第5話 目指すは北部大陸
いい感じの馬車を見つけられた俺達は、イリルが来るのを待っていた。
「なぁアカ、なんでついてきてくれたんだ?」
俺はアカにそう問いかける。この旅はとても危険で、もしかしたら途中で全滅という可能性もある。
「だっておじさん達には俺もお世話になったし、アルマを一人で行かせるのもあれだろ?俺のできることはイリルやアルマみたいに多くはないけどおじさん達を助けるために協力するよ」
アカは俺の目をじっと見ながらそう言ってくる。……なにこれ超いい雰囲気じゃん。こういう仲間思いなのってあるあるだけどめっちゃいいよな。感動する……!
俺の目が一瞬潤んだとき、後ろから大きな声が聞こえた。
「おーいアルマ!アカ!」
その声の主は、お察しの通りイリルの声だ。イリルは大きく手を振りながら、こちらへと近づいてくる。
「おぉ、イリル。かなり荷物の量少なくなったな……?その袋はなんだ?」
イリルの手には袋が握られていた。
「あぁこれ?副村長のおじさんから貰ったの。多分お金だと思う」
おぉ!金か!ナイスおじさん。
「でもやっぱりお金が足りないよな」
アカがそういう。確かに、北部大陸に行くとなったらこんなお金では足りない。
冒険者になるには十五歳未満はダメだし…どうにかイリル規定を満たしてるイリルに稼いでもらうしかないか。
この世界の冒険者にはしっかりと規定がある。15歳以下は、冒険者になること、魔法学校の授業以外でのモンスター討伐などが禁止されている。冒険者になれないとなるとどこかお店でバイトとか……
でも、俺もアカもあと2ヶ月ほどで15歳。旅の途中で冒険者になって稼ぐことができそうなのでひとまずは安心だろう。
「おーい!アルマ!もう出発だよ!」
馬車からイリルが手を振る。
「分かった、今行く」
俺はイリルに向かってそう言い、馬車へと乗り込んだ。
「出発します、気をつけてください」
御者のおじさんが後ろを向いて、俺達に向かってそういう。
ここから少し離れた街へと行き、資金調達をする予定だ。それからも一度馬車や歩きで中央大陸で最も大きな街であるベルセリムに4ヶ月ほど掛けて向かう。その間にも街に立ち寄り、資金調達をする予定だ。
前世の母ちゃんには親孝行なんてできなかったけど、今世の父さんと母さんには親孝行をしようと思う。
絶対助けるからな父さん、母さん、ミカ!
「目指すは北部大陸!」
イリルが馬車から身を乗り出し、そう叫んだ。
こうして、俺達3人の旅が本当に始まった。
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