第13話 空中浮遊
初の敵襲から数日後、二週間に一回程のペースで敵襲があったが難なく乗り越え、今はベルセリムへの中間地点となるアラベストという街へ来ていた。
また、この街は国境沿いの街でもある。
「やっと……ここまで来たのね……!」
イリルがすごく疲れたようにそういう。
「あぁそうだな……」
アカもイリル同様とても疲れ果ていた。
なんせ、ここまで何千キロも歩いてきたのだ。そりゃ普通の人なら疲れるよな。
「おいおい、だらしないぞこんなので疲れるなんて」
イリルやアカとは違い、俺はピンピンな元気百倍アルパンマンだった。
「アルマは魔法で少し浮いてたじゃん!分かってるよ!」
イリルが俺に詰め寄る。
そうだ、俺はどっかの青だぬきのように数ミリ浮いて歩いていたのだ。俺だけ魔法で浮いてたらアカとイリルが文句を言い出すと思って黙ってたのだが……まさかバレてたか。
「アラベストを出たら俺達にもその魔法かけてくれよ」
アカが俺のことを指をさして睨みながらそう言う。……えーこの魔法、俺だけでも結構疲れるんだよな…さすがに三人となると…
「じゃあいっそのこと覚えるか?」
そうだ、この2人に覚えさせればよいのだ。だけど……魔法使いのイリルはともかく、どちらかと言うと剣士よりのアカは覚えられるかな……
「いいなそれ!教えてくれよ」
アカがそう言って俺が見せようとした魔道書を奪い取る。
「……えっと?なになに?風は輪を描き、魂はその中心に在れ。交わりし流れよ、我を抱け。エアロ・ネクサス」
アカがそう唱えると、2メートルぐらい高く飛び上がった。
「おぉ!飛んだ飛んだ!」
アカは空中でバタバタしながらそう叫んだ。
「アカができるとは意外だな……イリルはどう?」
俺がイリルの方を見ると、イリルは頭を抱えてうずくまっていた。
「いたたた……」
「……どうしたんだ?」
どうやらイリル曰く、飛べたが上手く制御できなく、頭から落っこちてしまったらしい。
「まぁそんなことは置いといて、この街は物資補充だけだから一泊したらすぐに行くぞ」
とりあえず、物資補充の為に市場に行くことにした。




