第3話 強い奴を倒せ!
「まずは全身の感覚を研ぎ澄ますんじゃ。」
ヒロとカリオは胴着に着替えて修行をしていた。
「こんなの楽勝だ!」
ヒロはそう言うと右手をあっという間に鋼鉄化させた。
「左手はどうじゃ?」
「今日こそ成功させてやるからな!そして旅を認めてもらう!」
ヒロは左手を握りしめて身体中の全力を込めるが全くと言っていいほど鉄腕にならない。
「まだまだじゃの。両手を鋼鉄化させないと旅などはさせんぞ!」
カリオはヒロの旅立ちを断固拒否した。
「他にどんなことをすれば旅を許してくれるんだよ。」
「他にじゃと!?そうじゃな…。街一番の強い奴を倒してきたら許そう…。」
「分かった!強い奴倒せばいいんだな!」
ヒロはカリオの話が途中なのにも関わらず家を飛び出し街へ強い奴を探しに行った。
「まったく…。ヒロの奴め…。誰に似たんだか…。ワシか!!」
カリオカはヒロの勢い任せの性格を若い頃の自分と重ねていた。
ヒロは深夜の街中を「この街で一番強い奴出てこい!!」と言いながら走っている。
「ヒロ。こんな夜中に何騒いで走ってんだ?」
街でラーメンの屋台をやっているオジさんがヒロに声をかけた。
「ああ!ラーメンのおっさんか!ちょっと訪ねたいことがあるんで話を聞いてもらってもいいか?」
「いったいなんだ?胴着で夜中に走り回るなんて、カリオさんに追い出されたのか?」
「違う!これには訳がある!」
ヒロは今までのことを全部説明して街一番の強い奴を探していることを伝えた。
「そりゃ街で一番強いっていったらカリオさんしかいないだろ?」
「やっぱそうなのか!?じいちゃんには勝てねぇよ!!」
ヒロは口を大きく開けてがっかりとした表情をした。ヒロの中ではカリオは既に無敵の存在として認識されておりどれだけ頑張っても勝てる気がしないのだ。
「まぁ、二番目に強い奴は知ってるが…。」
ラーメン屋のオジさんは言うのを渋った。
「言ってくれよ!そいつを倒さないと俺はこの街から出られないんだよ!!」
ヒロは教えてくれとオジさんの足に抱きついた。
「分かった!教えてやるから離れろ!!そいつの名前は"ディアス"つう名だ。」
「ディアス?聞いたことねぇな。」
ヒロは頭の上に?を表示して首を傾げた。
「ディアスはここ一帯を仕切っているギャングの親玉で、ミロンタウンのプロ野球チームであるディアーズの元四番打者よ。クスリやギャング達、もっとヤバいヴィラン達と関係があったようでそれで球団をクビになったんだ。その後この街のギャング団の親玉になったって言うわけさ。」
「なるほどな!そいつを倒せばじいちゃんは俺の旅を許してくれるのか!ならすぐに倒しに向かうぞ!!」
「待て!そいつらの居場所は分かるのか?」
すぐにダッシュしディアスを探そうとするヒロをラーメン屋のオジさんが引き留めた。
「そこら辺のギャングを捕まえれば連れっててくれるから大丈夫だ!!情報ありがとなおっさん!!」
ヒロはそう言い残すとまた闇夜に消えていった。