黒柴の抱き枕
昼はリビングに連れて行かれ、うたた寝の枕になるお仕事がある。
夜はベットに連れて行かれ、ただ都合のいい時だけ抱かれるお仕事がある。
ほぼ毎日働く、黒柴の抱き枕。
最近では、愚痴を聞く仕事も増えている。
嫌なことがあって家に帰ってくると、旦那のすぐ隣に黒柴を置いて、喋る。
「ちょい聞いてよー、黒柴。今日さ、めっちゃ嫌なことが…かくかくしかじかあって…」
旦那に聞いて欲しいが旦那は疲れている。
しかし、話したい。
直接旦那には話してないが、結果、黒柴の隣にいる旦那の耳にも入る。
「お疲れさま。大変だったね。」と旦那。
「そうなんだよ!大変だった…ハグして」と私。
「ハイ、黒柴。」と黒柴を身代わりに差し出す旦那。
黒柴をハグするか。
毎日、黒柴は大活躍だ。
出かけた時、飲み物をコンビニで買う旦那。
私は貧乏性なので水筒持参だ。
買う物はないがコンビニの商品を見るのは好きだ。
私はストロベリーチョコレートが大好きで、それをみつけてしまった。
コンビニは高いから…躊躇する。
スーパーでも悩むかもしれない。
「どうしたの?コレが欲しいの?」と旦那が聞いてくる。
素直に欲しいと言えばいいが、なぜか私は言えないのだ。
「コレ、黒柴がお土産に欲しいって言ってた。」と私。
「へぇー、じゃあ買うか。」
買ってもらったストロベリーのチョコレートは車で少し減った。
多分、黒柴が食べていいよって言ってくれるから、少し食べると言い訳をして食べた。
やっぱり美味しい。
買ってもらって正解だ。
家に帰ってきて、ストロベリーチョコレートの空箱を黒柴にあげた。
毎日働く黒柴の抱き枕。
お休みがもらえるのは、洗って乾くまでの時間だけ。
黒柴の身長70cm。なかなか乾かない。
いっぱい休みたいのかもしれない。
私が実家に1人で帰った時は、黒柴と寝たと旦那が言っていた。
黒柴の抱き枕は私にとっても、旦那にとっても大切なようだ。