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最初は癒しの森を歩く。
迷子になると困るからあまり離れないように歩いてマップをみれば少し埋まってる。
でも歩いていない反対側は白いまま。
やっぱり行かないと埋まらないのかな。
でも家があるあの場所がホーム設定されていて道案内がでてる。
これで迷子にならないかな?
仕方ないからホームを中心にぐるっと回るように歩いて戻る。
とりあえず癒しの森のの範囲が広がった。
どのくらい歩いたら試練の森に入るんだろう。
試練の森でも動物は襲ってこないのかな?
不安だな。
でも町に行くのを諦める事はできないし…
雨の日は無理だし少しずつでも進めていこう。
そんな風にユルユルと過ごして2か月が過ぎた頃
試練の森でも動物達は襲ってこないから安心して歩いていたら木の根元に凭れ掛かるようにして座り込んでいる人がいた。
顔は俯いているからわからないけど群青色の髪の男性だ。
初めての異世界人との遭遇が生きているかわからない人だなんて…
どうしよう。
死んでたら死体だよね。
見なかった事にしてももしかしたら生きているかもだし…
見捨てても多分気になってしまうだろう。
「あの…大丈夫…ですか?」
思ったより小さい声だったので聞こえてないかも。
もう少し近付いて又声をかける。
「大丈夫ですか?生きて…ます?」
さっきより声は出たけど反応がない。
ううぅ。
やっぱり死んでるの?
やだぁ。どうしよう。死体…どうしたらいいのよ?
泣きたいけどこのままじゃ多分動物達が…
考えない。考えちゃダメ!
仕方ない。この人の遺品か何かを持って町に行くしかないよね。
そおっと近付いてその辺にあった木の枝で肩辺りをつつく。
動かない。
「あの誰だか知りませんがあなたが亡くなったことを知らせたいと思います。名前とかわかる物あるかな?えーっと何を持って行ったらいいかわからないので…どうしよう。」
死体の周りをうろつくように反対側に廻ると剣が目についた。
この剣なら死体に触らないで済む。
木の枝を捨てて
そおっと剣を掴んで持ち上げようとしたら
重っ!
両手で持って動かしたら
死体が素早い動きで剣を奪って突きつけてきた。
「ひっ!」
殺されると思ったらそのまま私の方に倒れてきたので支えきれずに一緒に倒れてしまった。
生きてた。
死体じゃなかったぁ〜。
よかったぁ。
安心して涙が出てくるけどそれどころじゃなかった。
私の上にいて重いけど下手に動けない。
剣が私の首の横にあるから…
「あの…離れて…重い。聞こえてます?」
仕方なく身体を動かすけど全然動かない。
どうしよう。
ガサガサ
音がした。
どうしよう。
獣達がきたのかも。
今まで森の中で襲われた事がなかったから安心してた。
今はこの人がいるし私も襲われるかも…
怖い。
恐怖心で身体も動かせないままでいたらヒョイッと上に乗ってビクとも動かなかった男性の身体がなくなっていた。
えっ?
ビックリして慌てて起き上がるとクマが男性を手で転がしたらしい。
男性は地面に転がったまま。
このクマはよく川にきているクマだと思う。
他のクマより大きいから間違いないと思う。
わからないけど助けてくれたのかな。
「えっと…助けてくれてありがとう。あの、この人をテント…川まで運んでもらえるかな?無理ならいいの。」
言葉がわかるのかはわからないけどクマは男性をポイッと背中に乗せると歩きだした。
私も剣を両手で持って後をついていく。
毎日森の中を歩いていたから体力は前よりあると思ったんだけどクマには負けるわ。
クマはテント前に男性をポイッとして川に水を飲みに行った。
その姿を見ながら
「ありがとうクマさん。」
声をかけたけど息が上がってる。
私は足が痛くて男性のそばに座り込んで息が整うのを待つ。
その間にどこを怪我しているのか見ようとしたら顔が血だらけ。
うわー。
拭いたた方がいいよね。
ハンカチを水魔法で濡らして拭いていく。
どうし…そうよ。回復魔法があるじゃん。
いまこそ出番よ!
そおっと傷口を探してバイ菌などが入らないように傷が塞がるようにイメージしながら手をかざして回復魔法をかける。
知らないうちにできてた打撲とか切り傷とかくらいにしかした事なかったから、この傷には時間がかかったような気がする。
でもどうにか塞がったし大丈夫よね?
他にも怪我があるのかな?
このままここにって訳にもいかないしテントのマットレス…仕方ない。
家に行ってタオル類やら洗面器やら必要そうな物を持ってくる。
マットレスに汚れてもいいようにバスタオルを敷く。
鎧?胸当て?は鉄?だけど背中側は皮みたいなよくわからない装備を脱がせるのにモダモダしながら何とか脱がして
シャツとズボン姿にすると腰の辺りに赤い色が見えたので
どうしよう。
緊急自体だし人助けだしと言い聞かせながらシャツをめくると傷がある。持ってきたタオルを濡らして拭いて回復魔法をかける。
ふぅ〜。
シャツを脱がして…ううぅ恥ずかしい。男性の身体なんて見慣れていないから視野に入れないように顔をそらして少しずつ引きずってテントの中にいれる。
靴…編み上げブーツみたいなのを脱がして足を曲げてテントの中に少し強引に入れたらまた引きずってマットレスに乗せる。
ふぅ〜。
疲れた。
でもまだする事はある。
洗面器にお湯を魔法でだす。
恥ずかしいけど、確認の為、医療行為と頭の中で繰り返しながらタオルで顔や身体を拭く。
ズボンはそのままなので上半身だけよ!
他に傷は無かったけど着せる物がない。
ガウンって中着るんだっけ?
わからないし目のやり場に困るから作務衣にしよう。
それとタオルケットでいいかな。
スマホでポチッ。
ヒュン
ありがとう神様。
いつもなら一回洗ってから着るんだけどそんなこと言ってられないからね。
そのまま何とか上だけ着せてタオルケットをかける。
このまま寝かせておこう。
脱がせた鎧のような物は置いておいて、剣はまた突きつけられたら困るからバスタオルに包んで隅の方に置いておこう。
脱がせたシャツを持ってテントをでる。
家に戻ってシャツの血を落とすけど時間が経ってるからか完全には落ちない。
このまま洗濯機回してみよう。
落ちればいいけど。それに斬られたのか破れてるし…
やるだけやっとこう。
疲れたけどお腹空いた。
お腹空いてるけど作るのも面倒くさい。
あれからスープは多めに作ってるからスープはある。
もう味は変えなくていいや。
おにぎりにしよう。
おにぎりだけで申し訳ないけどポチッ。
なんとか食べきった。
ボーとしてたら洗濯が終わったみたい。
シャツを干してスポーツドリンクをコップに入れてテントに行く。
まだ目覚めてないみたい。
枕元にコップを置いて様子を見ると少し息が荒い。
額を触ると少し熱がある気がする。
意識ないから冷えピタでもいいかな?
起きたらタオルにかえればいいし。
家から冷えピタを持ってきて貼ったらスプーンでスポーツドリンクを口に入れていく。
意識がないから溢さないように少しずつだからゆっくり時間がかかったけどコップは空になった。
病人が使うような吸口の奴…名前わかんないけどアレが必要かな。
また後で様子見にこよう。
それまで私もお風呂に入ってゆっくりしよう。