例えるならばジョセ◯の血を吸った後のDi◯
真昼ちゃんの容姿を書くタイミングがないので、ここに書いときます。
松永真昼:髪は茶髪で髪型はサイドテール。八重歯がチャームポイントで、身長は158cm。スタイルは運動している分スラッとしている。胸はCよりのDです
彼女の言葉でこの場の空気が一気に引き締まったのが分かった。
「私、自慢じゃないんすけどソフトボール上手いんすよ。バッティングは先輩を入れても上から5本指には入るし、球速も100キロ以上出るんす。だから、1年生としては異例なんすけど、もう夏の大会でのスタメン入りが決定してるんすよ」
「へぇ、真昼ちゃんてそんなすごいんだ!」
「ん、派手にやばい」
球技大会でソフトボールをやるって聞いたから少し調べてみたんだが、どうやら高校生の女子がソフトボールで100キロを超えてくるのは、各校のエース級らしい。
しかも、それが入って間もない1年生が出したというのだから、スタメンが確約されるのも当然である。
「はは、ありがとうっす。でも、それが同じ1年生には受け入れられなかったんでしょうね。監督が私にスタメンの確約を告げた日から、私に対しての嫌がらせが始まったっす」
そう言って彼女は顔を暗くする。
「最初は喋りかけても無視されるぐらいだったんっす。それぐらいならまぁ、私も気にしなっかったんすけど、日に日に嫌がらせがヒートアップしてきて、教科書とか体操服が切り刻まれるようになったっす。流石に私も実害が出ちゃったら黙っていられなくて、先生に相談したんすけど……」
「ま、まさか……」
そう言って美月が引きつった顔でそう零すと、松永さんは苦い顔をして答えた。
「はい、そのまさかっす。相談した先生からの返答は『気の所為じゃないか?』だったっすよ。ありえないっすよね、実害が出てるからこっちは相談してるのに気の所為なわけないじゃないっすか。それだけならまだしも、あいつ『お前の方に問題があるんじゃないか?』なんてほざきやがったっす。その上『いじめられる原因を作ったのはお前自身なんだから、自分でどうにかしろ。それとも親に泣きつくか?あ、お前親いないんだったなw』なんて言った時は今すぐ殺してやろうかと思いました」
「………」
「………」
これには、俺も美月も唖然とした。生徒を守ることが仕事である教師が、守るべき生徒に対してこんな酷いことを言えるのか?しかも相手の笑えない話を嘲笑って相手にこんな思いまでさせて??
俺の頭の後ろが少し、チリついた気がした。
「でも、これまでお世話になってきた祖父母のことを考えたら……何も出来なかったっす。だから、私学校を去ろうと思ったんす。そしたらもう、祖父母に言い訳して新しい教科書とか体操服を買わせる必要もなくなるし、嫌な思いもしなくていいっすから。……でも、なんでですかね、いざ退学届を学校に提出しようと思ったら、足が前に出なかったんっす」
「……」
「これさえ出せばもう苦しまなくていいのに、祖父母を苦しめなくてよくなるのに…。足を前に運ぶ度に心が重くなって……進めなくなって……。なんでですかね??これを提出してしまえばそれでこの苦しみから逃げれると分かっている筈なのに、足が動かないんっす…」
「……」
………。
「…本当は理由は分かってるんっす。私、本当は学校やめたくないんだって。なんで、私は悪くないのに私がやめなくちゃいけないんだって、やめるべきはあっちなんだって…。……私、悔しいです……!!あんな人を嘲笑って生きてる奴らがのうのうと学校に来てることも、それに負けてしまう私自身も!!…でも、どうしようもないんです。これしか私に進むことのできる道はないんです」
…………。
「ソフトボール、私に頼ってくれて本当に嬉しかったっす。唯一私が胸を張って自慢できるものっすから。でも、私にはこんな事情があるっすから、教えられないっす。もしかしたらあなた達も巻き込んでしまうかもしれないっすから。だから、私とはここでお別れっす」
「えっ、ちょっ、待っ…!!」
「声かけてくれてありがとうございましたっす。胸の内を打ち明けられて心が軽くなったす。これで、やっと前に進めそうっす」
そう言って彼女は席を立ち上がる。
「ここの代金は私が払っとくっすから、悩みを聞いてくれたお礼っす。だから気にしないでゆっくりしていって下さいね」
彼女は無理やり笑顔を作って、俺達に別れを告げる。俺達が気負わないように、自分の心を偽って、仮面を被って笑顔を見せる。
一体彼女の心にどれほどの傷が付いてるのだろうか。祖父母を思う彼女の自己犠牲の心はどれほど尊いものだろうか。
傷つけた者には知り得ないだろう、彼女の『痛み』が。
嘲笑った者には分からないだろう、彼女の『屈辱』が。
おまえたちには聞こえないだろう、彼女の『叫び』が。
この短い出会いの中でも俺には分かったぞ。
知りあったばかりの俺達を思う『優しさ』が。
祖父母を心配させまいと耐える『忍耐力』が。
自分の悪しき思いに打ち勝った『高潔さ』が。
そんな美しい彼女を、こんなハエだってたからないようなゴミみたいな奴らの、赤子の言葉のほうがまだわかるような言い分で失うなんて到底許せることじゃあねぇよなぁ?
なら、どうすべきかなんて分かりきったことだろう?
「待って」
そう言って、彼女の腕を掴む。
「えっと、黒川さんっすよね?どうしたんすか?お金のことなら気にしなくていいっすから。その手、離して…「許せないだろ?」……えっ…」
彼女の笑顔が揺れる。
「悔しかっただろ?屈辱だっただろ?」
「雫ちゃん、その口調………」
あぁ、美月の前では初めてかもしれないな、この口調。ロールプレイが剥がちゃってるけど、興奮しすぎて今の俺にはちょっと自分を繕えそうにないや。
「当たり前だよなぁ、自分の大切なものを傷つけられ、貶められ、奪われたんだから」
「…そ、それは」
「我慢しなくたっていいよ、それが普通だ。その怒りは正当なるものだし、何よりも優先されて然るべきものだ」
「………」
彼女の腕から力が抜ける。
「松永さん、あなたは優しい人だ。だからこそ、あなたは私達を悪意に巻き込みたくなかったんだろ?でも、あなたには本当に言いたかった『言葉』があるはずだ」
「………」
彼女の目がやっと俺の目とあった。
「あなたには権利がある。その『言葉』を言う権利が、だ。それを言ったとして、それから私達が何をするかはあなたの責任ではないだろう?だから、言ってごらん」
「……本当に言って良いの…?」
彼女の下手くそな笑みが崩れ、目が揺れる。
「良いとも。だから、さぁ、その『言葉』をくれ!」
そう言って彼女の目を見てその『言葉』を待つ。
「お願い……私のことを助けて……!!」
そう彼女が言い切ると同時に、彼女の目から涙が1雫こぼれおちた。
「Great!!その言葉が聞きたかった!」
彼女の言葉を聞いた俺は、すすり泣く彼女の頭を胸に抱き込んで美月に言った。
「美月、準備して」
「えっ…?なんの?」
俺の変わりようや、彼女の思いなどの怒涛の情報量に目を回していた美月は、意識を取り戻して当然の質問した。
そんな困惑しっぱなしの彼女に、興奮具合が天元突破している俺は禄に動かない表情筋を釣り上げながら前世読んでいた漫画から言葉を借りて言った。
「もちろん、戦争だ!」
……美月は更に困惑していた。
あなたのポイントくれめんす。
ちなみに作者はHELLSINGは見たことないです。




