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はじめての、外へ探検

第10話


翌朝、黄金のひまわりが放つ柔らかな光で、メグミは目を覚ました。

 隣を見ると、ふかふかの羽毛の中にすっぽりとハルが埋もれて、幸せそうに寝息を立てている。ふくちゃんも、ハルを潰さないように絶妙な加減で翼を広げていた。


「(……平和だなぁ。これこそ、私の求めていた朝だよ……)」


 メグミがハルの頭を撫でると、ハルは「ん……」と目をこすりながら起き上がった。


「おはよう、おねえちゃん。……おはよう、ふくちゃん!」


「ピョイイッ!」


 名前を呼ばれたふくちゃんは、嬉しそうに冠羽をシャキーンと立てて、ハルの頬をパフパフと羽毛で撫でた。


「さて、今日はハルが言ってた『赤いお花』を探しに行こうか。おやつ袋にはもう種のストックがないから、ちょっとだけお家の周りを探検してみよう!」


「たんけん! ぼく、おねえちゃんとふくちゃんといっしょなら、こわくない!」


メグミは、昨日の残りの黄金米でおにぎりを作り、ふくちゃんのチョーカーのボタンを押した。


ポンッ!


軽自動車サイズに巨大化したふくちゃんの背中に、メグミがハルを抱きかかえてひょいと跨る。


「わあぁ……! たかい! ふくちゃんのせなか、あったかいね!」


「でしょ? 乗り心地最高だよ。

よし、ふくちゃん、出発ー!」


 ふくちゃんは力強く地面を蹴ると、蘇った湖のほとりを通り、まだ赤茶色の土が残る荒野の境界線へと進んだ。

 妖精たちが先導するようにひらひらと舞う。


「聖女様、こっちよ! この先に、昔の王様が作ったっていう『秘密の花園』の跡があるわ。今は枯れ果てているけれど、フク様のお粉があれば……!」


しばらく進むと、崩れ落ちた石造りのアーチと、干からびてトゲだらけになった植物が密集する場所に辿り着いた。


「……ここが、花園? なんだか、トゲトゲしてて痛そう……」


 ハルが不安そうに呟く。かつては美しかったであろう庭園も、呪いによって今は「拒絶の森」のようになっていた。


「大丈夫だよ。ふくちゃん、出番だね!」


「ピョイッ!」


 ふくちゃんが大きく翼を羽ばたかせ、

特大ボリュームの黄金の脂粉を森に向かって一気に吹き付けた。


すると、どうだろう。

ドス黒かったトゲがポロポロと落ち、代わりに鮮やかな緑の葉が芽吹き出した。そして、ハルが願っていた通りの、燃えるような『真っ赤なバラ』や、見たこともない大きな『赤いユリ』が、一斉に花を開いたのだ。


「すごーい! あかいろだ! おねえちゃん、おはながいっぱいだよ!」


「……綺麗。……あ、見て! あの花の根元に、古びた宝箱みたいなのが落ちてる」


花の香りに包まれた遺跡の奥で、メグミは半分土に埋もれた小さな箱を見つけた。


どうやら、かつてここを管理していた誰かが残した、「花の種のコレクション」のようだ。


「(……これで、もっとお家をカラフルにできる! ハルとふくちゃんと、次はどんなお花を植えようかな)」


 メグミはハルを抱きしめ、ふくちゃんの柔らかな背中に揺られながら、広がる赤い花畑を満足げに眺めるのだった。



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