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騎士の目覚めと、爆速の「妖精ビルド」

第20話


翌朝。

メグミがふくちゃんの羽毛の中で目を覚ますと、外から「フンッ! ハッ! セイヤーッ!」という、スローライフには似つかわしくない威勢のいい掛け声が聞こえてきた。


窓から外を覗くと、そこには上半身裸で、山のようなまきを高速で割り続けるカイルの姿があった。


「……カイルさん、おはよう。朝から元気だね」


「おおっ! 聖女様、おはようございます! 昨夜の『黄金の唐揚げ』のおかげで、全身に力が漲っております! この恩を返すには、これくらいの雑事では足りませぬ!」


カイルはキラキラした目で、割ったばかりの薪をピシッと積み上げた。どうやら、美味しいご飯の魔力で「超・忠実な門番」に仕上がってしまったらしい。


「あ、そうだ。カイルさん、寝る場所はどうするの? 昨日はロッジの床で雑魚寝だったけど、やっぱり自分の部屋があったほうがいいよね」


「滅相もございません! 私は騎士、外で野営やえいするのには慣れております。このロッジの軒先をお借りできれば十分……いえ、むしろ聖鳥様のそばで地面に伏して眠るのが誉れというもの!」


「地面はやめてよ……。せっかくここ、お花がいっぱいなんだから」


メグミが困り顔をしていると

頭上で妖精たちが「うずうず」と羽を震わせた。


「ふふん! 聖女様、私たちに任せて! 昨日の唐揚げのお裾分け、とっても美味しかったから……お礼に、この暑苦しい騎士さんの『お城』を作ってあげるわ!」


「えっ、今から?」


「フク様! ちょっとお粉を分けてちょうだい!」

「ピョイイッ!」


ふくちゃんがバサバサッと黄金の脂粉を、ロッジのすぐ隣にある大きなクルミの木に振りかけた。

すると、妖精たちが歌うように呪文を唱え始める。


メキメキメキッ……!


「な、なんだ!? 木が動いているぞ!?」

カイルが驚愕して腰を抜かす。

大きなクルミの木の幹が、魔法と脂粉の力でグイグイと変形し、枝が編み込まれるようにして、木の中に「ツリーハウス風の小部屋」が形作られていったのだ。


「完成よ! 題して『騎士の宿り木』! 雨風もしのげるし、見張りもバッチリよ!」


 わずか数分。そこには、木の温もりあふれる、カイル専用の個室が出来上がっていた。


「……すごい。妖精さん、本気出すと建築会社より早いわ……」


「お、おおお……。私のような者に、これほど立派な居館を……! 私は幸せ者だ……ううっ(涙)」


カイルはまたしても涙を流し、そのツリーハウスの階段を一段一段、拝むように登っていった。

これで、カイルの定住も確定。


「(……家が増えて、仲間が増えて。……いよいよ、一つの『村』みたいになってきたね)」


メグミがそんな感慨に浸っていると、ハルの肩に乗ったモモが、さらに一回り大きくなったような体で「キュイッ!」と鳴いた。ふくちゃんがその様子を、師匠のような目で見つめている。


「……ねえ、ハル。モモ、やっぱり成長しすぎじゃない?」


「えへへ、モモね、さっきカイルおじちゃんが持ってきたお肉の端っこも、こっそり食べてたんだよ!」


「モモンガって肉食だっけ……?」


聖域のエネルギーを吸収し続ける仲間たち。メグミは、この「普通じゃない成長」が、いつか面白い騒動を引き起こしそうな予感を感じつつ、朝ごはんの準備を始めるのだった。


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