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ダメダメなこんな僕でも、君は僕を愛してくれるかな?

作者: 七瀬







僕は、本当にダメな奴なんだと心底思った。

ギャンブルに溺れ、金に溺れ、女に溺れ、人生最悪だ!





・・・5年前までは、大好きな彼女がいた。

彼女とは、友達の紹介で軽い気持ちで出会う。

でも、何度か会ううちに僕は彼女の事を好きになっていった。

好きになるのも、付き合うのもこんなに簡単にスムーズに行った

のは初めてだ!

彼女と居ると? 僕は幸せな気分になれた。

彼女も、僕と同じ気持ちであれば嬉しい!

その時の僕は、そんな風に想っていたんだ。





でも? ある時、10年も会っていなかった友達と会って。

“いい儲け話があるから聞いてくれないか?”と僕に言ってきたんだ。

僕は、半分受け流すつもりで彼の話を聞く事にした。

でも、話を聞いていくうちに僕はその話に乗ってしまう。

いい儲け話とは? 1ヶ月で10万円が100万円になるとの事。

ある企業に投資をすれば、どんどんお金が増えていくらしい。

最初に、10万円投資すれば1ヶ月後には100万円になるなら?

僕は迷わず投資する事を選んだ。

たった10万円だ! それが1ヶ月後には100万円になるんだ!

僕は、直ぐにコンビニのATMに行ってお金を10万円下ろして彼に渡す。

ちゃんと【契約書】にも、サインして彼と分かれた。





・・・数日後。

強面の男達が僕のぼろアパートにやって来た。

僕がサインした契約書を持って、僕にこう言ったんだ。



『このお金、兵頭さんが勿論返してくれるんですよね?』

『えぇ!?』

『ここに、兵頭さんのサイン書いてますよー!』

『・・・い、いや、僕は契約書にサインしただけで。』

『そうですよ! これは契約書です、貴方が借金1000万円借りた

という契約書ですよ!』

『・・・僕は、そんなお金一切借りてませんよ!』

『おかしいな? 増川は、貴方が1000万円借りたと言ってますよ

まあ~もうアイツは日本には居ませんけどね!』

『・・・ぼ、僕にどうしろというんですか?』

『ただ、借りた1000万円を返してほしいだけですよ』

『・・・そ、そんなお金、僕はありません。』

『じゃあーどうしますかね? 生命保険でもかけますか?』

『待ってください! お金は返します! だから、少しだけ待って

くれませんか?』

『もちろん! いいですよ、期限は1ヶ月! それまでに必ず耳を

揃えて返してくださいよ』

『・・・わかりました。』

『兵頭さん! 貴方が物分かりのイイ人で良かったですよ』

『・・・・・・』






僕は、1000万円という借りてもないお金を返さなくてはいけなくなった。

それもこれも、あの増川のせいだ!

今思うと? おかしな話だし、まさか!?

こんな事になるとは思いもしなかった。

どっちにしても、増川はもう日本には居ないらしい。

僕が、このお金を返さないと? 僕以外の人達に迷惑をかける。

だが、1000万円というお金など僕にはなかった。

だから、僕はギャンブルに手を出してしまう。

競馬で一発当てれば、返済できると思ったんだ!

僕の泣き出しの貯金、150万円を全部つぎ込んで競馬にかける!

当たり前だが、当たる訳もなくあっけなく僕の150万円は消えて行った。

その後、我に返り僕は実家に帰り両親に頭を下げてお金を借りる事にした。

僕が二人に説明して土下座してお金を貸してくれるように頼むと...。

僕の母親は、泣き崩れ僕を“バカ息子め!”と僕の頭を叩いた。

父親はあぐらをかいたまま腕を組み、ただ一言僕にこう言った。


『・・・話は分かった、但し! 貸せる金は500万円だけだ! 

それ以上は、お前に貸せん!』

『わ、分かったよ、父さん!』

『なんで! こんな子供に育ったのか? アンタはいつもそうなんだよ!

もっとしっかりせんといかん!』

『分かってるって、母さん、』

『もうええー! はよ、金持って家に帰れ!』

『うん! ありがとう、父さん母さん!』

『・・・・・・』






・・・なんとか? 500万円はどうにかなった!

残りの500万円をどうしたらいいかと考えていると?

僕の携帯に、彼女から電話が鳴った。



『最近、連絡してくれないから? 何かあったの?』

『・・・あぁ、ううん! 少し会って話せるかな?』

『・・・う、うん。』




彼女も、電話越しとは言え? 僕の様子がおかしいと察して

くれたみたいだった。

そして、数時間後。僕は彼女と会って借金の事を全て話した。

彼女は、僕の話を聞き終わるとこう言ってくれた。



『私が、残りの500万円を出すわ!』

『えぇ!? でも、』

『ヒサシは、何も考えなくていいの! 私から素直に500万円

借りればいいのよ』

『一颯! 必ず借りた500万円は返すから!』

『うん! 私はヒサシを信じてるからね!』

『あぁ! ありがとう。』





・・・1ヶ月後。

また、僕の家にあの強面の男達ややって来た。

僕は耳を揃えて1000万円を男達に返す。



『よう1000万円ものお金集めたな~! 凄いわー!』

『これで! 借金全部返しましたよ』

『あぁ、返してもらった! それと、兵頭さんに一言!

友達は選んだほうがええーよ! じゃあな!』

『・・・ちょ、ちょっと待ってください!』

『はぁ!?』

『そのお金、もう少し貸しててもらえますか?』

『いやいや? 今、返してくれたところだよな!』

『次の1ヶ月までには、必ず返しますから』

『貸してもええけど? 次から“利子”つくで!』

『・・・利子ですか? 幾らつくんですか?』

『1ヶ月やったら? 300万円!』

『えぇ!? 高すぎませんか?』

『別にええーよ、この金は持って帰るからなー』

『分かりました! 1000万円と利子の300万円で

1300万円、次の1ヶ月後に返します!』

『じゃあー分かった! また1ヶ月後に来るわー!』

『・・・・・・』





・・・つい、競馬で150万円かけた時の興奮が忘れられなかった。

あの時の、興奮をもう一度! 味わいたい!

その為だけに、僕は1000万円をまた借りる事にしたんだ。

更に、今回は利子に300万円もついている。

これは! 競馬で絶対に勝つしかない!


【ダメダメなこんな僕でも、君は僕を愛してくれるかな?】





最後までお読みいただきありがとうございます。

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