第7話 塾長の正体
部屋の中へと入り、塾長のおじいさんは学校の校長先生が座ってそうな椅子に座った。
「確か、第三魔道士なんだって君は?」
塾長のおじいさんがそういう。
「はい、そうです」
俺は落ち着いた口調でそう答える。……このおじいさん、ただ者じゃない…見た目は普通のおじいさんだけど、とてつもない気配を感じる……自分では落ち着いているように感じていたが、多分手が震えていたのだろう、塾長に「そんなに緊張しなくてもいいよ」と言われてしまった。
「そうか、じゃあ次の質問だに行こう。なんで君はまだ若いのに魔法塾で働こうと思ったんだ?」
俺はおじいさんに、家族が誘拐されたこと、助けるために旅に出ていることなど細かく話した。
「そうか、お主も苦労しているのだな。では採用としよう」
「え!そんな簡単に決めてよろしいんですか?」
俺がそういうと、塾長のおじいさんは「規定を満たしているからいい」と言って俺は早速授業をすることになっ
た。
「こんにちは、今日から一ヶ月ほど皆さんを担当いたします。アルマ・ドルテ・フォグルムスです。よろしくお願
いします」
俺がそういうと、10人ほどいた生徒が何やら顔を見合わせ、こちらを向いて口を開いた。
「よろしく、俺はミラリアス。ここは自由席だから好きなところに座ってね」
どうやら、こいつも俺のことを入塾生と間違えているらしい。
「あの……俺は先生としてきたんですけど……」
俺がそういうと、生徒たちはさらに驚いた顔をして、口を開いた。
「え!?どっからどう見ても俺より2歳ぐらい年下だと思うんだけど……」
俺はまだ信じきれていない生徒達に魔道士カードを見せた。
「本当だ……第三魔道士……」
どうだろ、すごいだろ。俺は完全に天狗になっていた。
「じゃあ席に座ってください。授業を始めます」
授業は前半に座学、後半は実習という感じで終わった。
「先生すごいです!この塾には第四魔道士が最高だったので第三魔道士クラスの魔法なんて始めた見ました!」
俺は生徒にそう言われてさらに調子に乗っていた。
「では今日の授業はここまでです。ありがとうございました」
俺はそう言って教室を後にした。
「フォグルムス君」
鼻歌を歌いながら廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
「塾長!」
そこには塾長のおじいさんの姿があった。
「何かありましたか?」
俺がそういうと塾長は「別になんかあったというわけではないんだけどね」と言った。
「一度手合わせしないかい?」
塾長が続けてそういう。大丈夫か?こんなおじいさんで魔法を使ったら倒れちゃうんじゃないか?俺は生徒に褒
められて完全に天狗になっていて、塾長からすごいオーラが出ているということを完全に忘れてしまっていた。
俺は会長に連れられて、塾の裏にある実践用の広場へと向かった。
「それじゃあいきますよ」
俺は持参していた自分の体と同じぐらいのサイズがある杖を取り出し、詠唱を始めた。
「イグニス・アークフェルド!」
杖の先から出た炎は弧を描きながら塾長めがけて突き進む。……やばい!やりすぎた!こんなの人が当たったら即死してしまう!
炎は塾長に当たり、爆発した……はずだった。
「え……なんで?」
そこには無傷で立っている塾長の姿があった。
「第三魔道士クラスの魔法はもっと強いはずじゃないか?本気でかかってきなさい」
塾長は俺にそう挑発する。俺はムキになって、本気で魔力を込め、詠唱を始めた。
「エクリプス・ヴェイン!」
杖から放たれた俺の最大魔力の高出力のビームは凄い速度で、塾長めがけて進んでいった。
……流石に無傷じゃ済まないだろ!……俺はそう思っていた。
「なん……で……?」
俺の目の前にはまたもや無傷の塾長が立っていた。
「第三魔道士にしては高威力だね。第二魔道士に近い第三魔道士ってところか」
塾長はそういって俺の魔法を分析し始めた。
俺が驚いて固まっていると、塾長は詠唱を始めた。
「これは!?超級魔法!?」
塾長が詠唱し始めた魔法は、総人口2億人を超える中央大陸内でも10人ほどしか使える人のいない超級魔法だった。杖を使ってもいないのにこの魔力の圧力……本当にただ者ではない…!
「ルシフェリオン・エラディカ!」
塾長はそういって手から魔法を出した。
俺は即座にシールド魔法を使った。
「あ……れ?」
魔法は俺にではなく、空に向かって飛んでいった。
「流石に君に当てたら木っ端微塵になってしまうからね」
塾長は笑いながらそういった。
「あまり自分が一番強いと思って調子に乗っていると、この先、大変なことになるから気をつけるんだよ」
塾長はそういって、建物の中へと戻っていった。
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