勇者来たので魔王城おいて逃亡します。
初投稿のなあたです。不定期投稿ですが、がんばります。
「魔王さま。四天王の一人、業火のフレイヤさまが勇者に討たれました。」
「ふん。これで四天王はいなくなったか...これまずくないか?」
「まずいですね」
「我、結界張ることしかできないのだが?」
「そうですね。あなたの今の立場もお父様から引き継いだだけですもんね」
まずい...防御はできるけど攻撃できないから、戦ってもじり貧で勝てないだろうし...
「恐らくは明日には魔王城に到達するかと思われます。今日の夜までにご決断を」
「わかった..」
とは言ったもののどうすればいいのか...
真正面から戦っても勝てやしないし…勇者を何とか食い止めたいが…策がないな…うーんどうすれば…
「よし…逃げよう!」
結論。逃げるが勝ち。
恐らく執事は九時くらいに来るだろう。今は七時だからな。準備を軽く済ませておこ…
「魔王様。策は思いつきましたでしょうか?…何をしてらっしゃるんですか?」
「い、いやちょっといい策が思いつかなくてな…少し視点を変えて考えてる的な…?」
「ま、まぁまた後で部屋へ伺います。もう少ししたら食事ですからね。」
「分かった。」
あ、あっぶね~!!丁度バックを取り出すところだったぜ~だいたい七時半には食事が出来る。それで呼びに来るからそれまでに出よう。
時計を見たら既に十五分を過ぎていた。おとをできるだけ立てないように急いで準備した。
「これでいいだろ。この窓から羽を広げて飛んでいこう。できるだけ遠くに…でも、私まだ飛んだことない…」
もっと父さんと練習しとけば良かった…それでもやるしかない!
いくぞ!風に乗ったら行けるはず!ちょっと怖いから目をつぶって…
「セイッ!」
バサッバサッバサッ、ヒュー
「う、う~ん?」
目を開けると…魔族の住んでいる街の光や空いっぱいにある星、今まで見たことの無いすごい景色だった。
「わぁ…!すごく綺麗…なんで外を毛嫌いしていたんだろう…」
あれほど嫌がってしなかった飛行も、風が当たり涼しく気持ちいし、こんなに綺麗な景色が見えるなんて…
もしかして外って良いのかも…
しかし、それと同時に激しい後悔も襲ってくる。
(私は魔族の、魔界の王様なのに、国民を置いて逃げるのか…?もう二度と戻れないし、何より、あんなにいい国民たちを犠牲にしていいのか?)
私が子供の頃、少ない外に出た記憶の一つに一度大きな魔族の街に訪れたことがある。みんな優しく、そして笑顔で接してくれた。そんないい人達なのに…
(それでも…私は逃げるって選択を選んだ。それはもう変えられないんだ。)
魔王は決意を固めた。
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家政婦のおばさん視点
「全く、魔王様ったら直ぐに廊下に物を散らかすんだから。洗濯して部屋に戻してあげるかねぇ。」
「ヨイショっと。沢山あり過ぎなんだよ、全く。
久しぶりに窓でも開けるかな。」
ガラガラガラ
「あれは…?でっかい鳥かねぇ?それしにしてもこの時間帯にしては珍しいけどね。まぁ大丈夫だろうがね。早く洗濯物を干しちゃわないと。」