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喫茶店に行こう


 「それでは、みなさんまた明日」


 HRも終わり帰りの準備をしていると、美月が雪を連れて席にやってきた。


 「雫ぅ〜!せっかくユキちゃんと友達になったから、帰りに喫茶店行こうって話してるんだけど、雫もどう?」


 昨日とは打って変わってニコニコと機嫌良さそうな美月は、まだ美月との距離感に慣れてなそうにワタワタしている雪の手を握りながらそう提案してきた。


 「ん、邪魔じゃないなら行く」


 「あははは!私から誘ってるのに邪魔なわけないじゃーん!」


 そう返すと、美月は俺の肩を叩きながらそう返した。…こいつバレー部所属だからそこそこ痛いんだけど。

 

 じんじんと痛みを発する肩を擦りながらジトッと半眼で美月を見ると、美月はごまかすように雪に話を振った。


 「ね、ねぇユキちゃんも雫がいる方がいいもんね?」


 俺のジト目から逃れるように美月がそう雪に話を振ると、雪は頷いて言った。


 「ん、私も雫がいたほうが嬉しい。美月と二人は不安」


 「えっ!?ユキちゃんそれってどういうこと!?」


 「ん、わかる」


 「えっ!?」


 叩かれたことの腹いせに、雪に乗っかって美月をいじると、美月は納得いかなさそうにブーブー喚ていたが、無視してどこの喫茶店に行くか相談することにした。


 「ん、喫茶店、どこ行く?」 <おーい!


 「私、詳しくないから、雫に任せる」<無視しないで〜!


 「じゃあ無難にサイ◯リヤで」」<ねぇってばぁ!


 「ん!私、一度は行ってみたかった!」<泣いちゃうぞ〜!


 「じゃあ、行こ」<謝るからさぁ!


 「ん」<待っ……!


 「美月、うるさい」


 「………………」


そう言うと、美月は膝から崩れ落ちて床と一体化したのだった。


 「ぐすぐす……」


 「………はぁ、今回は許す。次はない」


 「はい……ごめんなさい」


 さめざめと泣き出した美月に、いたたまれなくなったので、仕方なく今回だけは許すことにした(n回目)。でも、本当の本当に次は無いんだからね!

 なお、美月が泣き出してからは雪は焦った風にあたふたしていた。雪は優しいね。


 「それじゃ、改めて行こっか」


 「ん!」


 「はい…」


 そう仕切り直して、やっと俺達3人は駅前のサ◯ゼへと向かい始めたのだった。




 

 ☆★☆★☆★☆



 「あ、猫」


 「え、どこどこ!」


 「ん、あそこ」


 サイ◯に向かっている最中、俺達は偶然猫と遭遇した。雪が指差す先には、公園のベンチの上で毛繕いをする黒猫がおり、可愛いものに目がない美月は既に黒猫の虜となっていた。


 「んぎゃあああ可愛い!!」


 そう言ってやばい顔をしながら黒猫を撮りまくる美月の姿は、残念美人と言う他見当たらなかった。


 「あっ……!」


 そうやって美月がやばいオーラを垂れ流していたからだろうか、黒猫は毛繕いをやめて逃げ出してしまった。


 「あぁぁ……」


 そう言って残念そうに黒猫がいた方向に手を伸ばす美月の姿は、まるで好きな人を他の女に取られてしまったかのようだった。


 なお、そうやって美月が項垂れている後ろで、俺と雪は「やっぱり美月はどこかおかしい」「ん」と、コソコソ言い合っていたのだった。





 その後、未練がましく黒猫がいた方向を見続けていた美月を引きずり、やっとこさサイ◯リヤに到着した。


 店に入ると、テーブル席に案内され、私が雪側に、美月が対面側に座った。


 「ん!!」


 初めて来たサイゼリ◯にテンションが上がっている雪は辺りを見回したり、メニュー表や間違い探しに夢中になったり、落ち着きが無い様子だった。


 「ん、私はドリンクバーとジェラート&シナモンフォッカチオ」


 「私はお腹空いちゃったからドリンクバーとミラノ風ドリア、あとペペロンチーノにプリンで!」


 「雪はどうする?」


 そう雪に聞いてみると、数分間悩んだ結果、俺の注文+カルボナーラに落ち着いた。


 「じゃあ、注文しちゃおっか」


 そう言って、美月は店員を呼んで俺達のぶんも注文してくれた。


 「じゃあ、ドリンクバー行こっか」


 「ん!!」


 注文を終えて、ドリンクバーに行くことにすると、雪はドリンクバー自体が初めてなのか、目をキラキラさせながら付いてきた。


 「私メロンソーダ〜」


 「私はアップルティーにする。雪はどうする?」


 そう聞いてみると、雪は色々あるジュースに目移りし、決められないようだった。


 「雪、ドリンクバーはおかわり自由。気になるもの全部飲めばもーまんたい」


 「!!!」


 そう言うと、意を決して雪はコーラをコップに注いだ。



 その後は、注文が届くまでテーブルでジュースを飲みながら、学生らしく駄弁っていた。


 そうやって時間を潰している内に、どうやら全員分注文が届いたみたいなので、食べ始めることにした。


 「「「いただきます」」」


 「おいしい〜!お腹減ってたからなおさらおいしい!」


 「ん、うまい」


 「ん、美味しい…!」


 三者三様にうまいと良い、料理を食べる。

 美月はミラノ風ドリアで舌を火傷しそうになって、ふーふーしながら食べている。一方雪はカルボナーラを上品に巻きながら食べており、喫茶店の料理はこの値段でこんなに質が高いのかと驚いていた。


 そんな2人を横目に俺はジェラートを食べ、冷たさに頭をやられていた。



 「ん、デザートも美味しい。特にこのシナモンが良い味を出している」


 「わかる(首肯)」


 「みんなもうデザートいってるの?食べるの早くない?」


 「いや、美月がデザート以外を頼みすぎ」


 美月の方を見ると、やっとペペロンチーノを半分食べ終わったところだった。


 「私が食べ終わるまで帰るの待ってよ〜?」


 「ん、大丈夫。ちゃんと自分のお金は払っておく」


 「あー!それ先に帰るってことじゃん!雫の意地悪ぅ!」


 美月がそんなフリをしてくるなら、こう返すしかあるまいよ。心の中の関西人魂がそう返せって囁いてきているのだ。


 「ん、満足。紅茶いれてくる」


 「あ、私も行く」


 雪が紅茶を入れにいくらしいので、俺も一緒にコーヒーを入れに付いていくことにした。


 

 「雪、どう?初めての喫茶店は」


 「ん、とても満足。こんなに良いとこなら、前から来るべきだった」


 「ん、それは良かった」


 雪の満足そうな顔を見て、俺も連れて来ることができて良かったと思った。



 席に返ってくると、美月もプリンを食べに入っており、俺達が飲み物を飲み終わったら店を出ることにした。俺は猫舌なので、熱い飲み物を飲むには10分ぐらいかかるのでちょうどいいぐらいだろう。


 「割り勘にする?」


 「いや、私が一括で払う。後で自分の分だけ返して」


 もう帰る間際なので、ここの支払いについて話し、美月は割り勘を、俺は一括払いを提案した。割り勘だと店員さんも大変だろうし、こっちも申し訳ないからだ。


 「じゃあそういうことにしよっか」


 「ん」


 そういうことで、私がレジでお金を払うとすると、店員からは「もう払ってもらいましたよ」と返ってきた。

 一体どういうことだろうと思うと、雪が「さっき払っておいた」と語った。


 どうやら、さっきお手洗いに行ったときに払ったらしい。


 「えっ、そうなの!?お金返すから」


 「ん、私も」


 店を出てから雪にお金を返そうと財布を出すと、雪は首を振って行った。


 「今日、2人にはここに連れてきて貰った。だから、その御礼」


 「でも、悪いよ!」


 「ん!」


 俺達がそう抗議しても、雪の意思は変わらず、ここは払わせて欲しいの一点張りだった。

 いくらそうしても、雪が折れなかったので、俺と美月は渋々奢られることを容認したのだった。



 「でも、今度一緒に行った時は払わせてもらうからね!」


 「ん!」


 そう俺達が言うと、雪は小悪魔っぽく笑って言った。



 「その時はその時、ね?」



 そう言って、雪はセバスが迎えに来た車に乗って帰っていった。



 そのあと、残された俺と美月は顔を見合わせていった。



 「「はめられた!」」















 「ふふ♪してやったり」


 「お嬢様もなかなか悪ですな〜」





                

                             〜to be conteinued〜




 


明日は多分投稿出来ません!

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