗に集まる。

1度深呼吸をしてから、言葉を放った。

鏡は光を放って──……





「んー、とりあえず解決ってことでいいのかしらー?」

麻里凪が背伸びしながら言う。

海斗の家から帰ってるところだ。

「そうなんじゃない?あとは海斗次第だよ。にしても不可抗力とはいえ踏み入ったこと聞いちゃったなぁ……」

「あの」

後ろにいた千夏が声を出した。

「んー?」

「あなたたち、一体なんなんですか。何者何ですか」

麻里凪が口を開きかけたので制する。

まぁその疑問もわからなくはない。

「会った時に言わなかったっけ?オレたちは──」


新設した部活の名前を、部長である瑠唯が千夏に放った。


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