第4話 ディアス
「おら!こっちへ来い!!処刑の時間だぜ!!」
「やめて!やめてください!!」
ロープで拘束されたボロボロの服を着ている男が二人の黒服のギャングに連行されている。連行先は数人のギャング達がいる廃工場の広間で中心には玉座のような鉄で出来た椅子に座っている男がいた。その男は連行されてくるのを見て不敵に笑った。
「ぐははははは!!お前か今日の死刑者は!」
男は玉座に立て掛けてあるバットを素振りしながら連行されてきた男に近づいた。連行されてきた男の量頬を片手で掴んだ。
「俺のことは知っているよな!」
「はい!もちろんです!ミロンタウンの支配者である。ディアス様です!」
「そう!泣く子も黙るディアスとは俺のことだ。なのにどうしてお前はこの俺から金を借りたまま逃げられると思ったんだ?」
「すみません!ですが今すぐには返せないんです!!もうすこし待ってください!!」
「無理だ!!だが、金は返さなくていいぞ。お前の命で返してもらう。」
「やめてください!!それだけは!!」
「こいつの縄を解いてリングへ上がらせろ!!」
子分のギャングは連行されてきた男の縄を解いて金網に囲まれたリングに無理矢理押し込んだ。
「俺は鬼じゃない。このリングから生き残れたら金も命も取らねぇ。そう約束してやるよ。」
ディアスは上半身裸になりバットを持ってリングに入ってきた。ディアスの体はムキムキに仕上がっており、どうみても男に勝ち目がない。
「それじゃあ!試合開始!!」
ディアスの掛け声と同時に連行されてきた男が弱々しいパンチで殴りかかってきたが、ディアスのバットの一撃が男の腹に直撃し肋が折れる鈍い音が辺りに響いた。
「安打!!まだまだ弱い辺りだぜ!!」
「もう…。無理です…。助けてください…。」
連行されてきた男は口から血を吐き、許しをもらおうとした。
「いや、無理だ。二塁打!!」
ディアスはバットを大きくスイングして先程よりも威力のある一撃を男の頭に命中させた。男は頭部から大量に血を流して死んでしまった。
「死体を片付けておけ腐ると臭いからな。」
ディアスはバットについた返り血を白のスカーフで拭き取り投げ捨てた。白のスカーフは血で真っ赤に染まっていた。
「ディアス様!!」
一人のギャングが広間に駆け込んできた。何やら緊急事態のようだ。
「何があったんだ?早く話せ。」
「はい!ディアス様を出せと男一人が建物の前に現れました。何やら旅をするにはお前を倒さなきゃいけないと言っております!」
「なんだそりゃ?」
ディアスと子分のギャングが廃工場の入り口から外へ出ると胴着を着たヒロがそこに立っていた。
「なんのようだ?俺がディアスだ。」
「俺の名前はヒロ。すまねぇが俺の旅の為だ。ここでお前を倒させてもらう。」