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即席クワと、ふくちゃんの「耕運機」モード

第5話


 最高の朝ごはんを終えたメグミは、ぷはぁーと大きく伸びをした


「……よし。お腹も膨れたし、どうせなら次は『畑』でも作ろうかな。リンゴやナッツだけじゃなくて、野菜も欲しいし!」


おやつ袋の底をさらってみると、わずかにカボチャの種と、ひまわりの種に混ざっていた小松菜の種*、それに麻の実が数粒残っていた。


「これを育てるには、まず土を耕さないと……。でも、クワなんてないし」


 メグミが周囲を見渡すと、妖精たちが「これなら使えるわ!」と、ふくちゃんのパニックで吹き飛んだ「元・家の屋根の金具」を拾ってきた。

それに頑丈な木の枝をツタで縛り付けると、なんとも不格好な「即席クワ」の完成だ。


「……うん、サバイバル感ある。よし、耕すぞー!」


えいっ、とメグミがクワを振り下ろすが、元が荒野だった土はカチカチに固まっていて、火花が散るばかり。


「硬っ!? 石じゃんこれ! 人間の力じゃ無理だよ……」


メグミが腰を押さえてへたり込むと、それを見ていた小型犬サイズのふくちゃんが「ピョイ?」と小首をかしげた。


(メグミ、何してるの? 穴掘りなら得意だよ!)


「あ、ふくちゃん! そうだ、インコって足でカキカキして穴掘るの好きだもんね。お願い、そこをちょっと……あ、待って、チョーカーのボタン押すから、ちょっとだけ大きくなって!」


メグミがチョーカーの魔石に触れると、

ふくちゃんが「軽自動車サイズ」に巨大化。

そして、メグミが指差した場所へ向かって、丸太のような脚で豪快に「カキカキ攻撃」を開始した。


ザシュッ! ズドドドドッ!!


「ぎゃあああ! 砂煙がすごい!

耕すっていうか、重機だよそれ!!」


ふくちゃまが楽しそうに土を跳ね上げるたび、カチカチだった荒野がみるみる柔らかい土に変わっていく。

しかも、ふくちゃまの脚からこぼれ落ちる「黄金の脂粉」が土に混ざり、ただの泥が「最高級の腐葉土」のような黒々とした輝きを放ち始めた。


「すごい……

ふくちゃん君は最高の耕運機だよ……!」


メグミは、ふくちゃんが耕してくれたフカフカの土に、カボチャや小松菜の種を等間隔に並べていく。

それを見てた妖精達がスプリンクラーのように水を撒いてくれた。

仕上げにふくちゃんが羽をひと振りして「追いお粉」をかけると――。


ポコポコポコッ!


地面から一斉に緑の芽が吹き出し

みるみるうちに大きな葉が広がっていく


「あ、小松菜がもう食べ頃サイズに……! カボチャも花が咲きそう! 成長早すぎて怖いけど、これなら食いっぱぐれないわ!」


妖精たちは

「聖女様の菜園だわ!」

「明日はお浸しね!」

とキャッキャとはしゃぎ回り、ふくちゃんは自分の仕事ぶりに満足したのか、巨大な姿のまま「ピョイーン!」と胸を張っている。


「(……家があって、湖があって、果樹園があって、今度は菜園。……なんだか、どんどん『村』っぽくなってきたかも)」


メグミは泥だらけの手を拭いながら、少しずつ「自分の居場所」になっていく荒野を眺めて、鼻歌を歌い始めた。



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