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空港
目が覚めると、僕はコンクリートの上にいた。
『ここは?』
そこはいつもの帰り道だった。
僕は立ち上がって叫んだ。
『みんな〜どこだ〜』
誰も返事がしない。
ポケットの携帯を見ると、誘拐された日と同じ日だった、
夢だったのかな。
僕はトボトボと家路に帰る。
8人の外国人と1年過ごした。
『1年過ごしたけど、何言ってるだが、わかんなかったな〜』
でも、楽しかった。みんないいやつだった。
みんな、無事に帰れたのだろうか。
携帯が震えた。
『オう』
突然の着信に驚いたが、画面を見ると知らない番号だった。
もしかして、もしかして。
そうだ、彼らと連絡先を交換した。
電話に出た僕の最初の言葉は。
『ハロー』だった。
それから半年、僕は空港にいた。
結局、僕以外の8人も無事だった。あれから、頑張ってやりとりして、日本で会うことになった。
『タロウー!』
名前を呼ばれて振り向くと、8人の男が立っていた。
僕は嬉しくて、両手を上げた。
みんなの母国語を練習した。きっと、全ては伝わらないだろう。
ようこそ、日本へ。これから、楽しい観光だ。