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花に埋もれるロッジと、妖精のハーブティー

第11話


遺跡で見つけた古い箱を抱えて、メグミたちはふくちゃんの広い背中に揺られながら、自分たちのロッジへと帰ってきた。


「ふぅ……。ハル、見て! この箱の中、宝物がいっぱいだよ」


箱を開けると、そこには魔法の力で守られていたのか、色とりどりの花の種がぎっしりと詰まっていた。青、紫、黄色、そして見たこともない虹色の種まで。


「わあぁ……! これ、ぜんぶさかせよう、おねえちゃん! ふくちゃん!」


「ピョイイッ!」


ふくちゃんもやる気満々だ。小型犬サイズに戻ったふくちゃんは、ハルが庭のあちこちに種を埋めるたびに、小刻みに羽を震わせて「パフッ、パフッ」と丁寧にピンポイントでお粉(脂粉)を振りまいていく。


――ポポポポポンッ!


まるでポップコーンが弾けるような音を立てて、ロッジの周りに一斉に花が咲き乱れた。


青いバラ、空色のカーネーション、そして夜に光る月見草。あまりの成長スピードに、気づけばロッジの玄関先が花のトンネルのようになっている。


「……ち、ちょっとふくちゃん、ハッスルしすぎ! これじゃ家に入るのが大変だよぉ!」


「あはは! おねえちゃん、おはなにかくれんぼしてるみたい!」


 ハルが花の間を縫って走り回る。ふくちゃんも楽しそうにその後を追いかけていたが、ふと、ロッジの窓辺に植えていないはずの「緑の茂み」があることにメグミは気づいた。


「あれ……? あんなところにお花じゃない葉っぱが……」


 近づくと、そこからはスッとする爽やかな香りが漂ってきた。


「あ、それ! 私たちが昨日、こっそり森から苗を持ってきて植えておいたのよ!」


 妖精たちが誇らしげに胸を張る。

「ふくちゃんのお粉のおかげですぐに育ったわ。これは『ミント・グラス』に『レモン・ハーブ』。人間が飲むと疲れが取れるし、お口の中が幸せになる魔法の葉っぱよ!」


「えっ、ハーブ!? すごい、妖精さんたちが植えてくれたんだ……!」


 メグミはさっそく、そのフレッシュな葉を数枚摘み取り、精霊の湖の水を沸かして(ふくちゃまの熱風で)、即席のハーブティーを淹れてみた。


「ハル、これ飲んでみて。ちょっとスーッとするけど、甘いんだよ」


 ハルがおそるおそるカップ(木をくり抜いたもの)に口をつけると、その瞳がパッと輝いた。


「……おいしい! おはなのにおいがする!」


ふくちゃんも興味津々で寄ってきたので、冷ましたお茶を少しだけ飲ませてあげると、「ピョ……ウニュ……」と恍惚とした表情でとろけてしまった。


「(……花に囲まれて、美味しいお茶を飲んで。ハルも笑ってる。……ここは天国なの?)」


 メグミは、ハーブティーの香りに包まれながら、幸せを噛み締めていた。

 だがその時、ふくちゃんが突然、お茶の余韻を吹き飛ばすように「シャキーン!」と冠羽を立てて、遠くの空をじっと見つめた。


「……ふくちゃん? どうしたの?」


はるか遠く、荒野と空の境界線。

そこには、自分たち以外の「何か」が動いているような、小さな影が見えた。


「(…え…まさか、ハルを探してる村の人……? それとも……?)」


 メグミの胸に、少しだけザワリとした不安がよぎった

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