第11話 ベルセリムへの旅立ち
なんで塾長はお金をくれたんだろう……
今のご時世、そんなことでお金をくれる優しい人なんてそうそういない。
まぁ、ただただ優しい人だったのだろう。それに、あの塾長が詐欺をするとも思えないしな。
「ただいまー」
俺は急いで家へと帰ると、そこにはまだアカとイリルの姿があった。良かったもう仕事に行ってなくて。
「どうしたの?アルマ?まだまだ勤務時間でしょ?」
イリルが首をかしげながらそう言う。
「なんか塾長から五十万リアスを貰ったんだ。だからこのまま出発する事ができる」
「大丈夫かそれ?もしかして詐欺とかじゃ…?」
アカがそう言う。俺は塾長はそんなことをしないという、証拠のない確信のもと、アカを説得した。
「じゃあ必需品をこの街で買って出発しようか」
俺はイリルとアカにそう言って部屋を出た。その後、宿のロビーへと行き、チェックアウトを済ませた。
「あ、買い物の前にパン屋に退職すること言ってきていいか?」
アカが俺にそう言った。
アカはそう言って、宿の目の前にあるパン屋に走っていった。
数分後、アカがパン屋からウキウキで出てきた。
「ただいま!これ見ろよ、食料の足しにしろっておじさんが保存食として食べれるパンを用意してくれたんだ!」
おぉ!それはいいな。
「じゃあ市場に行くか」
俺は二人にそう言い、市場へと向かった。
「安いよ安いよ!このランプ、旅のお供にどうですかー?」
色んな店が立ち並ぶThe市場みたいな所に来た。
「ねぇねぇアルマ!あの魔道書買ってもいい?」
イリルが飛び跳ねながら魔道書店を指さした。そこには二十冊程度の魔道書が並ぶお店があった。
「いいな、少し見てみるか」
俺達は魔道書店に寄ることにした。その魔道書店には様々な種類の魔道書が並んでいた。
「いらっしゃい。どれでも好きなものをどうぞ」
店主のおじさんが、俺達にそう言う。
とりあえず俺達は並んでいる本を漁ることにした。
「アルマ、イリル。この本どう?」
アカがそう言いながら一冊の魔道士を取った。
「えっと、なになに?召喚魔法の詠唱方法?ルシファード著?」
召喚魔法か、確かに俺達の中じゃ誰も使える奴はいないな。これを期に覚えてみるのもありか。
「いいな、すみません!これください」
見た目からして四十から五十年ほど前の物だろう。魔道書にしてはそこまで古くない方だ。あまり新しいのは偽物の可能性があるから少し怖いんだよな…
「よし、じゃあ他の店も見に行こうか」
その後、俺達は旅に必要なものを揃え、街の門へと来ていた。
「ちょっと君達まだ子供だよね?子供だけで外に行かせることは危険できないんだごめんよ」
ここでも門番に止められるか…はぁ…
はて、どうしたものか。もう魔法で倒すか?いやさすがにだめか。
俺は一番手っ取り早い方法で外に出ることにした。
「アカ、イリル、魔道士カードを出して」
そうだ、門番に魔道士カードを見せればいいのだ。俺は第三魔道士、イリルは第七魔道士、アカは第九魔道士と別に外に出る分には問題ない実力だ。何なら、俺はともかく、イリルやアカはここの衛兵と同じ魔術の実力という可能性もある。
「かなりの実力だな…そこのアルマって子に関しては俺よりもレベルが上だ…あぁ悪い、別に外に出る分には問題ないな。特例だが認めよう」
俺達はそのまま無事に門を通過することができた。
「ここからは馬車じゃなく、徒歩でベルセリムまで向かうぞ。もちろん途中の街には止まるが」
俺は二人にそう言い、道に沿って足を進めた。
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