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向き不向き

作者: こころ

前髪をかき上げるその人差し指には、控えめに光るシルバーリング。ジャージは大きめのものをゆるっと着こなし、細いウエストはあえて寝かせておく。必ず授業はちょっと遅れて一番さいごに登場。さらさらのロングヘアをなびかせながら。

彼女は絶対に走らなかった。ウォーキング派なのだ。すらっと伸びた長細い脚に余計な筋肉がつくのを気にしているようだった。「ウォーキングって少し息が上がるくらいのペースでなければ、効果がないらしいわよ。」なんて気の利く豆知識を我が物顔で彼女にひけらかす女がいれば、きっと彼女はこう返すのだろう。「おだまり、おブスちゃん。」

彼女の目はとてもきつかった。対向車のハイビームぐらいきつかった。彼女のそれには、誰でもかかってきなさいよという、女らしくて冷たい電気が走っていた。時折、女は愛嬌だとかいう保守派の好みに押しつぶされそうになるが、彼女を見るたび「女はこうでなくっちゃ!」と、私の中のデビルちゃんが呼び覚まされるのだ。きっと彼女の手に触れた瞬間、300ボルトの電流が私の身体を駆け巡るに違いない。彼女の目を一目見たとき、私はそう、確信した。

そんな彼女には明るく気さくで人懐っこいお友達がいる。それに、彼女には劣るが、同じ種類に属しているのであろう側近の女の子もいらっしゃる。二人はどちらも大人と会話をするのが見事で、こちらがついにっこりしてしまうような雰囲気を持ち合わせている。はぁ、こういう女を前に、女子はみな無力である。だがしかし!彼女はそうではない。彼女の中に、大人に好かれようとか、人に愛されたいとか、常に気にかけられたいなんて欲望は一ミリもないのだ。ツンとしてそう、怖そう、あの子は強そうだから心配せんでもいい。「そう思いたきゃ思いなさい。あなたがたの意見なんて、興味ないの。」それが彼女の武器だ。

好きなのだ、私はそういう女の子が。ううん、ただお気に入りって感じね。だってなんかさ「全部捨ててそのために生きているの私!」って雰囲気がすごいじゃない。美味しいもの食べる幸せとか、ゴロゴロする幸せとか、「うちら結局口だけなのやばくね?ww」って言い合う幸せとか、そういう幸せ全部捨てて生きている感じ。好きなんだよなぁ。だから思い切ってお昼をゆで卵とサラダチキンとブロッコリーのみにしてみました。そうです、形から入るタイプの人間です。そして炭水化物は一切抜いて、週4でランニング。空き時間にはジムで下半身のトレーニングをして、その後は1時間ひたすら走り込み。仕上げにプールでバタ足の追い込みも追加。この生活から1週間。私の目の前には今、食べかけのサムライマックがあります。あ、もちろんポテトとフルーリーとナゲットも。15ピースのやつね。

ふむ、やはり人には向き不向きがあるみたいだ。


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