第2話 ヒーローなんかになりたくない!
「ただいま~」
ヒロは玄関を開けた。ヒロの家は平屋の日本家屋で茶色の外壁に屋根瓦がびっしりと詰まっている屋根が特徴の家である。塀に囲まれて中にある小さな庭には竹が三本と灯籠一個、小さな池がありその中には金魚が飼われている。
玄関を開けるとそこには身長が二メートルもある白髪と白い口髭を携えた巨体な老人が腕組みをして待ち構えていた。
「ヒロ!今まで何をしていた!!修行はどうした!修行は!!」
「じいちゃん!今からやるよ!」
なんとこの老人はヒロの祖父らしい。
「それよりじいちゃん!俺、二人組の強盗を捕まえてきたんだ!銃を使ってきたけど弾は簡単に避けたし、岩砕きで相手を気絶させたんだぜ!」
「強盗を捕まえただと!?」
「あぁ!!」
「しかも銃を使ってきた!?」
「だからそう言ってるだろ。」
「ぐぬぅぅぅ…。」
ヒロの祖父は感情を押し込もうと歯を食い縛り下を向いた。
「ヒロっ!お前ってやつは…。」
ヒロの祖父は右手を振り上げた。
「ヒロ!よくやったぞ!さすがはワシの孫じゃ!!」
「だろ!?まぁ楽勝だったけどな。」
ヒロの祖父はヒロを褒め、振り上げた右手はゲンコツではなく頭をよしよしするようにポンポンと軽く叩いている。
「じゃが、ワシのような立派な世界軍の兵士になるにはまだまだじゃぞ。このワシ、『鉄腕のカリオ』と呼ばれた男の孫だとしても誰も贔屓はしてくれんぞ!」
ヒロの祖父は世界軍という全世界を悪党から守護する軍隊に所属しており、その界隈ではヒロと同じように腕を鋼鉄化させ敵を倒していたことから『鉄腕のカリオ』と悪党から恐れられていた。
「俺は世界軍の兵士なんかならねぇ!世界軍は有事の時しか国を守らない!そんな奴等より必要とされているときにすぐさま駆けつける身近な存在になりたいんだ!俺は自警団になるんだ!そして『トウガ』みたいな男に俺はなるんだ!」
「バカ者!!」
カリオはヒロの頭に鋼鉄化した拳でゲンコツを入れた。
「痛ぇな!何すんだよ!!」
「自警団を目指すじゃと!?あんな奴等は犯罪者と同じじゃ!街を守ると言いながら敵と戦う時には市民を巻き添えにする奴等になりたいじゃと!?断じてそれは許さん!!『トウガ』も同じじゃ!街を燃やしつくてどれだけ市民が犠牲になったのかお前は忘れたのか!?」
「『トウガ』は犯罪者なんがじゃねぇ!あいつは一人で街を守って市民からも慕われていたやつなんだ!絶対に犯罪者じゃねぇよ!」
この『トウガ』という人物はヒロ達が住む街をギャングや悪党から一人で守っていた自警団のことである。どうしてはヒロがこの『トウガ』という男を目指すのか。それはまたの機会にお話ししましょう。
「俺は五つの大陸とアトランティスからメンバーを集めて最強の自警団を作るって決めたんだ!」
この世界は五つの大陸と2つ海洋がある。大陸はヒロ達が住む緑豊かな作物の大陸五つ目の大陸と工業が発達し全ての大陸に生活に欠かせないものを輸出している四つ目の大陸、そして砂漠の大陸で石油が取れ、中心地にホルス運河が流れており人類誕生の地とされている三つ目の大陸、四つ目は空に最も近い場所があり標高が高い二つ目の大陸。五つ目は世界軍の本拠地があり世界で最も安全な国とされる一つ目の大陸の五つで形成されている。
その五つの大陸が囲むように中心海が真ん中に存在し、その海底に海底人類の都市であるアトランティスが存在しているのだ。
「また寝ぼけたことを言いおって!早く修行をするぞ!」
「分かったよ!それでどうすれば俺の旅を許してくれるんだ?」
「許すわけないだろ!ワシはお前の亡くなった両親と約束したんじゃ!立派な世界軍の兵士にするとな!つべこべ言わず修行をするぞ!」
カリオはヒロの耳を引っ張り、奥の道場へと連れていった。