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私の帰る場所  作者: 常盤周
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8

簡単に一通り話すと相手は

ハァーーーーーー

と長いため息をついて


「すまなかった。」


と言ってきた。


「言い訳になるが…聞いてくれないか?俺はユーグ・シャルリエ。シャルリエ辺境伯の次男だ。ここ数ヶ月父上の具合が悪くてな。薬草も少なくなってきたし必要な薬草がある癒しの森に行こうと思ったんだ。」

「回復魔法でもよくならないんですか?」


ギュルルルルル〜


「すまない。」

「いえ、昨日から何も食べてませんからね。少し待って下さい。用意しますから。」


家にもどりスープを温める。

もうお昼に近いから私も簡単に食べる。

あの様子じゃたりないだろうけど食べて大丈夫なのかな?

お粥…でいいかな。

レンチンしたご飯で作ればそんなに待たせないだろう。

うーん。玉子とネギでいっか。

出来たら無限収納に入れてテントの近くでだす。

トレーにのせて運ぶ。


「お待たせしました。とりあえずスープ飲んで下さい。」


ユーグさんは起き上がって待っていた。

スープを渡すと祈りを捧げてから食べ始めた。

が、すぐに空になった。


「まだ食べれそうならお粥をどうぞ。」

「ありがとう。何だこれは?」

「お米よ。玉子とネギをいれてるけどいらない?」

「いや、食べる。」


ハフハフしながら食べたけどまだたりないのかな。

多めに作ったんだけどな…


「えーと、話の続き聞かせて?」

「あぁ、ありがとう。美味かった。えーと、そう。今は回復魔法を使える人間は少なく王族が王宮に取り込むんだ。だからこんな辺境にはいなくてな。後継は兄に決まっているから俺が癒しの森に行く事にしたんだ。

小さな頃から試練の森の浅い所で遊んでたし今も途中までは行けるんだ。モンスターを狩って素材を売ったりしているから癒しの森に行ける可能性があると思ったんだ。大勢で行っても動きにくいから4人で行く事にした。だが、途中で1人が腹の調子がと言い出して休憩する事にしたんだ。そいつは茂みのほうに行って。他の奴がお茶を渡してきてその中に痺れ薬をいれてたみたいだな。一口飲んでおかしいと思って吐き出したんだが薬の量が多かったんだろう。口…から痺れ始めて…そしたらもう1人が斬りかかってきて…

薬の廻りが速くて腕が痺れ始めていたから逃げる事にしたんだ。動けるうちに離れないとやられるからな。途中で足も動きが鈍くなってきた時にモンスターがでて俺がモンスターにヤられると思ったんだろうな。そのモンスターが自分達のほうに来る前に戻っていたよ。俺は俺で死んだと思ったんだ。身体が動かないからな。そしたらモンスターは襲いもせずに去っていた。よくわからんが助かったと思ったが動けないしそのままそこにいて気がついたら顔に何かが近づく気配がして。奴らかと思ったら違ったけど俺が死んでいないから殺そうとしているのかと思ったんだ。すまなかった。」


頭を下げているから頭を上げてもらう。


「事情はわかったけど、私は怖かった。殺されると思った。2度としないで。」

「わかった。本当にすまなかった。」

「で?殺される理由は?だれが犯人かわかってるの?」

「いや。後継争いもないし兄との仲も良い。俺を後継にと言うバカはいないはずだ。知らないうちに何か恨みでもかったかな。」

「ふーん。まぁいいや。お貴族様の事情は私にはわからないから。それより汗かいてない?着替える?」

「ああ、着替えよう。」


作務衣のリボンをほどくように言ってお湯とタオルを渡し自分で拭いてもらう。着替えは置いといたから私は家に食器を持って帰って洗う。

私も簡単に食事をしてテントに戻る。入り口で声をかけて着替えたか確認してから中に入る。

脱いだ服を持って出ようとすると


「君の名前を教えてくれないか?」


意図的に名乗らなかったのに聞かれてしまった。

まぁ、普通聞くわなぁ。

地球の名前を名乗っても変な名前と思われないかな。

でも地球に帰れないし…


「えーっと名前ないから。よかったらユーグさんがつけてくれない?」

「えっ?名前がない?俺がつけるの?えーと俺…難しいな。自分で好きに名乗ればいいじゃないか。」

「じゃあ名前無くていいよ。どうせここに名前を呼ぶ人なんていないから。」

「親はいないのか?ずっと1人なのか?」

「いない。1人よ。」

「んー。ローズは?花の名前だけど綺麗で目をひくから女はみんな好きだろう。」


バラかぁ。私は地味だし綺麗なんて言われた事はない。


「もう少し大人し目な花はないの?」


頭をガシガシ掻きながら


「じゃあリリーかなぁ。あまり知らないんだ。すまん。」

「いいよ。普通は興味なんてないよね。マメな人しか興味ないんじゃない?じゃあリリーね。ありがとうユーグさん。」「いや…なぜリリーはここにいるんだ?それに…聞いていいか?その髪は本物か?」

「癒しの森にいるのかって事?ここに住んでるからよ。それに髪?本物って?地毛だけどなんで?何かおかしい?」

「いや、その色が…な。黒なんて初めて見た。髪色が濃い程魔力が多いと言われているんだ。俺のこの髪も濃い方だけどな。」


なんか苦笑しながら言ってる。

ふーん。

あの自称光の女神そんな事言ってなかった。

なんか面倒くさい事になりそうな…

絡まれたりするのかな。

ヤダヤダ。


「疲れたでしょう?少し寝たらいいよ。ヒエヒエ草はあるんだけど薬の作り方わからないからごめん。」

「だが、早く戻らないと…」

「心配だろうけど元気にならないとモンスターと戦えないよ?今はゆっくり寝て様子見よう。」


そう言って横になったユーグさんの額に濡れタオルをのせる。


「また後でくるね。」


そう言って洗濯物を持って戻る。

洗濯機に任せて食事の用意をする。

食欲はありそうだから普通でいいかな。

やっぱり肉だろうな。

それとご飯よりパンかな。

そんな事を考えながら作っていたらふと思いだした。



町に連れて行ってもらうの頼むの忘れてた。

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