浅ましい少年
掲載日:2026/02/02
浅ましい少年が一人。
目の前の手を握れずにいる。
少年の指を、はやくと急かしている。
少女の瞳にはシイソウしか写っいない。シイソウを遊ぶためには両端にそれぞれ、人が腰掛ける必要がある。少女は娯楽のための重りとして使うために、少年を呼んでいる。
だが少年は今、目の前に差し出された手を握れずにいる。
西陽が長い影を描く、少女のシルエットを作りながら。
少年は立ち尽くし、その影を踏みしめている。いけないような、許されないことをしている。責められようのない罪悪感が、少年の内を這い回る。
少女の掌、乳白色、指があまりに細く小さい。強く握れば容易に折れてしまいそう。ガラス細工を想起させる。
なのに、強く差し出され、挙げ句の果てに手を取れと、指を曲げて伸ばすを繰り返す。
触れてみたい。心から願うから、触れてはいけないと、そう思えた。
幼稚な戸惑いを消化しきれずにいるから、差し伸べられた手が握れない。
少年はお遊戯しか知らなかったのだ。
朱色の心根に、紫紺が走り抜けた。




