第9話 今後について
「では皆さん、授業を始めます」
俺はそう言って授業を始めた。まぁ授業って言っても魔法のコツをひたすら教えるだけなんだけどな。
座学は適当に終わらせて、次は実習の時間になった。
「よし、じゃあまずは俺が手本を見せますから真似してください」
そういって、俺はいつも杖を持っている手をを前に出した。
……あれ……?なんか足りない気がする……
「先生、杖はどうしたんですか?」
あ!何か足りないと思ったら杖か……まぁ仕方ない素手でやるか……
俺は杖無しで魔法をの詠唱を始めた。詠唱しているのは雷系統の魔法なのだが、詠唱が進むに連れ、右腕が稲妻に包まれているみたいになってきて滅茶苦茶かっこいい。凄い厨二心をくすぐる。今度から素手で魔法放とうかな……
俺は、詠唱を終え、魔法を放った。魔法が放たれると、生徒から歓声が上がった。
「さすが先生!今から杖無しで高威力の魔法を放つ授業ですね!」
……ただ杖を忘れただけだが……まぁいい感じに進んでいるのでそういう事にしておこう。さすがって言われても俺は調子に乗らないぞ……塾長にあんなこと言われたんだからな。
俺は今日も適当に授業をやって午前中を終えた。
「では失礼します」
他の先生に挨拶をして塾を後にしようとしたとき、いつものおじさん先生に呼び止められた。
「何言ってるのフォグラムス先生?この後、明日の教材作りがあるんだよ?」
教材作りってなんだよ!あの教材って担当の人が作ってたんじゃないの!?
「はい……今からやります……」
俺はその後、一時間ほど教材を作って塾を後にした。
今日は休日なので、朝と夜に二回に分けて授業がある。なので、俺には四時間ほどの休憩時間がある。
俺は、特に行くあてもないので、アカの働いているパン屋でパンを買ってから、宿に杖を取りに帰る事にした。
「いらっしゃいませー!」
元気な声が店内に響く。その声の主はアカだった。
「よう、アカ」
俺がアカに手を振りながらそう言うと、アカはびっくりしてこちらに来た。
「え!?アルマ!?あ、昼休憩か!パンでも買いに来たのか?」
さすがアカだな、俺の思っていることを全部見抜いてしまった。それより、めっちゃ綺麗な自己完結だな。
「あぁその通りだ。オススメってある?」
俺がそうきくと、アカは少し考えて、一つのパンを取った。
「俺が賄いで貰った中で一番美味かったやつ」
アカはそう言って、俺にパンを渡した。そのパンは、見た目は普通だが、どうやら癖になる味で美味しく、中毒性が凄いらしい。大丈夫かそれ?説明聞いてる限りだとイケナイお薬みたいな感じだぞ?
俺は素早く会計を済ませ、パン屋を後にした。
「ただいまーって、誰もいないか」
俺は宿へと到着し、ベッドに座ってパンを食べ始めた。
「うまいな、これ」
俺はあまりの美味しさに一瞬で平らげてしまった。
やっぱり、前世にコンビニで食ってた菓子パンと焼きたてのパンじゃ全く違うな。
パンを食べ終わり、俺は今後のことについて考えることにした。
まずだが、こんな序盤も序盤の街でのんびりしていていいのか?最初に言った一年とはこのような金稼ぎで様々な街に滞在する期間を入れての一年だ。正直、この滞在期間を抜けば二ヶ月ほど早く到着する事ができる。
かと言って、このままほぼゼロに近い状態の資金で旅ができるわけもない。
そこで俺は考えた。俺とアカもあと二ヶ月ほどで冒険者として働くことができる。
それなら、二ヶ月間の間進み続けて、途中の街で冒険者になればいいのだ。つまり、目標金額も半額で良くなるということは滞在期間も短くなるのだ。なんでこんなにも簡単なことに気が付かなかったんだろう。
とりあえず、帰ってきたらこの話を二人に話そう。
あれこれ考えているうちに、気がついたらバイトの時間になってしまっていた。
俺はカバンを持って宿を後にした。…またなんか忘れてる気がするが、まぁいいか。それより遅刻しないことが大事だ。
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